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「緑茶を多く飲む」と肝臓がんリスクが低下? 日本人4万人超の観察研究結果が報告

 公開日:2026/04/26
「緑茶を多く飲む」と肝臓がんリスクが低下? 日本人4万人超の観察研究結果が報告

大阪大学の研究員らは、日本人約4万2000人を対象に、緑茶の摂取量と肝臓がんの発症リスクとの関係を長期間調査しました。その結果、緑茶を多く飲む人ほど肝臓がんのリスクが低い傾向が見られました。研究内容の詳細について中路先生に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

編集部

大阪大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

大阪大学の研究員らは、「JACC Study(日本人成人の大規模前向き多施設共同コホート研究)」で、日本人成人における緑茶の摂取と肝臓がんの発症リスクとの関係を長期間追跡調査しました。生活習慣などを考慮して対象者約4万2000人のデータを分析した結果、緑茶を多く飲む人ほど肝臓がんのリスクが低い傾向が見られました

特に1日7杯以上飲む人では、ほとんど飲まない人と比べてリスクが39%ほど低下していました。また、この傾向は男性や飲酒習慣のある人でより明確でした。本研究により、緑茶の摂取量が増えるほど、肝臓がんリスクが低下する可能性が示唆されました

研究テーマの「肝臓がん」とは?

編集部

今回の研究テーマに関連する肝臓がんについて教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

肝臓がんは肝臓にできるがんの総称であり、多くは肝細胞ががん化した「肝細胞がん」を指します。主な原因として、B型・C型肝炎ウイルス感染、アルコール、脂肪肝炎などによる慢性的な炎症や肝硬変が関係しています。初期は自覚症状がほとんどありません。進行すると、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、だるさ、腹部の痛みなどが見られることがあります。

また再発や転移を起こすこともあるため注意が必要です。健康診断で異常を指摘された場合は放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

研究内容への見解は?

編集部

大阪大学の研究員らが報告した研究内容への見解を教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

今回紹介された研究は、日本人を対象とした大規模な前向きコホート研究で、緑茶の飲用量と肝臓がんの発症リスクの関係を長期間にわたり追跡調査した点が大きな特徴です。長期の追跡データに基づいた結果が示された点は、この研究の大きな強みと言えます。

ただし、本研究はあくまで「観察研究」であり、「緑茶を飲めば肝臓がんを必ず防げる」という意味ではないことに注意が必要です。緑茶をよく飲む人は、喫煙や飲酒の量、普段の食事内容、医療機関の受診頻度など、健康に関わるほかの行動も異なっている可能性があります。こうした要因を統計学的にできる限り調整しても、「見えない要因」の影響は完全には取りきれません。

肝臓がんの予防で大切なのは、肝炎ウイルスに対する治療やワクチン接種、脂肪肝に対する飲酒量のコントロールなどの生活習慣の見直しに加え、超音波検査や採血などによる定期的なチェックといった、科学的に効果が証明されている対策を続けることです。緑茶はあくまで「プラスアルファの工夫」として捉えるのが現実的です。

日常生活では、バランスのよい食事や適度な運動と併せて、無理のない範囲で緑茶を取り入れることが、肝臓のみならず全身の健康づくりにつながると考えられます。
一方で、カフェインやポリフェノールに敏感な人、すでに肝機能の異常を指摘されている人は、「身体によいから」と自己判断で大量に飲むのではなく、自分の体調に合わせて量を調整しながら続けることが大切です。気になる症状がある場合は、かかりつけ医に相談しつつ上手に取り入れていきましょう。

編集部まとめ

今回の研究により、緑茶を日常的に多く飲む人ほど肝臓がんのリスクが低くなる可能性が示されました。ただし、緑茶だけで予防できるわけではありません。肝臓がんを予防するには、肝炎対策や飲酒量の見直し、定期的な健康診断も不可欠です。日々の生活では、バランスのよい食事や適度な運動とともに、無理のない範囲で緑茶を取り入れるとよいでしょう。

この記事の監修医師