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新型コロナウイルスによる小児死亡例 半数が基礎疾患なし「7割が発症から1週間以内に死亡」

公開日:2022/09/20
新型コロナ 小児死亡例の半数に基礎疾患なし

「新型コロナウイルスによる小児死亡例の半数は基礎疾患がなく、7割が発症から1週間以内に死亡していたこと」などが厚生労働省と国立感染症研究所が関係学会と共同で実施した調査で明らかになりました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。

甲斐沼孟医師

監修医師
甲斐沼 孟(医師)

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2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。
著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。
日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

厚生労働省らの調査内容とは?

今回、厚生労働省らがおこなった調査内容について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回取り上げるニュースは、厚生労働省と国立感染症研究所、そして日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会が共同でおこなった調査についてです。2022年1月1日~8月31日に報告された20歳未満の新型コロナウイルス感染後の小児死亡41例を対象に積極的疫学調査が実施されました。実地調査がおこなわれたのは41例中32例で、外傷などを除いた明らかな内因性死亡が29例でした。内因性死亡例29例を年齢別でみると、0歳が8例、1~4歳が6例、5~11歳が12例、12~19歳が3例でした。また、男女別でみると男児が16例、女児が13例でした。5歳以上のワクチン接種対象者は15例でしたが、そのうち13例が未接種でした。2回接種者は2例で、発症は最終接種日から3カ月以上経過していたとのことでした。

基礎疾患を有していたのは14例で、死亡に至る主な経緯は循環器系の異常が3例、呼吸器系の異常が3例、中枢神経系の異常が2例、その他が3例、原因不明が3例でした。発症から死亡までの日数の中央値は4日でした。一方で基礎疾患がなかった15例が死亡に至る主な経緯は、中枢神経系の異常が5例、循環器系の異常が4例、その他が3例、原因不明が3例でした。基礎疾患があった場合と異なり、基礎疾患がなかった場合は呼吸器系の異常は認められなかったとのことでした。また、発症から死亡までの日数の中央値は4.5日でした。

今回の調査内容の受け止めは?

厚生労働省らの調査によって、新型コロナウイルスによる小児死亡例の半数は基礎疾患がなく、7割が発症から1週間以内に死亡していたことに加えて、基礎疾患がない症例では呼吸器系の異常が認められなかったという結果も出ています。こうした内容への受け止めを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回の厚生労働省らが中心となって実施した調査によって、小児例においては現時点で基礎疾患の有無によって死亡率が大きく変化する可能性は乏しいと推察されます。また、小児が新型コロナウイルスに感染した場合、早期死亡に至る例が報告されたことより、感染直後に適切な対応を実施する重要性が高いことが示唆されます。

今回の研究結果の感染発症から死亡までの日数は1週間未満が73%を占めており、特に発症後1週間の症状を慎重に経過観察することが重要であると考えられます。基礎疾患を有さない小児感染死亡例では呼吸器関連異常が乏しかったことから、咳や呼吸困難などの症状が顕著でなくても感染した場合は重症化して死亡に至る可能性を念頭に置いて治療対応などを実践する必要があるでしょう。

今回の調査結果を治療現場でどのように活かす?

今回の調査内容で明らかになった知見を、治療現場でどのように活かせると考えていますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

今回の実地調査で基礎疾患を有さない症例も死亡していることから、小児が新型コロナウイルスに罹患(りかん)した場合には、基礎疾患を有する者のみならず基礎疾患がないケースでも症状推移を注意深く継続して観察することが重要です。また、新型コロナウイルスのワクチンに関して、多くの小児死亡例で未接種であったことより、感染予防策としてワクチン接種を呼びかけることも重要な観点になります。

現在のところ、新型コロナウイルスにおける重症度分類では主に呼吸器症状などの観点を中心にして分類されていますが、医療現場においては痙攣(けいれん)や意識障害などの神経症状、経口摂取不良などの呼吸器に関連する症状以外の全身症状の出現にも十分に注意を払う必要があると推察されます。

まとめ

厚生労働省らが実施した調査で、新型コロナウイルスの小児死亡例の半数は基礎疾患がなく、7割が発症から1週間以内に死亡していたことなどが明らかになりました。今回の調査結果は基礎疾患がなくても注意深く経過観察すべきことを示唆しており、有用なデータと言えそうです。