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オミクロン株対応2価ワクチン「高い発症予防効果」を確認 国立感染症研究所の調査結果

 更新日:2023/03/27
オミクロン株対応2価ワクチン、高い発症予防効果を報告

12月13日、国立感染症研究所はオミクロン対応2価ワクチンについて、高程度の発症予防効果がみられたことを報告しました。このニュースについて郷先生にお話しを伺います。

郷 正憲医師

監修医師
郷 正憲(医師)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。

オミクロン株対応2価ワクチンとは?

オミクロン株対応2価ワクチンと従来の1価ワクチンについて教えてください。

郷 正憲医師郷先生

2021年末に出現したオミクロン株は、今もなお流行が続いています。2価ワクチンの接種が開始された9月20日~11月30日時点で、関東地方におけるオミクロン株BA.5系統が占める割合は75~90%以上とされています。従来の1価ワクチンでは、オミクロン株に対する有効性が低く、免疫も持続しづらいことから、国内ではファイザー社およびモデルナ社においてオミクロン株対応の2価ワクチンの研究・開発が進められました。オミクロン株の流行が続く中、厚生労働省は感染や発症、重症化予防の目的で、2022年9月12日にオミクロン株対応2価ワクチンを薬事承認し、同年9月20日より順次接種が開始されています。

オミクロン対応2価ワクチン調査から分かったこととは?

国立感染症研究所のオミクロン対応2価ワクチンの調査から、どのようなことが分かったのか教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回の国立感染症研究所の調査は、2022年9月20日~11月30日の期間で、関東地方の10医療機関の発熱外来などを受診した16歳以上の患者のうち、4040名を対象におこなわれました。今回の調査では、「ロジスティック回帰モデル」を用いて、オッズ比と95%信頼区間(CI)を算出しています。

対象者をワクチン接種歴で17分類して、PCR検査の陽性者と陰性者とで比較しました。その結果、オミクロン株対応2価ワクチン(BA.1かBA.4,5を問わない)接種後14日以降で、発症予防効果が71%であることが分かりました。今回の調査結果から、「オミクロン対応2価ワクチンには高程度の発症予防効果がある」と結論付けられました。ただし、本報告は接種~検査までの期間が非常に短期間であったため、免疫の減退については今後のさらなる検討が重要であると言われています。

オミクロン対応2価ワクチン調査の受け止めは?

国立感染症研究所のオミクロン対応2価ワクチンに関する報告について受け止めを教えてください。

郷 正憲医師郷先生

上述のデータから、2価ワクチンは非常に有効性が高いということが分かりました。また、この研究では触れられていませんが、重症化予防にも強い効果があるというデータもあります。重症化予防については、既にある1価ワクチンでも十分なものがありましたが、オミクロン株そのものの重症化率が比較的低いこともあり、1価ワクチンを接種し続けるのと途中から2価ワクチンに変更する事を比べたときに重症化率が違うというデータはありません。

ただし今後、オミクロン株の特徴を持ちながら重症化率が高いウイルスに変異する可能性もないわけではありませんから、そのようなときにこのワクチンを接種していることで重症化を予防できる可能性も高いと推測されます。また、重症とは言わずとも新型コロナウイルスは、嗅覚障害や長引く咳、「ブレインフォグ」と呼ばれる集中力が下がる状況などの後遺症が非常に問題となっています。既に1価ワクチン接種による後遺症の予防効果は証明されていますが、この2価ワクチンでも同様の効果が検討されるものであると思います。少なくとも1価ワクチンよりも予防効果が弱いということはないと推察されます。

利点ばかりではなくワクチンの副反応についても目を向けたとき、1価ワクチンよりやや強かったという人もいる一方で、1価ワクチンよりもむしろ副反応が弱かったという人もいらっしゃいます。どの程度差があるのかというデータはまだ出てきていないですが、少なくとも副反応が異常に強いということはなさそうです。以上のことから、次からワクチンを接種する場合は2価ワクチンを接種した方がいいと考えられます。

まとめ

国立感染症研究所の調査から、オミクロン対応2価ワクチンには高程度の発症予防効果があることが分かりました。オミクロン株の流行が続く中、追加のワクチン接種を含めた、適切な感染対策を継続していくことが重要です。

この記事の監修医師