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国内初の「新型コロナウイルス予防薬」厚生労働省が特例承認

 更新日:2023/03/27
国内初 新型コロナ予防薬を特例承認

8月31日、厚生労働省はアストラゼネカ社の「エバシェルド」を特例承認しました。エバシェルドは国内初の新型コロナウイルスの予防薬です。このニュースについて武井医師に伺いました。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

エバシェルドとは?

今回、厚生労働省が特例承認したエバシェルドについて教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

エバシェルドはイギリスの製薬大手アストラゼネカ社が開発した抗体医薬品で、8月31日に厚生労働省が特例承認をおこなったことで、日本初の新型コロナウイルスに対する予防薬となりました。新型コロナウイルスに感染した人の重症化予防に加えて、事前に投与することで発症を防ぐ効果が期待されています。

エバシェルドの効果について、新型コロナウイルスに感染していていない人に対する治験では、エバシェルドを投与していないグループと比べると発症リスクが77%低下することが「The New England Journal of Medicine」に示されています。また、ウイルスからの保護が6カ月間持続することもわかったとのことでした。

加えて、「The Lancet Respiratory Medicine」に掲載された軽症から中等症の患者に対する治験では、発症から7日以内の投与で、重症化や死亡のリスクを50%減らす効果が確認されました。

エバシェルドの投与対象は?

国内初となる新型コロナウイルス予防薬であるエバシェルドの投与対象について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

投与対象については、9月1日に厚生労働省が自治体に対して事務連絡をおこなっています。事務連絡によると、「エバシェルドの安定供給が難しいため、一般流通はおこなわずに厚生労働省が所有した上で、対象者が発生した医療機関からの依頼を受けて無償で譲渡する」とされています。

投与の対象については、10例を挙げています。具体的には「抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全症の患者」「B細胞枯渇療法を受けてから1年以内の患者」「ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬を投与されている患者」「キメラ抗原受容体T細胞レシピエント」「慢性移植片対宿主病を患っている、または別の適応症のために免疫抑制薬を服用している造血細胞移植後のレシピエント」「積極的な治療を受けている血液悪性腫瘍の患者」「肺移植レシピエント」「固形臓器移植を受けてから1年以内の患者」「T細胞又はB細胞枯渇剤による急性拒絶反応で最近治療を受けた固形臓器移植レシピエント」「CD4Tリンパ球細胞数が50cells/μL未満の未治療のHIV患者」となっています。

新型コロナウイルス予防薬の特例承認についての受け止めは?

新型コロナウイルス予防薬エバシェルドの特例承認についての受け止めを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

厚生労働省が例として挙げたエバシェルドの投与患者は、実際かなり限られています。その一方で、高齢者施設のクラスター予防をはじめとする感染予防の手段としては良い適応だと考えます。今後、投与対象の拡大が推奨され、重症化・死亡の発生率を抑制することが期待されます。

まとめ

8月31日、厚生労働省がアストラゼネカ社の「エバシェルド」を特例承認したことが今回のニュースでわかりました。現時点での投与対象は限られますが、国内初の予防薬には今後も注目が集まります。

この記事の監修医師