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新型コロナウイルスとインフルエンザ同時流行の可能性「極めて高い」

公開日:2022/10/11
新型コロナとインフルエンザ 同時流行の可能性

厚生労働省の専門家会合は10月5日、来年春にかけて新型コロナウイルスと季節性インフルエンザが同時に流行する可能性が「極めて高い」との見方を示しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼孟医師

監修医師
甲斐沼 孟(医師)

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2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。
著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。
日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

専門家組織が指摘した見解は?

今回、厚生労働省の専門家会合が指摘した見解について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

10月5日の専門家会合で、新型コロナウイルスの現在の感染状況についての分析がおこなわれました。新型コロナウイルスについては、「全ての地域で減少傾向が続き、大都市の短期的な予測などからは多くの地域で減少傾向が続くとみられる」との見解が示されました。ただし、一部の地域では、感染者数の減少傾向に鈍化がみられていることや免疫が時間とともに低下すると考えられることなどから、今後は高齢者での感染拡大が懸念されるとも指摘がありました。

専門家会合では、新型コロナウイルスとインフルエンザの流行についての短期的な見通しも示されて、これからの半年間で新たな新型コロナウイルスの感染拡大と季節性インフルエンザの流行が起きる可能性は「極めて高い」と指摘しています。こうした分析の内容を踏まえた上で専門家会合は、オミクロン株に対応した新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザのワクチンの接種率を上げることや、新型コロナウイルスとインフルエンザを診断・治療できる体制整備、感染状況を把握する体制づくりなどの必要性を指摘しています。

今シーズンのインフルエンザの流行予測は?

今シーズンのインフルエンザの流行予測を教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今シーズンのインフルエンザの流行については、7月に日本感染症学会が各医療機関に対して提言を発表しています。この提言によると「南半球のオーストラリアでの流行を見てみると2022年4月後半からインフルエンザ感染者の報告数が増加しており、例年を超えるレベルの患者数となり医療のひっ迫が問題となっている。日本でも今年の秋から冬にかけて、オーストラリアと同様の流行が起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

さらに、日本感染症学会は「この2年間は日本国内でのインフルエンザ流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下していると考えられる。ひとたびインフルエンザの感染が広がると、小児を中心に大きな流行となる恐れがある」と指摘しています。また、今年の流行が予想されているインフルエンザウイルスについては、「オーストラリアで本年度に検出されたインフルエンザウイルスのうちサブタイプが判明したものでは、約80%がA(H3N2)、約20%がA(H1N1)だったことから、日本でもA(H3N2)香港型の流行が主体となる可能性がある」と指摘しています。

同時流行に対してできることは?

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行の可能性が指摘されていますが、私たちができることについて教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

新型コロナウイルス感染症の流行拡大が始まって以降、日本国内では手指衛生対策の徹底などの理由からインフルエンザは流行していませんでしたが、2022年の冬季は新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されています。両ウイルスの猛威に備えるために、WHO(世界保健機関)や日本ワクチン学会は「生後6カ月以上」の全ての人、特に生後6カ月~5歳未満の小児や妊婦さんに欧米などで流行が認められたA香港型を含む4種類(A型2種類、B型2種類)の株を対象としたインフルエンザワクチンの接種を推奨しています。インフルエンザワクチンの接種時期に関しては、接種以降2週間~約5カ月程度は感染予防効果が期待できる観点から、今年の10月末~11月にかけて接種するのが望ましいと考えられています。接種回数については、厚生労働省や日本小児科学会が、生後6カ月~13歳未満の場合は原則的に2回(1回目と2回目は2~4週間の間隔を空ける)を推奨しており、13歳以上の場合は1回の接種が基本となっています。

国や厚生労働省は、同時流行懸念に備えて国民が発熱した際に「重症化リスクの低い人は抗原検査キットを使用して新型コロナウイルスの検査をおこなうように」と呼び掛けています。また、新型コロナウイルスが陰性であった場合、病院など医療機関のひっ迫を回避するために「オンライン診療で医師による診察を受けて、もしインフルエンザと診断された場合には処方が必要な薬剤を自宅に配送できる体制を前向きに整備している」と伝えています。

まとめ

厚生労働省の専門家会合が10月5日、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行の可能性が「極めて高い」との見方を示したことが、今回のニュースで明らかになりました。この2年間、インフルエンザの流行がなかったので、今回の流行予測には警戒が必要になりそうです。