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「新型コロナウイルス感染」で子どもの1型糖尿病リスクが2倍に増加

 更新日:2023/03/27
新型コロナの感染で、子どもの1型糖尿病リスクが2倍

アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究グループは、「新型コロナウイルスに感染した子どもは、それ以外の呼吸器感染症にかかった子どもと比べて、1型糖尿病と診断されるリスクが2倍であった」と発表しました。このニュースについて竹内医師に伺いました。

竹内 想 医師

監修医師
竹内 想(医師)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。専門領域は皮膚科、美容皮膚科。

新型コロナウイルス感染による子どもの糖尿病リスクの増加について

今回のケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究グループの発表内容について教えてください。

竹内 想 医師竹内先生

今回取り上げる研究は、ケース・ウェスタン・リザーブ大学のグループが発表した「新型コロナウイルス感染と子どもの1型糖尿病リスクの増加」についてです。研究では、新型コロナウイルスを含む呼吸器感染症にかかった子どもの電子医療記録の解析がおこなわれました。性別や年齢、糖尿病の家族歴などを考慮して57万以上の例を2つの群に分けて解析した結果、新型コロナウイルスに感染した子どもで1~6カ月以内に1型糖尿病と新規に診断されたのは0.043%の123例で、ほかの呼吸器感染症にかかった子どもは全体の0.025%の72例でした。新型コロナウイルスに感染後、1カ月・3カ月・6カ月の時点で1型糖尿病と新たに診断されるリスクは、新型コロナウイルスではない呼吸器感染症の患者と比べて高く、感染後1カ月のハザード比は1.96、感染後3カ月では2.10、感染後6カ月では1.83でした。また、感染時の年齢別の解析でも、2型糖尿病を発症する可能性が低い9歳以下と10~18歳のそれぞれの年齢層で同じようなリスクの上昇が認められました。さらに、感染時の年齢別の解析結果によると、9歳以下と10~18歳の年齢層において、糖尿病の発症リスクの上昇が確認されたとのことです。

1型糖尿病とは?

今回の研究対象になった1型糖尿病について教えてください。

竹内 想 医師竹内先生

生活習慣病とも言われる2型糖尿病とは違い、1型糖尿病は生活習慣と関係なく発症します。症状でよく見られるのは、糖尿病の典型的症状と言われている「口の渇き」「尿を多く排泄する」「体重減少」などですが、小児の場合はおねしょで糖尿病が発覚するケースもあります。症状が突然起こることが特徴で、風邪症状など先行感染を伴う場合がよくあります。1型糖尿病の治療法は、インスリン療法や投薬による治療、膵臓移植や膵島移植などがあります。

新型コロナウイルス感染と1型糖尿病の関連に対する見解は?

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究グループの発表した「新型コロナウイルス感染と1型糖尿病の発症リスク」の関連について見解を教えてください。

竹内 想 医師竹内先生

今回の研究によって、新型コロナウイルス罹患(りかん)後の小児は1型糖尿病の発症リスクが増加する可能性があることが示されました。また、罹患時だけでなく治癒してからもこのようなリスクがある新型コロナウイルスに対しても、適切な感染対策をおこなうことが大切です。

まとめ

アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究グループは、「新型コロナウイルスの感染により、子どもの1型糖尿病の発症リスクが増加した」と発表しました。日本内分泌学会によると、最近は小児1型糖尿病の発症率の増加および発症の若年化が指摘されているということで、今回の研究結果にも注目が集まります。

この記事の監修医師