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新系統「XBB.1.5」アメリカで感染拡大中、日本でも15件確認「感染力や重症度は未知数」

 更新日:2023/03/27
都モニタリング会議 オミクロン派生型「XBB.1.5」を15件確認

1月12日に開催された東京都のモニタリング会議で、オミクロン株の新たな変異ウイルス「XBB.1.5」が都内で15件確認されたことが明らかにされました。今回のニュースについて竹内医師に伺いました。

竹内 想 医師

監修医師
竹内 想(医師)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。専門領域は皮膚科、美容皮膚科。

「XBB.1.5」の国内感染状況とは?

「XBB.1.5」の国内感染状況について教えてください。

竹内 想 医師竹内先生

今回取り上げる「XBB.1.5」の国内感染の情報については、1月11日の松野博一官房長官の記者会見で「1月10日時点で4件確認した」と発表しました。11日の会見で松野官房長官は「XBB.1.5」について、「感染力がより高くなっている可能性が指摘されているものの、現時点で感染性や重症度に関する疫学的・臨床的な知見はないと承知している」と現状について説明しました。その上で「引き続き、XBB.1.5系統を含む変異株の発生動向を監視していく」と述べています。

さらに、1月12日に開かれた東京都の感染状況を分析するモニタリング会議では、2022年12月に都内で15件の「XBB.1.5」の感染が確認されたことを明らかにしました。同時に、2022年9月に全体の98.4%を占めたオミクロン株「BA.5」の割合が、2022年12月には60.6%まで減少したことも報告されました。

「XBB.1.5」とは?

「XBB.1.5」について、現時点でわかっていることを教えてください。

竹内 想 医師竹内先生

WHOが1月11日に発表した「XBB.1.5」のリスク評価によると、日本国内で感染が広がったオミクロン株「BA.2」の2つのタイプが組み合わさった変異ウイルス「XBB」に、さらに変異が加わったタイプとのことです。

2022年10月22日~2023年1月11日までに38カ国で「XBB.1.5」の感染が報告されており、そのうちの82.8%がアメリカからであるとのことです。そのほか、イギリスからが8.1%、デンマークからが2.2%となっています。特にアメリカで「XBB.1.5」の感染は急速に広がっており、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、1月14日までの1週間に確認された新型コロナウイルスの新たな感染者の43%が「XBB.1.5」に感染しているという推計を発表しています。これは前の週と比べると10ポイントほどの増加で、中でもニューヨーク州などでは新規感染者の8割を超えています。

WHOのリスク評価によると、「世界的な感染者数の拡大につながる可能性があるが、感染力の強さの推定はアメリカ1カ国のみのデータに基づいているため、全体的な信頼度は低い」としています。

「XBB.1.5」が新型コロナウイルス対策に与える影響は?

「XBB.1.5」が新型コロナウイルス対策に与える影響について教えてください。

竹内 想 医師竹内先生

今回のニュースで、「XBB.1.5」の感染が日本でも確認されたことが分かりました。従来型のウイルスと比較して高い感染力を持つ可能性があり、新型コロナウイルスの見直し議論が進む中で「XBB.1.5」の警戒も必要になってきます。手洗いやマスク着用などの基本的な感染予防対策を引き続きおこなっていくことが重要です。

まとめ

1月12日に開催された東京都のモニタリング会議で、オミクロン株の新たな変異ウイルス「XBB.1.5」が都内で15件確認されたことがわかりました。アメリカを中心に感染者が急増している「XBB.1.5」は、日本国内でどのような広がりを見せるのか今後も注目が集まります。

この記事の監修医師