塩野義の新型コロナ飲み薬「後遺症リスクを45%下げる」最終段階の治験結果
塩野義製薬は新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、後遺症とみられる症状のリスクが偽薬を飲んだグループと比べて45%少なくなったという治験の結果を発表しました。このニュースについて竹内先生にお話を伺います。
監修医師:
竹内 想(医師)
塩野義製薬が発表した内容とは?
塩野義製薬が発表した新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」の治験の結果を教えてください。
竹内先生
塩野義製薬は開発した新型コロナウイルスの飲み薬ゾコーバについて、最終段階の治験の結果を2月22日に発表しました。
新型コロナウイルス感染後に一定程度の症状があった治験の参加者のうち、ゾコーバを服用したグループではせきやのどの痛み、倦怠感、味覚障害などの14症状のいずれかを半年後に訴えたのは14.5%となりました。一方で偽薬を服用したグループでは、こうした症状を訴えたのは26.3%だったことから、「ゾコーバを服用したグループと偽薬を服用したグループを比べると後遺症リスクが45%低くなる」という結果が出ました。
また、「集中力や思考力の低下、物忘れや不眠などの神経症状が出るリスクも33%下がった」としています。ほかにも発表では「感染性を持つ新型コロナウイルスが陰性となるまでの時間がゾコーバの服用によって有意に短縮する」「ゾコーバを3回投与した後の4日目の時点で96%の患者が陰性になった」というデータも新たに示されました。
新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」とは?
今回のニュースで取り上げる治療薬「ゾコーバ」について教えてください。
竹内先生
ゾコーバは塩野義製薬が開発を進めていた治療薬です。新型コロナウイルスの増殖を抑制する効果があり、軽症者や無症状者向けの飲み薬となります。感染初期に1日1回、5日間自宅などで服用することで重症化を防ぐ効果が期待されています。
ゾコーバをめぐっては、2022年11月22日に厚生労働省が緊急承認しました。軽症者にも使うことができる初めての国産飲み薬となり、日本政府は既に200万人分を購入しています。
今回発表された後遺症抑制効果についての受け止めは?
今回発表されたゾコーバによる後遺症抑制効果について受け止めを教えてください。
竹内先生
通常の感染症と比較すると、新型コロナウイルスは時間が経ってからも多くの人が後遺症に悩むことが特徴です。完全ではないにせよ、後遺症を抑制する効果が示された薬の登場によって、後遺症に悩む人が減ることを期待します。
まとめ
塩野義製薬が、新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、後遺症とみられる症状のリスクが偽薬を飲んだグループと比べて45%少なくなったと発表したことが今回のニュースでわかりました。塩野義製薬は、1年後の時点まで追跡調査を続けるとしていています。