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1日5杯のコーヒーで「脳卒中」リスク増加 コーヒーは1日何杯までなら健康的かご存じですか?

 公開日:2025/04/01

カナダのマクマスター大学の研究員らは、お茶やコーヒーの摂取と急性脳卒中の発症リスクの関連性を調査しました。その結果、1日5杯以上のコーヒーは脳卒中の発症リスクを上昇させることが明らかになりました。この研究成果は学術誌「International Journal of Stroke」に掲載されています。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

研究グループが発表したコーヒーに関する研究内容とは?

マクマスター大学の研究員らが発表した、コーヒーに関する研究内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

マクマスター大学の研究員らは、お茶とコーヒーの摂取と急性脳卒中リスクの関連性を調査しました。研究には、32カ国142施設の参加者が含まれ、飲料の摂取量と脳卒中の関連性が分析されました。

その結果、1日5杯を超えるコーヒーの大量摂取は、脳卒中リスクを上昇させることが示されました。その一方で、お茶の摂取は脳卒中リスクの低下と関連があり、特に紅茶や緑茶を適量摂取することが有益であると考えられています。また、地域ごとの分析では、コーヒーの摂取が西ヨーロッパや北アメリカは脳卒中リスクの低下と関連していたものの、南アジアではお茶の摂取が逆にリスクを高める可能性が示唆されました。このような地域差は、飲料の種類や加工方法、文化的要因などが影響していると考えられます。

この研究は、多様な地域からのデータを用いた大規模な国際研究であり、脳卒中予防に関する重要な知見を提供しています。ただし、ケースコントロール研究であるため因果関係を確定することは難しく、飲料摂取量の測定が1回のみであった点や、砂糖やそのほかの添加物の影響を考慮できなかった点など、いくつかの限界もあります。そのため、さらなる研究が求められると考えられます。

コーヒーは1日何杯が適切?

コーヒーは、1日に何杯までなら飲んでも大丈夫ですか? ほどよく飲めば健康効果はありますか?

本多 洋介 医師本多先生

コーヒーの適切な摂取量については、健康な成人の場合、カフェインの摂取上限を1日400mgとする国際基準が一般的です。これはマグカップ約3杯分(1杯約237ml)に相当します。一方、妊婦や授乳中の女性は300mg(約2杯)までに制限することが推奨されています。

適量のコーヒーは、健康に良い影響をもたらす可能性があります。例えば、コーヒーに含まれる抗酸化物質は炎症を抑えたり、心血管疾患のリスクを低減させたりする可能性が指摘されています。また、適度なカフェイン摂取は集中力の向上や疲労感の軽減にも役立ちます。ただし、過剰摂取は不眠や動悸、胃の不快感を引き起こすため注意が必要です。個人の体質やライフスタイルに合わせて適量を守ることが重要です。

コーヒーに関する研究内容への受け止めは?

今回のコーヒーに関する研究内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

今回の研究では、お茶やコーヒーの摂取量と急性脳卒中リスクとの関連が報告されました。今後のさらなる研究が必要であるものの、適量のコーヒーがリスクの低下と関係している可能性が示唆されたわけですが、嗜好品が生活習慣病と関係しているという観点は非常に興味深いです。以前は、フランス人を対象にした研究でワインが健康に役立つかどうかということが報告されたこともあります。適量のコーヒーを万人に勧めるわけではありませんが、自分の好きな飲み物・食べ物が生活習慣病のリスクとどう関わっているかを一度見直してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

健康な成人のカフェイン摂取上限は1日400mg(コーヒー約3杯分)とされ、適量を守れば抗酸化作用や集中力向上などの健康効果も期待できます。日々の生活では、飲みすぎに注意しながら、適量のコーヒーやお茶を楽しみながら健康維持を意識しましょう。

この記事の監修医師

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