発熱外来への受診を子どもや高齢者らに限定 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えて
厚生労働省は、「今冬の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えて、発熱外来での診察を高齢者と子どもなどに限定する」と発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
発熱外来への受診制限について
厚生労働省が発表した発熱外来の制限について教えてください。
中路先生
今回のニュースは、10月13日に厚生労働省が発表した発熱外来の受診対象の制限についてです。発熱外来の受診制限は、今冬の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行への対策としておこなわれるとのことです。受診対象者となるのは、新型コロナウイルスの重症化リスクが高い高齢者、基礎疾患を抱えている人、妊娠中の女性、小学生以下の子どもです。重症化リスクが低い人は、新型コロナウイルス抗原検査キットを使って自分で感染の有無を確認し、陰性であれば電話やオンライン診療などを利用していただきます。もしインフルエンザと診断されれば自宅療養となります。薬は必要に応じて自宅に配送されるほか、近所の薬局での受け取りも可能です。新型コロナウイルス抗原検査キットで陽性だった場合、都道府県の健康フォローアップセンターに登録した上で、自宅療養をおこなうことになります。加藤厚生労働大臣は「重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するために、みなさんの外来受診への協力が不可欠だ」と述べ、「対応策の適用は流行状況を見極めた上で、都道府県など自治体が最終的に判断する」という考えを示しました。
発熱外来の受診が制限される理由は?
新型コロナウイルスとインフルエンザの流行に備えて、発熱外来の受診が制限される理由は何でしょうか?
中路先生
厚生労働省では、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行すれば、ピーク時には新型コロナウイルスの患者が1日45万人、インフルエンザの患者が1日30万人になると想定しています。つまり、2つの疾患を合計すると1日75万人もの患者が出ることになります。今回の発熱外来の制限は、重症化リスクの高い人に適切な医療を提供できる体制を目指すと同時に、重症化リスクが低い人に自分で新型コロナウイルスの検査をしてもらうことで、発熱外来に患者さんを殺到させない目的があります。なお、子どもは新型コロナウイルスやインフルエンザなどによる高熱によって脳炎や脳症のリスクがあるため、新型コロナウイルスの重症化リスクは低いですが発熱外来の受診対象となっています。
発熱外来の受信制限への受け止めは?
厚生労働省が発表した年齢や重症化リスクに基づいた発熱外来の制限について、受け止めを教えてください。
中路先生
医療のひっ迫を防ぐという観点では許容されるべき措置と考えられます。しかし、基礎疾患のない人などでも重症化する場合があります。中学生から64歳までの基礎疾患のない人に対しては検査キットによる自主的な検査、陽性の場合はフォローアップセンターへの登録を進めるなど、個々のニーズに合わせたきめ細やかな対応が必要と考えられます。
まとめ
厚生労働省は、今冬の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えて、発熱外来での診察を高齢者と子どもなどに限定することを発表しました。今後ますます同時流行による医療ひっ迫を避ける体制が望まれます。