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コンドームを着けずに性感染症を予防!? アメリカでの使用率は10年で3割低下

 更新日:2023/10/12
アメリカでは10年で使用率が約3割低下 性感染症予防策が「脱コンドーム化」?

性感染症患者の世界的な増加により予防としての治療(TasP)が重視される中、アメリカでのコンドームの使用率が2011~2021年の間に75%から42%に急減しているようです。この内容について、中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

性感染症予防策についての懸念とは?

アメリカなどでは予防としての治療が重視される中、コンドームの使用率の懸念が指摘されていますが、一体どのような背景があるのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

アメリカでの性感染症の症例は2021年には250万件に達し、特に「クラミジア」「淋病」「梅毒」の感染者が急増しています。こうした中、予防に効果的なコンドームのアメリカでの使用率は2011~2021年の間に75%から42%に急減している現状があります。

アメリカ公衆衛生局は予防としての治療に焦点を当てており、ドキシサイクリンという抗生物質をクラミジア、淋病、梅毒の感染予防薬として使う予防法「doxy-PEP」に注目が集まっており、2023年7月には全米性感染症科長連合会(NCSD)がガイドラインを公表しています。doxy-PEPは、HIVに感染しているか、抗レトロウイルス薬を含むPrEP(曝露前予防内服)などのHIV感染予防薬を服用しているゲイやバイセクシュアルの男性、トランスジェンダーの女性を対象に主に利用されています。PrEPはHIVに感染していない人が利用することで、性行為によるHIV感染を99%予防できるとされています。そして、HIV感染者は、治療薬を適切に服用し続けることで体内のウイルス量が検出限界以下になるため、他人に感染させる可能性がなくなるとされています。こうした新しい予防方法であるPrEPの使用は、コンドームの使用率が大幅に下がることを示す研究も出ています。

「doxy-PEP」の有用性は?

「doxy-PEP」にはどのような効果があるのかについての研究結果があれば教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

doxy-PEPの有効性については、アメリカのザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院・外傷センターらの研究グループが実施した研究が、学術誌「NEJM:The New England Journal of Medicine」2023年4月6日号で報告されています。研究グループは、被験者をコンドームを使用しない性交から72時間以内にドキシサイクリンの錠剤を内服する群とドキシサイクリンを使用しない標準治療を受ける群に分け、年4回の性感染症の検査を実施しました。その結果、性感染症の発生率はドキシサイクリン群が標準治療群と比べて有意に低いという結果が出ています。

日本ではアメリカと同様の懸念は起きる?

今回記事で紹介したのは、アメリカで起きている予防としての治療を重要視する傾向とコンドームの使用率の低下でした。これは日本では同じような懸念が起きる可能性はあるのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

アメリカのみならず欧州でも同様の風潮がみられていることから、おそらく日本でも薬剤の使用が許可されればコンドームの使用頻度の低下がみられるようになると考えられます。こうした性感染症を予防する手段が増えることは喜ばしいことですが、体液や皮膚を通じて性感染症に感染するリスクがなくなることはありません。さらに、ドキシサイクリンに分類される抗菌薬に対する耐性が強まる可能性もあります。薬剤の導入にあたっては薬剤のみではなくコンドームの使用や性病の検査など、複数のモダリティの組み合わせが重要となるでしょう。

まとめ

性感染症が世界的に増加により予防としての治療が重視される中、コンドームの使用率はアメリカでの使用率が2011~2021年の間に75%から42%に急減しているなど、使用率低下が懸念されている現状を今回のニュースでお伝えしました。性感染症の予防としてコンドームの装着は有効な方法なので、使用して安全性を確保することが重要になりそうです。

この記事の監修医師