イギリス政府、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」を承認

公開日:2021/11/15

イギリス政府は米製薬大手メルクが開発を進める新型コロナウイルスの飲み薬を承認したと発表しました。このニュースについて工藤医師に伺います。

工藤 孝文 医師

監修医師
工藤 孝文(医師)

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みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。 
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

イギリス政府の発表とは?

今回発表されたイギリス政府の発表内容を教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

今回の発表は、イギリスの医薬品規制当局が行ったものです。アメリカのメルク社が開発した新型コロナウイルスを治療する飲み薬である「モルヌピラビル」を世界で初めて承認しました。症状が軽・中等度のコロナ患者で、肥満や高齢、糖尿病、心臓病などのリスクを持つ人に限っての使用を認めています。また、感染初期に最も効果が大きいとして、発症後5日以内の使用を推奨しています。

「モルヌピラビル」の効果は?

「モルヌピラビル」の効果について教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

「モルヌピラビル」については、患者775人を対象にした後期臨床試験が行われていますが、検査で約半数の患者に「モルヌピラビル」を、残りの患者には偽薬を5日間投与しました。その結果、29日目までに入院した割合は、偽薬を投与されたグループでは14.1%に上ったのに対し、「モルヌピラビル」を投与された患者では7.3%と、およそ半分に減少したというデータが得られました。また、偽薬投与グループでは8人が死亡しましたが、「モルヌピラビル」を投与されたグループでは死者は出ませんでした。

有効性は感染力の強い「デルタ株」を含む変異株に対しても維持され、安全性も高いとされています。発症から早い段階で飲むと効果があると言われています。

「モルヌピラビル」の投与で留意すべき点は?

「モルヌピラビル」の投与について留意すべき点を教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

新型コロナウイルスは、一定の潜伏期間(感染していても症状がでない期間)があることも指摘されています。「モルヌピラビル」は感染初期に投与する必要がありますが、全ての対象症例で投与できるかは難しいところです。

以上のことから、まずはワクチンやソーシャルディスタンスの確保などの自分でできる対策を講じる必要があります。ただし十分な対策をもってしても感染することもありますので、その際に活用できる薬として理解しておくといいでしょう。今後は感染予防と感染治療の2つの防波堤によって感染拡大を防いでいくのが最善と考えます。

まとめ

イギリス政府は、世界で初めて新型コロナウイルスに対する飲み薬を承認しましたが、今回の承認で新型コロナウイルスによる被害がどれほど少なくなるのでしょうか。日本でも岸田首相が所信表明演説で、「経口治療薬の年内実用化を目指す」と述べ、政府として必要な量の確保に取り組むとしている中で、今後も注目が集まりそうです。