ノババックス製の新型コロナウイルスワクチンの承認審議へ
アメリカのノババックス社の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は4月18日に専門部会を開いて承認可否を審議すると発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
厚生労働省の発表内容とは?
ノババックス製の新型コロナワクチンについて厚生労働省が発表した内容について教えてください。
中路先生
4月4日、厚生労働省がアメリカのバイオベンチャーのノババックス社が開発した新型コロナウイルスワクチンを承認するかどうかを審議する専門部会を4月18日に開催すると発表しました。これを受けて4月6日には厚生労働省から全国の自治体に対して通知が出されました。通知の内容は、ノババックス製のワクチンが承認された場合、5月23日の週から全国の自治体に向けてワクチンの配送を始めるというものでした。まずは約10万回分が配送され、早ければ5月中にも接種が始まる見込みだということです。また、厚生労働省は各都道府県に1カ所以上の接種会場を設置するように要請しています。
ノババックス製の新型コロナウイルスワクチンとは?
ノババックス製のワクチンについて教えてください。
中路先生
ノババックス社が開発した新型コロナウイルスワクチンは、組み換えタンパクワクチンと呼ばれるタイプで、このタイプのワクチンはこれまでB型肝炎ワクチンなどで用いられています。日本でこれまで許可されてきたファイザー社やモデルナ社によるメッセンジャーRNAワクチンとは異なる作り方のワクチンです。ノババックス社が英国や米国、メキシコなどでおこなった臨床試験の結果によると予防効果は約89%だったそうです。また、接種後に予測される副反応の事例は、大部分が軽症であり、1~3日以内に沈静化したということです。接種対象は18歳以上で、ワクチンを接種していない人への1・2回目接種だけでなく、すでに別のワクチンを打った人への3回目接種としても使用される見込みだということです。
新たなワクチンが承認される意義は?
新型コロナウイルスへの対策として、新たなワクチンが承認される意義を教えてください。
中路先生
ノババックス社のワクチンはウイルスのタンパク質の一部を免疫活性化物質とともに、投与する既存のB型肝炎ウイルスのワクチンなどで使用されている手技を用いて作られた新型コロナウイルスのワクチンです。既にカナダ、欧州連合で使用されています。臨床試験では、接種後3カ月間の発症予防効果は約90%、局所・全身反応は軽度から中等度で、それらは一過性であるとされています。3回目はファイザー社やアストラゼネカ社のワクチンとの交互接種で、抗体量が増加したとの報告もあります。前述のごとく、これまでのワクチンとはことなる手技で作られており、冷凍せず冷蔵で保存できる特性もあります。既存のワクチン接種に抵抗がある人への接種や冷凍設備の配置が困難な場所での接種が期待されると考えられます。いずれにせよ、日本における新型コロナウイルスに対してのワクチンの選択肢が広がることは歓迎されるべきことと考えられます。
まとめ
アメリカのノババックス社の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は4月18日に専門部会を開いて承認可否を審議すると発表したことがわかりました。承認されれば国内で4種類目のワクチンになるということで、注目が集まります。