「脳卒中はチョコレートで予防できる」研究で判明 脳卒中を防ぐ“食べ物”を医師が解説

大阪大学大学院の研究員らは、チョコレート摂取と脳卒中リスクの関連性について、大規模な日本人対象の前向きコホート研究を通して検討しました。研究では「チョコレート摂取が女性の脳卒中リスクの低下と有意に関連している」と報告されています。この内容について本多医師に伺いました。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
研究グループが発表した脳卒中に関する研究内容とは?
大阪大学大学院の研究員らが発表した内容を教えてください。
本多先生
大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野、筑波大学医学医療系公衆衛生医学講座、そして国立がん研究センター社会と健康研究センター疫学・予防グループの研究者らが実施した日本の大規模な前向きコホート研究によると、チョコレートの摂取が女性における脳卒中リスクの低下と関連していることが示されました。
本研究は、1995年と1998年のベースライン時に心血管疾患などの既往がない44〜76歳の男女約8万5000人を対象に、2009年末または2010年末まで追跡調査をおこないました。138種類の食品を含む質問票からチョコレートの摂取量を評価し、脳卒中の発症との関連性を統計的に解析した結果、特に女性において有意なリスク低下がみられました。その一方、男性においては、有意な関連が認められませんでした。また、脳卒中のタイプによる差も確認されませんでした。
この研究結果は、チョコレートの摂取が女性の脳卒中予防につながる可能性を示唆していますが、因果関係を断定するには至らず、生活習慣や食事などの交絡因子の影響を完全に排除できない懸念も残されています。
脳卒中予防に効果的な食べ物とは?
脳卒中予防に効果的な食べ物があれば教えてください。
本多先生
脳卒中予防に効果的な食べ物としては、まず青魚が挙げられます。青魚に含まれるDHAやEPAには、血栓をできにくくし、LDLコレステロールを下げる働きがあります。また、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンやビタミンC、果物に含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化の原因となる活性酸素を除去してくれます。海藻類に含まれる水溶性食物繊維は、コレステロールや中性脂肪を排出し、カリウムは血圧を下げる効果があります。さらに、オリーブオイルなどに含まれるオレイン酸はLDLコレステロールを下げる働きがあり、大豆に含まれるマグネシウムは血管の収縮を防ぎ、血液の流れをスムーズに保つ役割を果たします。
日々の食生活にこれらの食材を取り入れ、バランス良く食事をすることを心がけましょう。
脳卒中に関する研究内容への受け止めは?
大阪大学大学院の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
本多先生
チョコレートが女性における脳卒中のリスクを低下する可能性が示唆されたことは、面白い発見であると思います。ただし、チョコレートを食べ過ぎれば糖尿病のリスクも上がるため、とりあえずチョコレートを食べればいいということではないでしょう。また、男性においては予防効果が示されなかったというのも興味深いです。甘い食べ物が好きであることが多い女性において予防効果があった点は、非常にユニークとも言えると思います。チョコレートと脳卒中リスクの因果関係に関しては今後の新しい研究結果に期待するとして、もし本当に女性においてチョコレートが脳卒中のリスクを低下させることが証明されたならば、それは神様のいたずらかもしれませんね。
編集部まとめ
今回の研究では、チョコレートの摂取が女性の脳卒中リスクの低下に関係している可能性が示されました。健康維持には、日々の食事全体のバランスが重要です。青魚や野菜、果物、海藻、大豆などを積極的に取り入れることで、脳の健康を守る食生活を実現できます。甘いものも上手に摂取しつつ、無理なく予防につなげていきましょう。