致死率最大88%の感染症「マールブルグ病」アフリカで確認 厚生労働省が注意喚起
2月13日、WHO(世界保健機関)は致死率が最大で88%の「マールブルグ病」が、アフリカ中部の赤道ギニアで初めて確認されたと発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
目次 -INDEX-
WHOが発表した内容とは?
WHOがマールブルグ病について発表した内容を教えてください。
中路先生
2月13日、WHOは「アフリカの赤道ギニアで、マールブルグ病の発生を初めて確認した」と発表しました。WHOによると、マールブルグ病と似たような症状で9人が死亡し、そのうち1人が陽性だったとのことです。また、このほかに発熱や血液の混じった吐物や下痢などの症状を持つ疑いのある患者が16名報告されています。
WHOによると、「感染が確認された地区では、接触者を追跡して病気の症状を示す人々を隔離して治療している」とのことです。WHOは専門家を派遣し、国の対応活動を支援するとともに、サンプル検査用のテントや500人の医療従事者が使用できる個人防護具などの支援を促進しています。
今回の赤道ギニアでのマールブルグ病の確認について、WHOのアフリカ地域ディレクターは「マールブルグ病は非常に感染力の強い病気ですが、赤道ギニア当局が迅速かつ果断な行動で病気を確認し、緊急対応ができたおかげで命が救われ、ウイルスをできるだけ早く食い止めることができています」とコメントしています。
マールブルグ病とは?
赤道ギニアで初めて確認されたマールブルグ病について教えてください。
中路先生
WHOによると、マールブルグ病は、出血熱を引き起こす強毒性疾患で、致死率は最大で88%に上るとされています。原因となるウイルスは、エボラ出血熱の原因となるウイルスと同じフィロウイルス科に属しています。マールブルグウイルスによる病気は突然発症し、高熱や激しい頭痛、激しい倦怠感などを伴うとのことです。また、多くの患者は、7日以内に重度の出血性症状が出てきます。
日本ではこれまでに患者は確認されていませんが、感染症法では最も危険度の高い1類感染症に指定されています。感染経路について、今回発表されたWHOの文章ではフルーツコウモリが指摘されています。ただし、国立感染症研究所によると自然界におけるこのウイルスの宿主は現在も不明で、どのようにヒトにウイルスが伝播されるかも全く分かっていないとされています。治療については、現在のところ対症療法以外はなく、感染を予防するワクチンもありません。
日本への影響は?
今回の発生を受けて、厚生労働省は渡航者への注意を呼びかけたり、患者の搬送体制を確認したりするよう求める通知を都道府県などに出していますが、日本への影響はどれくらいあると考えられますか?
中路先生
マールブルグ病の感染経路は、主に接触感染です。感染の拡大力は弱いため、十分な水際対策をすればたとえ日本に流入したとしても、感染拡大は防ぐことは可能であると考えます。想像以上に、恐れる必要はないと思われます。
まとめ
2月13日、WHOは致死率が最大で88%のマールブルグ病が、アフリカ中部の赤道ギニアで初めて確認されたと発表したことが今回のニュースでわかりました。日本の感染症法でも1類に指定されているだけに、今後の動向に注目が集まります。