【新型コロナウイルス】マスクなし会話で感染60% スパコン富岳が分析
理化学研究所などがスーパーコンピューターの富岳を使ってオミクロン株の感染リスクなどを分析した結果、「マスクを着用していない感染者と1mの距離で15分間話した場合、感染する確率が約60%である」と発表しました。このニュースについて上医師に伺いました。
監修医師:
上 昌広(医師)
マスク有無での感染確率の違いは?
今回、理化学研究所などによるスーパーコンピューターの富岳を活用した分析の中で、オミクロン株の感染リスクがマスクの有無でどう変わったのか教えてください。
上先生
理化学研究所などの研究チームは、新型コロナウイルスの飛沫の広がりをスーパーコンピューターの富岳を使って研究していますが、今回は従来よりも感染力が強いとされるオミクロン株の影響を調べるために分析がおこなわれものになります。
分析をする上でオミクロン株の感染力をデルタ株の1.5倍と想定して、これまでに起きたクラスターの状況などをもとにシミュレーションがおこなわれました。その結果、感染している人と15分間対面で会話したときの感染確率の平均は、感染者がマスクをしている場合では1m以上の距離ではほぼ0%、50cm以内の距離ではおよそ14%でした。また、感染者がマスクをしていない場合は1mの距離でおよそ60%、50cm以内の距離でほぼ100%という高い数字が出ました。
分析されたそのほかの項目については?
今回の分析では、そのほかのシチュエーションもおこなわれたのでしょうか?
上先生
はい。ほかにもいくつかの状況に応じた分析がおこなわれています。例えば、イベント会場の席に座って間隔を空けず隣の人と1時間の会話をした場合、感染者がマスクをしていないと斜め前の人の感染確率が56%など、周囲の複数の人に感染の可能性があり、マスクをした場合でも隣の人は感染確率が40%になります。その一方で、感染者がマスクをして1席分の間隔を空けて座った場合には、感染リスクを大幅に抑えられるという結果が出ています。
また、約44平方メートルの飲食店で16人の客がマスクを外して1時間滞在し、感染している客の1人が大声で30分間会話するという想定でも実験がおこなわれました。「換気装置だけが作動している場合」と「換気扇・エアコンを作動させた場合」を比較した結果、エアコンも作動させた方は感染確率が2〜3割程度減少することが判明しました。さらに、厨房の換気扇を作動させてテーブルにパーティションを設置すると、感染確率は3分の1程度まで下がったという結果が出ています。
今回の分析結果の受け止めは?
今回、富岳を使っておこなわれた分析結果の受け止めについて教えてください。
上先生
今回の結果の解釈は慎重であるべきです。正確なシミュレーションのためには、正確なパラメーターが必要ですが、オミクロン株について、まだ十分にわかっていません。今回のシミュレーションは、今後の臨床研究で検証されることになります。
まとめ
スーパーコンピューターの富岳を使ってオミクロン株の感染リスクなどを分析した結果、マスクを着けない感染者と1mの距離で15分間話した場合、感染する確率が約60%であることが明らかになりました。新型コロナ対策としてマスクの着用が重要であると改めて認識する必要がありそうです。