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厚労省「レプリコンワクチン」製造販売を了承 “新たなコロナ対策”に期待高まる

 公開日:2024/09/24

厚生労働省の専門家部会は、Meiji Seikaファルマが開発した自己増幅型の新型コロナウイルスワクチンの製造販売の承認を了承しました。この内容について小幡医師に伺いました。

小幡 史明

監修医師
小幡 史明(医師)

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自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会 みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

厚生労働省の専門家部会が了承した内容とは?

厚生労働省の専門家部会が了承した内容について教えてください。

小幡 史明 医師小幡先生

今回紹介するのは、厚生労働省の専門家部会が2024年9月12日に明らかにした、新型コロナウイルスJN.1株対応ワクチン、「コスタイベ」の製造販売の承認了承についてのニュースです。

このワクチンは、製薬会社のMeiji Seikaファルマが開発したもので、メッセンジャーRNAワクチンを改良した新しいタイプの「レプリコンワクチン」と呼ばれています。レプリコンは、日本語で「自己増殖型」という意味です。レプリコンワクチンは接種後の一定期間、ウイルスの働きを抑える中和抗体の産生につながるmRNAが体内で増えるという特徴を持っています。そのため、接種量は従来の6分の1から20分の1で済み、少量の接種で効果が長く続く特性があります。

Meiji Seikaファルマがおこなった臨床試験では、接種後1カ月時点で、血中の中和抗体量は接種前の8倍、半年時点でも4倍の数値が確認されたとのことです。海外製の承認済みワクチンと比べて中和抗体量が高く、副反応の頻度に違いがみられなかったことも示されています。

レプリコンワクチンとは?

Meiji Seikaファルマが開発した「コスタイベ」は、レプリコンワクチンという新しいタイプのワクチンとのことですが、レプリコンワクチンについて詳しく教えてください。

小幡 史明 医師小幡先生

先ほども触れましたが、レプリコンワクチンとは、従来のmRNAワクチンを改良したワクチンです。自己増幅型RNAを持つため、細胞内でRNAが増殖して、少量の投与でも十分な免疫反応を引き起こすことが期待されています。

Meiji Seikaファルマによる臨床試験の結果を紹介しましたが、ARCT-154というレプリコンワクチンを対象にした臨床試験では、重症化予防効果が95.3%、発症予防効果が56.6%という結果が示されています。また、ARCT-154を追加接種した場合もウイルスに対する中和抗体価が6カ月以上持続することが確認された研究結果も示されています。

今回のニュースへの受け止めは?

今回のニュースで紹介したレプリコンワクチンの承認について、どのように受け止めているか教えてください。

小幡 史明 医師小幡先生

自己増殖型RNAを利用することで、少量の投与でも持続的な免疫反応を引き起こす特性により、レプリコンワクチンの供給効率が高まり、多くの人々に迅速に接種できる可能性があります。臨床試験では、接種後の中和抗体の増加が確認されており、海外製ワクチンと比較しても高い効果が示されています。副反応の頻度に大きな違いが見られなかったことも、安全性の面で安心できる材料です。

また、承認されると約430万回分が供給される予定であり、広範な接種が可能になることで、集団免疫の強化につながることが期待されます。定期接種に組み込まれることで、長期的な感染予防に大きく寄与するはずです。さらに、重症化予防効果が高いことから、医療現場の負担軽減にもつながる可能性があります。レプリコンワクチンの承認は、新型コロナウイルス感染症対策において前向きな進展として歓迎されますが、今後もデータの収集と分析を継続し、最適な接種戦略を検討していく必要があります。

まとめ

厚生労働省の専門家部会は、Meiji Seikaファルマが開発したレプリコンワクチンの製造販売の承認を了承しました。新型コロナウイルスをきっかけに、メッセンジャーRNAワクチンは大きな注目を集めましたが、今後も技術の進歩は続いていきそうです。

この記事の監修医師