コロナ・インフル同時流行に備えて「抗原検査キット」と「解熱剤」の購入を呼びかけ 厚生労働省
厚生労働省は今冬の新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えて、抗原検査キットと解熱剤の事前購入を国民に呼びかけることを決定しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
今回のニュースの内容は?
厚生労働省が、抗原検査キットと解熱剤の事前購入の呼びかけを決定したことについて教えてください。
甲斐沼先生
今回のニュースは、今冬に懸念されている新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に関する内容です。厚生労働省は、同時流行に備えて新型コロナウイルス抗原検査キットと解熱剤の事前購入を国民に呼びかけることを決定しました。啓発チラシを作成して、自治体などを通じて周知を図る予定とのことです。
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザが同時流行した場合、1日で最大75万人の発熱患者が出る可能性があるとのことです。今回の呼びかけは、発熱外来のひっ迫を避けることが目的となります。また、同時流行について、厚生労働省は「感染が落ち着いている」「感染者の増加がみられ同時流行の兆しがみられる」「同時流行により医療逼迫が懸念」の3段階に分類しており、10月28日の加藤厚生労働大臣の会見によると、現在は「感染が落ち着いている」という状況だということです。さらに、加藤厚生労働大臣は会見で、発熱などの症状が出た際の相談窓口を確認しておくことを求めています。検査キットについて、政府は新型コロナウイルス抗原検査キットを約2億4000万回分、医療機関で使用する新型コロナウイルス・インフルエンザ同時検査キットを約3800万回分確保しているとのことです。
抗原検査キットと解熱剤の事前購入の重要性は?
同時流行への備えとして、新型コロナ抗原検査キットと解熱剤の事前購入することについての重要性を教えてください。
甲斐沼先生
新型コロナウイルスに対する抗原検査キットと解熱鎮痛薬を事前に購入しておけば、万が一発熱外来など医療体制がひっ迫した際に、重症化リスクの低い若者らを中心とする患者層に自宅療養してもらうことが可能になります。厚生労働省は、重症化リスクの高い高齢者や慢性疾患を抱える人、妊婦、乳幼児らが確実に発熱外来を受診できるように、基礎疾患を有さない健常者は自宅で抗原検査キットを使用するように呼びかけています。そして、検査で陽性が出た場合、自治体の健康フォローアップセンターに登録して基本的に解熱鎮痛剤を適宜服用しながら自宅療養を進める、あるいは検査陰性であればインフルエンザの感染を疑い、必要に応じて対応可能医療機関でオンライン診療を実施したり、最寄りのかかりつけ医を受診したりするといった方向性になると考えられています。
新型コロナウイルスの抗原検査キットや解熱鎮痛薬を事前に準備して購入しておくことで、感染流行がみられる期間において発熱時に慌てずに対応できると想定されます。
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザ同時流行によって発熱した場合の対応は?
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザが同時流行した際、発熱したときにどのような行動を取ればいいのでしょうか?
甲斐沼先生
今冬の新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行の際に発熱した場合は、重症化リスクの高い高齢者、小学生以下の子ども、基礎疾患のある人、妊娠中の女性は、発熱外来などを受診する必要があります。それ以外の人は、事前購入してある新型コロナウイルス抗原検査キットで自主検査します。陽性であれば新型コロナウイルス感染を疑い、都道府県の「健康フォローアップセンター」に登録した上で、自宅療養をおこないます。陰性であればインフルエンザ感染を疑い、必要に応じてオンライン診療やかかりつけ医の受診を検討する必要があります。
まとめ
厚生労働省は新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えて、抗原検査キットと解熱剤の事前購入について、国民に呼びかけることを決めました。事前購入により、発熱時は慌てずに対応することが求められます。