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「インフルエンザワクチン接種」で新型コロナウイルスの感染リスクが22~24%低下

 更新日:2023/03/27
インフルエンザワクチンで新型コロナの感染リスク低下の可能性

カナダのトロント大学の研究グループは、「インフルエンザワクチンを接種することによって、新型コロナウイルスの感染リスクが22~24%低下した」という研究結果を発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容は?

トロント大学の研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

カナダのトロント大学の研究グループは、カナダ・オンタリオ州に住む平均年齢75.08歳の227万9805人を対象として、インフルエンザワクチンを接種したグループと非接種のグループに分けて、追跡調査をおこないました。年齢や性別などを調整した上で結果を解析したところ、インフルエンザワクチンを接種したグループは非接種のグループに比べて、新型コロナウイルスの感染リスクが22~24%、入院リスクが17~32%、死亡リスクが26~42%と、それぞれ低下していることがわかりました。また、インフルエンザワクチンを2シーズン連続して接種したグループ、1シーズンのみ接種したグループ、非接種のグループを比較検証したところ、連続して接種したグループは非接種のグループと比べて、新型コロナウイルスの感染や入院、死亡のリスクが有意に低いこともわかりました。加えて、1シーズンのみ接種したグループは非接種のグループに比べて、新型コロナウイルスの感染率が低くなりました。

さらに、インフルエンザワクチン接種者を対象に定期健康診断の受診の有無に関する調査をおこなうと、新型コロナウイルスの感染リスクは、健康診断を受けていない人が19%低下していたのに対して、健康診断を受けている人は38%低下したことがわかりました。入院リスクや死亡リスクについても定期健康診断の受診により、リスクが大きく低下していることがわかったとのことでした。

インフルエンザワクチン接種で新型コロナウイルスの感染リスクが低下したことへの受け止めは?

今回のトロント大学の研究グループによって、インフルエンザワクチン接種で新型コロナウイルスの感染リスクが低下したという結果が示されたことへの受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の研究は、カナダに住む66歳以上の高齢者228万人を対象にした臨床研究で、「インフルエンザワクチンの接種によって新型コロナウイルスの感染リスクが22~24%低下した」と結論づけています。しかし、インフルエンザワクチンを積極的に接種する健康意識が高い人ほど、新型コロナウイルスワクチンも接種する傾向があることによって発生するバイアス(かたより)には注意が必要です。また、非高齢者(若年者を含む)のエビデンスは不明となっています。

定期健康診断の有無で新型コロナウイルスに関するリスクが低下したことへの受け止めは?

インフルエンザワクチンを接種した人のうち、定期健康診断を受けている人の方が大きく新型コロナウイルスの感染リスクが低下していたことへの受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

上述の繰り返しにはなってしまいますが、インフルエンザワクチンの接種した高齢者で健康診断を受診している群は健康意識が高く、新型コロナウイルスワクチンも接種する傾向があるため、新型コロナウイルス感染が減少した可能性は否定できません。いずれにしても、これらの結果は新型コロナウイルスワクチン研究の1つのエビデンスになると考えられ、大変興味深い臨床研究報告であると考えられます。

まとめ

カナダのトロント大学の研究グループが「インフルエンザワクチンを接種することによって、新型コロナウイルスの感染リスクが22~24%低下した」との結果を発表したことが、今回のニュースでわかりました。研究グループは「今回のコホート研究の結果がワクチンの研究に影響を及ぼすエビデンスになる」と述べています。

この記事の監修医師