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「百日咳」が全国で急増中… 風邪との違いは? 放置しても自然に治る?【医師解説】

 更新日:2025/07/16

国立健康危機管理研究機構は、2025年第26週(6月23〜29日)の百日咳の速報データを発表しました。累積感染者は4万人近くに上り、首都圏を中心に広がりを見せています。全国的にも感染拡大を見せる中、特に子どもや乳児を守るための正しい理解が求められています。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

国立健康危機管理研究機構が発表した内容とは?

国立健康危機管理研究機構が発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

国立健康危機管理研究機構が発表したIDWR速報データによると、2025年26週(6月23~29日)の百日咳の全国報告数は3353件で、累積報告数は3万9672件に達しました。関東地方では東京都が234件と最多で、埼玉県229件、神奈川県163件、千葉県138件と、首都圏を中心に高い報告数が確認されています。また、茨城県154件、群馬県128件、栃木県92件と、関東地方全体で感染が広がっている状況です。 全国的に広範囲で百日咳の感染報告が続いており、今後も注意深い経過観察と感染予防対策が求められます。

百日咳の症状は? 放置したら自然に治る?

百日咳の症状について教えてください。放置しても自然に治りますか?

本多 洋介 医師本多先生

百日咳は「百日咳菌」によって発症し、主に激しい痙攣(けいれん)性の咳が特徴です。経過は「カタル期」「痙咳期(けいがいき)」「回復期」の3段階に分かれ、全体で約2〜3カ月かけて回復するとされています。初期は風邪のような症状から始まり、次第に咳が強くなっていきます。痙咳期には短い咳が連続して出て、息を吸うときに「ヒュー」という音がすることもあります。咳き込みによって嘔吐や顔面の腫れが起こることもあります。 百日咳は自然に治ることもありますが、治療を受けないと感染が長引き、生後6カ月未満の乳児では肺炎や脳症を引き起こし、重症化することがあります。少しでも疑わしい症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

百日咳の感染者数増加への受け止めは?

国立健康危機管理研究機構が発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

今回紹介されたIDWR速報は、百日咳の地域ごとの流行状況を把握する上で非常に有用な情報です。特に首都圏を中心に報告数が急増している現状から、医療機関では早期診断と感染拡大防止への対応が求められます。ワクチン歴の確認や、咳が長引く場合の鑑別診断も必要でしょう。また、自治体や学校などの集団生活の場では、集団感染を未然に防ぐ対策をおこなっていきましょう。百日咳は、主に飛沫感染と接触感染によって広がる感染症なので、手洗いやうがい、咳エチケットが予防のためには重要です。

編集部まとめ

百日咳は、子どもを中心に感染が広がりやすいですが、大人にもうつる可能性があります。早期の治療で周囲への感染を防ぐことができるため、「ただの咳」と見過ごさないことが大切です。特に子どもがいる家庭では、家庭内感染を防ぐためにも大人が咳の症状に敏感になりましょう。日常の中でも、手洗いや咳エチケットを徹底し、必要に応じて医療機関を受診するよう心がけましょう。

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