目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. NEWS
  3. 「うつ病のリスク」は“生成AIの使用”で高まる? 生成AIの頻度とうつ病の意外な関係を医師に聞く

「うつ病のリスク」は“生成AIの使用”で高まる? 生成AIの頻度とうつ病の意外な関係を医師に聞く

 公開日:2026/02/27
AIの使用とうつ病の発症に関係が?

米国・マサチューセッツ総合病院の研究員らは、米国成人2万人超を対象に、生成AIの利用頻度・用途と抑うつなど否定的感情との関連を調査しました。結果として、AIを毎日複数回使う人ほど非使用者より抑うつ症状が高く、中等度以上の抑うつや不安・イライラも多い傾向が示されました。この内容について公受先生に伺いました。

※2026年2月取材。

公受 裕樹

監修医師
公受 裕樹(医師)

プロフィールをもっと見る
【経歴】
金沢大学医学部卒業
精神科単科病院を経て、現在都内クリニック勤務
精神保健指定医、産業医
【免許・資格】
精神保健指定医、産業医

生成AIを頻繁に使う人ほど「抑うつ傾向」が強い?

編集部

米国・マサチューセッツ総合病院の研究員らが発表した内容を教えてください。

公受 裕樹先生公受先生

今回紹介する研究報告は、米国・マサチューセッツ総合病院のRoy H. Perlis氏らによるものです。発表内容は、米国の成人における生成型AIの利用状況と、否定的な情動症状との関連を、全国50州の大規模サンプルで検討した調査研究です。
 
2025年4〜5月に18歳以上を対象としたインターネット非確率調査を実施し、同年8月に分析しました。参加者は2万847人で、平均年齢は47.3歳でした。少なくとも毎日AIを使う人は約10.3%で、内訳は1日1回の使用が約5.1%、1日に複数回の使用が約5.3%でした。毎日以上の頻度で使用している利用者の多くは個人用途(87.1%)で、仕事(48.0%)や学校(11.4%)での利用も報告されました。
 
回帰分析では、利用頻度が高いほど抑うつ症状が非使用者より高い傾向が示され、毎日使用でβ=1.08、1日に複数回でβ=0.86でした。中等度以上の抑うつ症状も非使用者より報告しやすく、同様の傾向は不安やイライラでも見られました。影響は年齢層や個人利用で大きい推定値が示され、因果関係の解明には追加研究が必要と結論づけています。

ストレスや性格も影響。医師が語る「うつ病」の多様な原因とメカニズム

編集部

今回の研究テーマに関連する抑うつ症状を呈する精神疾患の一つ、うつ病の原因について教えてください。

公受 裕樹先生公受先生

うつ病は、一つの原因だけで起こる病気ではなく、いくつもの要因が重なって発症すると考えられています。心理的な負担となる出来事がきっかけになりやすく、身近な人との死別や離別、仕事や健康など大切なものの喪失、人間関係や家庭・職場でのトラブル、昇格や結婚、妊娠といった役割の変化も要因になり得ます。また、義務感が強い、完璧主義、几帳面で努力家などの性格傾向は、心身のエネルギーを使いやすく、成果が得られない状況が続くと負担が増えやすいとされます。さらに遺伝的要因、がんや糖尿病などの疾患、妊娠出産や更年期などの内分泌変化も関係します。
 
最近は、脳内で神経伝達物質の働きが低下し、情報伝達がうまくいかない状態が関与すると考えられており、セロトニンやノルアドレナリンの機能低下が注目されています。つらさを抱え込まず、早めに相談する一歩を踏み出しましょう。

AIはメンタルに悪影響なのか? 研究結果の正しい捉え方と今後の向き合い方

編集部

米国・マサチューセッツ総合病院の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

公受 裕樹先生公受先生

あくまで上記研究は、AIの使用と抑うつ症状の関連性を示したものであり、因果関係やうつ病の要因となることを明らかにしたものではありません。しかし、研究ではAIの使用が心理的な負担を増やす可能性を見出しており、今後よりAIの使用が日常となる時代において、AIとの付き合い方を考えるきっかけとなる研究といえます。

編集部まとめ

米国の大規模調査では、生成AIの利用頻度が高いほど、抑うつ症状や不安・イライラが強い傾向が示されました。心理的負担の増加が発症のきっかけとなりやすいうつ病は、環境要因や性格傾向、身体疾患、内分泌変化などが重なって起こり得ます。AIの使い方を振り返り、疲れや気分の落ち込みを感じたら休憩や相談につなげるなど、日々の生活で負担を増やしすぎない工夫を意識しましょう。

この記事の監修医師