まん延防止等重点措置、病床50%超でも解除の検討可能に
専門家による新型コロナウイルス感染症対策分科会が3月11日に開かれ、まん延防止等重点措置について病床使用率が50%超でも新規感染者数が減少傾向にある場合などは解除可能とする方針を確認しました。このニュースについて工藤医師に伺いました。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した考えとは?
3月11日に新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した考えについて教えてください。
工藤先生
今回、新型コロナウイルス感染症対策分科会は「今後の対応の考え方」というタイトルで考えを示しました。この中で注目を集めたのは、3月21日までの期限で18都道府県に適用されているまん延防止等重点措置の解除についてです。分科会は、病床使用率が50%を超えていても、新規感染者数が減少傾向であれば解除は可能などとする新しい基準案を示しました。
これまで政府は、「新規感染者数が前週比で減少傾向にある」「病床使用率が50%を下回る」という2つの基準を両方満たすことを重視してきましたが、今回方針を変えたことになります。また、イベントの人数制限については、感染防止計画の作成を条件に上限撤廃を検討するという考えが示されました。現状では、感染防止計画を作成したイベントでもまん延防止等重点措置の適用地域では2万人、緊急事態宣言下では1万人の上限があり、全員のウイルス検査をした場合のみ上限をなくすという人数制限をかけていますが、緩和する形の提案になっています。このほか、飲食店については感染拡大期は時短要請が必要ですが、収束期は短時間の少人数・マスク会食の要請などで対応できるということや、学校や保育所の休校や休止は感染状況が極めて厳しい場合に限定すべきといった考え方が示されました。
新たなまん延防止等重点措置の解除の条件への受け止めは?
病床使用率が50%を超えていても、新規感染者数が減少傾向であれば解除は可能などとする新しい基準案についての受け止めを教えてください。
工藤先生
収束の兆しが見えない中、新型コロナウイルスとの共存を考えた提案だと捉えています。いまだ医療状況は逼迫した状態ですので、必ずしも最上の選択とは言えないかもしれませんが、感染拡大が制御されたあとの社会の通常状態になるのではないでしょうか。
イベント参加人数の上限撤廃について留意すべきポイントは?
感染防止計画の作成を条件にイベント参加人数の上限撤廃を検討するという考えが示されましたが、人数制限の緩和について留意すべきポイントを教えてください。
工藤先生
イベントのスタッフや参加者で少しでも体調に異変があれば参加しない、中止するといった決断を各々が確実に実行することが必要です。ただ単純にイベントに参加できるようになったと考えるのではなく、各人の良識やリスクの感覚に委ねられたのだと全員が理解することが必要だと思います。
まとめ
専門家による新型コロナウイルス感染症対策分科会が、まん延防止等重点措置について病床使用率が50%超でも新規感染者数が減少傾向にある場合などは解除可能とする方針を確認したことが今回のニュースで明らかになりました。分科会の尾身茂会長は記者会見で「行動制限による社会へのインパクトがものすごく強いことは考慮しないといけない」と語っており、今後も感染対策と社会活動とのバランスをとることが求められそうです。