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新たな感染症のパンデミックに備えて東京大学がワクチン製造施設を建設 来年度にも稼働へ

 公開日:2023/07/31
東京大学がワクチン製造新施設 来年度にも稼働へ

「東京大学が、国内の研究機関や創薬新興企業が開発したワクチンを即時に製造する新施設を来年度にも稼働させることがわかった」と読売新聞が報じました。大学のワクチン製造施設は国内初となりますが、この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

読売新聞が報じた内容とは?

読売新聞が報じた、東京大学による新施設について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する内容は、読売新聞が7月18日に報じたニュースについてです。読売新聞によると、東京大学は新たな感染症のパンデミックに備えるために、国内の研究機関や創薬新興企業が開発したワクチンを即時に製造する新施設を来年度にも稼働させるとのことです。安全性や有効性を確かめる治験を早期におこなえる体制を平時から整え、国産ワクチンの実用化を後押しすることが狙いとされています。

施設は地上4階建てで、千葉県柏市にある東京大学のキャンパス内の敷地に建設し、2023年度末の完成を予定しているようです。新たな感染症のパンデミックが起きた緊急時には、建設する新施設の製造ラインを研究機関や企業に開放して、製造したワクチンを治験に協力する病院で接種してもらうことを想定しており、実用化までに最短10年はかかるとされていたワクチン開発の期間を短縮したい考えです。

こうしたワクチン開発の迅速化については、2021年のG7サミットで100日以内にワクチンや薬の実用化を目指す「100日ミッション」が提唱されており、国際的な課題として認識されています。

今回の報道の受け止めは?

東京大学がワクチン製造新施設を作ると報じられた内容についての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

周知のとおり、我が国で使用されている新型コロナウイルスのワクチンは国内産ではなく、全て輸入されています。なぜ日本でワクチンができなかったのかというと、我が国の研究のレベルが英国、米国、中国、ロシアなどの国々より劣っていたわけではなく、ワクチン製造に関わる多種のノウハウ(ワクチンの開発や臨床治験など)を集約するセンターがなかったためと考えられます。今回、そのセンターを担う新施設ができることで、国内産ワクチンの実現が一気に加速されるものと思われます。

国内でのワクチン早期開発の重要性は?

国内で新しい感染症のワクチンを早期に開発することの重要性を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今後、新型コロナウイルス以外にも未知のウイルスが出現する可能性があり、その場合は国民の生命を守るため、いち早くワクチンが使用できることが必要です。そのためには、国内産のワクチンは必須の条件です。自国でのワクチン開発は疾患の予防を超えて、国の存亡にかかわる一大事となっています。

まとめ

東京大学が、国内の研究機関や創薬新興企業が開発したワクチンを即時に製造する新施設を来年度にも稼働させることが、今回のニュースでわかりました。今後、新型コロナウイルス収束後も新たな感染症が出てくる可能性はあるので、こうした施設の建設など備えを固めることが重要になりそうです。

この記事の監修医師