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「百日咳」の感染者が全国で増加中… 出勤停止になるのか・治る期間・対処法を医師が解説

 公開日:2025/04/09

厚生労働省の国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、2025年に入って「百日咳」の感染者数が全国的に増加傾向にあるとのことです。都市部・地方を問わず、幅広い地域で報告されています。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

百日咳の感染状況は?

国立健康危機管理研究機構が発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

2025年第13週(3月24日~30日)における百日咳の全国の感染者数は、578人でした。これは前年同週(2025年第12週)の458人と比べて、増加傾向となっています。第13週の感染者数は全国的に分布していますが、特に新潟県で73人と最多となっており、ほかの地域と比べて突出しています。次いで感染者が多かったのは兵庫県で36人、沖縄県で35人、大阪府で33人、東京都で28人でした。また、宮崎県と福岡県ではそれぞれ26人、埼玉県では24人、愛知県では20人の感染が確認されています。さらに、佐賀県、高知県、愛媛県、神奈川県ではいずれも19人の感染者が報告されました。

全国的に見ると、都市部だけでなく地方でも百日咳の感染者がみられ、今後の動向に注意が必要です。感染拡大を防ぐためには、ワクチン接種や咳エチケットの徹底、早期の医療機関受診など、基本的な感染対策を改めて見直すことが求められます。

百日咳の大人も出勤停止になる?

百日咳は大人も出勤停止になりますか? また、何日で治るのか、対処法などについても教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

百日咳は、学校保健安全法において第2種の感染症に定められており「特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで出席停止」とされていますが、大人では出勤停止などの明確な基準はありません。しかし、百日咳は大人にも感染し、強い咳が長期間続くため、医師により出勤停止が指示されることがあります。

百日咳は感染力が高く、特に咳が激しい期間(発症後2~3週間)は他人への感染リスクがあるため、出勤は控えるべきでしょう。治癒までの期間は個人差がありますが、咳は数週間から長いと数カ月続くこともあります。百日咳の対処法としては、安静にして医師の指示に従い抗菌薬を服用すること、咳を悪化させないよう室内の湿度を保つことなどが有効です。

百日咳の感染者増加の発表内容への受け止めは?

国立健康危機管理研究機構が発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

百日咳が全国的に流行してきており、咳が続く場合には百日咳を疑う必要があります。しかし、感染者数が全国で600人弱という状況であるので、過度に恐れる必要はないでしょう。今後、さらに流行してくるかどうかを確認していきましょう。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など、呼吸器疾患をお持ちの方は、感染予防のためにワクチンの任意接種などは考慮してもいいかもしれませんね。

編集部まとめ

全国で百日咳の感染者が増加傾向にあり、大人も例外ではありません。特に新潟県を中心に広がりを見せており、今後の動向には注意が必要です。感染予防にはワクチン接種や咳エチケットの徹底、体調不良時の早期受診を徹底しましょう。

この記事の監修医師

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