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超加工食品で「脳卒中」「認知機能低下」のリスク増加 毎日の食事に潜む“健康リスク”とは

 公開日:2025/05/09

アメリカ、ハーバード大学の研究員らは、超加工食品の摂取量と認知障害および脳卒中のリスクとの関連性を調査しました。この内容について白水医師に伺いました。

白水 寛理

監修医師
白水 寛理(医師)

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長崎大学医学部卒業。現在は九州大学大学院医学研究院脳神経外科所属。専門は脳神経外科。日本脳神経外科学会専門医・指導医。

研究グループが発表した内容とは?

ハーバード大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

白水 寛理 医師白水先生

ハーバード大学の研究員らがおこなった研究によると、超加工食品(UPF)の摂取が高齢者の脳の健康に悪影響を及ぼす可能性が示されました。この前向きコホート研究では、2003~2007年にかけてアメリカの黒人および白人成人を対象に、超加工食品の摂取と認知障害や脳卒中との関連が調査されました。NOVA分類を用いて食品を加工度別に分類し、食生活の質や既知の食事パターン(地中海式、DASH、MIND)との関連性も評価されました。

その結果、超加工食品の摂取量が10%増加すると認知障害のリスクが約16%上昇し、脳卒中のリスクも有意に高まることが明らかとなりました。反対に、未加工または最小限加工食品の摂取はリスク低下と関連していました。特に脳卒中については、超加工食品摂取によるリスク増加が黒人参加者において顕著であった点が懸念されます。

これらの関連性は、既存の健康的な食事パターンの遵守とは独立してみられたため「食品の加工度そのものが脳の健康に重要な影響を及ぼす可能性がある」と結論づけられています。今後は、食事の質だけでなく、食品加工レベルへの注意も求められそうです。

超加工食品とは?

超加工食品とはなんですか? 脳疾患以外のリスクもあるのでしょうか?

白水 寛理 医師白水先生

超加工食品とは、添加糖、脂肪、塩分を多く含み、タンパク質や食物繊維が少ない加工度の高い食品を指します。具体的には、ジューススナック菓子アイスクリームケチャップ包装パンなどが該当します。これらの食品を日常的に摂取することは、脳の健康だけでなく、全死亡率の上昇や認知症リスクの増加、がんの発症率の上昇、さらには肥満のリスクとも関連していることが、複数の大規模な研究で報告されています。驚くべきことに、栄養素を揃えた食事であっても、超加工食品を多く含むだけで体重が増加する傾向がみられました。

こうした健康リスクは、食生活の質とは別に、食品の「加工度」そのものが影響を与える可能性を示しています。将来の健康を守るためにも、できるだけ未加工または最小限の加工食品を選ぶよう心がけましょう。

超加工食品に関する研究内容への受け止めは?

ハーバード大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

白水 寛理 医師白水先生

超加工食品の摂取量が、認知機能障害のリスク増加と関連していることが今回の研究でわかりました。どの食品や加工成分が脳の健康状態に最も影響を与えるかは、今後のさらなる研究が必要ですが「超加工食品はなんとなく健康に悪い」という認識でいたのが、このように証明されたのは大きいのではないでしょうか。超加工食品は身近で気軽に手に入るからこそ、一人ひとりの健康、認知機能に関する意識が必要であると考えられます。

編集部まとめ

ハーバード大学の研究によって、超加工食品の摂取が脳卒中や認知症リスクの上昇と関連することが示されました。さらに、がんや肥満、全死亡率の増加など、様々な健康リスクが報告されています。私たちの生活では、手に取りやすい超加工食品ですが、意識的に野菜や果物、未加工の食品を取り入れることが、健康を守る第一歩です。毎日の食事の選択を見直してみましょう。

この記事の監修医師