新型コロナウイルス第8波の可能性「非常に高い、場合によっては行動制限も視野に」
新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家会合で、第8波の流行ついて「非常に高い」との分析が示されています。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
専門家会合で示された分析は?
厚生労働省の専門家会合で示された新型コロナウイルスに関する分析について教えてください。
甲斐沼先生
10月20日に開かれた専門家会合では、新型コロナウイルスの現在の感染状況について「ほぼすべての地域で増加に転じ、特に北海道や東北で大きく増加している」と指摘しています。ただし、「連休の影響を考慮する必要がある」ということも指摘されています。また、高齢者の新規感染者数も増加に転じていて、減少が続いていた重症者や亡くなる人の数は下げ止まりました。さらに、会議では「今後、高齢者での感染拡大が懸念される」ということも指摘されています。そして、大都市などでの短期的な予測では増加傾向が続く可能性があることやインフルエンザとの同時流行についても懸念が示されました。
会合では、国内の多くの地域で感染者数が増加に転じていることやヨーロッパやアジアの一部の国々で感染拡大が起きている状況などから、第8波の流行が起こる可能性については「非常に高いと考えられる」と分析しています。新型コロナウイルスの感染者数が膨大となり医療のひっ迫が生じた場合やウイルスの変異で病原性が強まった場合などは、行動制限を含めた強力な措置が考えられるとのことです。
第8波の流行の可能性に対する受け止めは?
新型コロナウイルスの第8波の流行が危惧されていますが、先生の見解を教えてください。
甲斐沼先生
日本よりも一足先に気温が下がるドイツやフランスなどの西ヨーロッパでは、2022年10月以降、新規感染者数が増加しています。我が国でも10月中旬以降、新型コロナウイルスによる感染者数が北日本などを中心に再び増加傾向にあることが確認されており、今年末からの冬場のシーズンにかけて第8波の流行が起きると予測されています。
新型コロナウイルスのように飛沫感染によって伝播するウイルスは、人と人の距離が接近して換気が頻回におこなわれなくなる冬場などの寒い季節に非常に流行しやすいと考えられています。また、これまで使用されてきた従来株対応のワクチンでは、現在流行しているオミクロン株への感染予防効果が弱く、短期間で減衰してしまう傾向にあります。2022年9月より開始されているオミクロン株対応ワクチンによる追加接種の接種率も未だ低い状況を推移しているため、ワクチン効果による防御が手薄になっており、これからの冬期シーズンにおいての新型コロナウイルス再流行が懸念されます。
第8波の流行に備えて
国内で新型コロナウイルスの第8波の流行に備えて、私たちはどのようなことに注意すればいいのでしょうか?
甲斐沼先生
第8波の流行の対策としては、流行拡大前にオミクロン株対応ワクチンを接種しておくことが挙げられます。BA.5株がこの冬場に再燃したとしても、それらをターゲットとした対応ワクチンを接種しておけば、感染予防や重症化予防に一定の効果を発揮して、健康被害を極力少なくすることが可能となります。また、万が一オミクロン株とは別の変異株が流行したとしても、オミクロン株対応ワクチンには従来株も含まれているため、新型コロナウイルス全般に対する免疫機能を強化することが期待できます。政府は2022年末までに全国民への追加接種を計画しており、必要なワクチン数も確保していますので、適切な時期にオミクロン株対応ワクチンを接種することを前向きに検討しましょう。
まとめ
新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家会合で、第8波の流行ついて「非常に高い」との分析が示されたことが今回のニュースで明らかになりました。水際対策の緩和や全国旅行支援などWithコロナ政策が進む中、今後の全国の感染状況の増加傾向が注目されます。