ファイザーが5歳未満への新型コロナワクチン接種をFDAへ申請
アメリカの製薬大手ファイザーがFDA(アメリカ食品医薬品局)に対して、5歳未満の乳幼児への新型コロナウイルスワクチン接種の緊急使用許可を取得するための申請手続きを始めたと発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
ファイザーが発表した内容とは?
今回、ファイザーが発表した内容について教えてください。
中路先生
2月1日の発表によると、今回ファイザーは生後6カ月から5歳未満の子どもを対象にしたワクチン接種に向けて、FDAに対して緊急使用許可を求めるための申請手続きを開始したということです。
現在、一般向けのワクチン接種では3回目の接種が既におこなわれていますが、今回申請された生後6カ月から5歳未満への接種については2回分の接種を対象にしているということです。ファイザーは今回申請した年齢層の3回目接種に関するデータも、今後数カ月以内にFDAに提出すると発表しています。
また、発表文の中でファイザーのアルバート・ブルラCEOは「新型コロナウイルスによる5歳未満の子どもの入院が急増している状況で、我々とFDAの共通目標は将来の変異株の急増に備えつつ、子どもをこのウイルスから守るための選択肢を保護者に提供することです」とコメントした上で「最終的に、現在および将来の変異株に対する高い予防効果を得るためには、生後6カ月から4歳までの子どもたちに3回のワクチン接種が必要になると考えています」と述べています。
5歳未満へのワクチン接種をFDAに申請した背景は?
5歳未満へのワクチン接種をFDAに申請した背景を教えてください。
中路先生
新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、アメリカでは1060万人以上の子どもが陽性となり、そのうち4歳未満の子どもが160万人以上を占めているという現状があります。また、オミクロン株の急増に伴い、子どもの感染報告と入院がアメリカ全体で増加しています。ファイザーの発表によると1月16日~22日の1週間で4歳未満の子どもの入院率は、新型コロナウイルスによる入院患者全体の3.2%を占めていたということです。
今回の申請が日本に与える影響は?
今回行われたFDAへの申請は、日本にどのような影響を与える可能性がありますか?
中路先生
現在、米国ではオミクロン株の感染が拡大し、0歳から4歳の子どもの入院する頻度が過去と比べて最も高くなっています。日本においても、このままのオミクロン株の感染拡大が継続するようなら同様の傾向が早晩出現すことが予想されます。
その際には同様に新型コロナウイルスワクチンを5歳未満の子どもにも適応する申請がとられる可能性があります。ただし、日本においてはこれまでオミクロン株の場合、5歳未満で感染した子どものほとんどは軽症です。そのため、この年齢層に接種を施行するか否かは感染状況や今後の海外での知見などを見極めたうえで慎重に判断する必要があると考えられます。
まとめ
ファイザーがFDAに対して、5歳未満の乳幼児への新型コロナウイルスワクチン接種の緊急使用許可を取得するための申請手続きを始めたことが今回のニュースで明らかになりました。日本ではつい最近、5~11歳を対象としたファイザー製の新型コロナウイルスワクチン接種が公費で無料になる臨時接種に位置付けられることになりましたが、今後5歳未満への接種についても動きがあるのか注目が集まります。