コロナ治療薬を年度内供給目指すと塩野義製薬が発表
塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルス治療薬について、最終段階の臨床試験を12月に終了させ、今年度中の供給開始を目指すと発表しました。このニュースについて工藤先生にお話を伺います。
監修医師:
工藤 孝文 医師
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
塩野義製薬が開発中の治療薬とは?
塩野義製薬が開発を進める治療薬について教えてください。
工藤先生
塩野義製薬が現在開発を進めている治療薬は、ウイルスの増殖を抑制するもので、軽症者や無症状者向けの飲み薬になります。感染初期に1日1回、5日間自宅などで服用することで重症化を防ぐ効果が期待されています。9月27日から入院患者やホテルの宿泊療養者など、約2100人を対象にした最終段階の治験を国内で始めており、12月には治験を終了させ、年度内に最低100万人分を用意するとしています。
治療薬の供給が始まると治療体制はどう変化する?
治療薬の供給が始まると、治療体制に変化はあるのでしょうか? 具体的にどのようなことが期待されていますか?
工藤先生
現在、自宅療養中の患者に対しての治療の選択肢は限られており、設備や制度の関係で十分な治療ができないこともありました。今後、飲み薬が普及すればより多くの患者が救われることは間違いありません。また、服用が簡便ですので、外来での治療ができるようになれば医療体制のひっ迫も緩和できるようになると期待されています。
抗体カクテル療法と治療薬の使い分けは?
すでに行われている抗体カクテル療法と新たな治療薬はどのように使い分けられるのでしょうか?
工藤先生
抗体カクテル療法は点滴での投与になるので、自宅療養中の患者などに対しては使いにくいものでした。今後、経口薬が普及すれば、自宅療養を行っている患者に対しても効率的に治療を行えるため、よりスピーディーな対応ができるようになると考えられます。2つの薬剤は作用する点が違いますので、併用すれば重症患者に対してより強い効果が期待できるのかなども注目されます。
まとめ
新型コロナ治療薬は塩野義製薬のほかにメルク社やファイザー社、ロシュ社でも開発が進んでいます。治療方法の選択肢が増えることで、新型コロナウイルス感染症による死亡者数の減少が期待されます。