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「肺がん治療」の新たな可能性 皮下注射で通院の負担軽減に期待

 公開日:2025/06/09

スペインのバルデヘブロン腫瘍学研究所の研究員らは、転移性非小細胞肺がんに対する化学療法との併用におけるペムブロリズマブの皮下投与と静脈内投与の比較をしました。この内容について五藤医師に伺いました。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

研究グループが発表した内容とは?

バルデヘブロン腫瘍学研究所の研究員らが発表した内容を教えてください。

五藤 良将 医師五藤先生

スペインのバルデヘブロン腫瘍学研究所の研究員らが実施した研究では、新規診断の転移性非小細胞肺がん患者を対象に、ペムブロリズマブのSC(皮下投与)とIV(静脈内投与)の有効性・安全性・薬物動態を比較しました。SC群には790mgを6週間ごと、IV群には400mgを6週間ごとに投与し、両群ともプラチナ製剤との併用化学療法がおこなわれました。

主要評価項目である1サイクル目の薬物動態指標(AUCおよびCトラフ)において、SC投与はIV投与に対して非劣性を示し、SC群の注射時間の中央値は2分と短時間でした。免疫原性も低く、抗体の発現率はSC群で1.4%、IV群で0.9%にとどまり、臨床的に意味のある影響は認められませんでした。客観的奏効率(ORR)はSC群が45.4%、IV群が42.1%と、両群間で大きな差はなく、ほかの有効性指標や安全性プロファイルも一貫していました。

この結果から、ペムブロリズマブのSCはIV投与が可能な全ての適応症において、実用的かつ有効な治療選択肢となることが示されました。ただし、SC投与におけるCトラフが高めに出ている点については、今後も長期的な影響を観察する必要があると考えられます。

研究テーマになった非小細胞肺がんとは?

今回の研究テーマに関連する非小細胞肺がんについて教えてください。

五藤 良将 医師五藤先生

非小細胞肺がんは、肺がん全体の半数以上を占め、腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんの3つに分類されます。腺がんは肺野部に多く、非喫煙者にもみられます。扁平上皮がんは肺門部に発生しやすく、喫煙との強い関係があります。一方、大細胞がんは稀で、形態的に分類できない大きな細胞のがんです。治療はステージにより異なり、手術が第一選択となることが多いですが、放射線治療や薬物療法も併用されます。

がんの型や治療方針を正しく理解し、納得のいく治療選択をしていきましょう。

研究内容への受け止めは?

バルデヘブロン腫瘍学研究所の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

五藤 良将 医師五藤先生

今回の研究は、ペムブロリズマブの皮下投与(SC)が静脈内投与(IV)と同等の有効性・安全性を示した点が、非常に重要な成果だと考えます。特に、短時間で完了できる皮下投与は、患者さんの通院負担の軽減や、医療現場における治療効率の向上に大きく寄与すると期待されます。これまで点滴治療に抵抗感のあった患者さんにも治療選択肢を広げることができるため、今後の実臨床への応用に期待が高まります。ただし、皮下投与で見られた血中濃度(Cトラフ)の若干の上昇については、長期的な安全性データの蓄積を慎重に見守る必要があるでしょう。

編集部まとめ

非小細胞肺がん治療において、点滴だけでなく「皮下注射」という新たな選択肢が出てきました。皮下投与は、病院での時間を短縮でき、患者さんの負担軽減につながる可能性があります。治療の選択肢が広がることは、一人ひとりに合ったがんとの向き合い方を考えるうえでも大きな前進です。選択肢を知り、納得のいく治療を選ぶことが、安心にもつながります。

※提供元「日本がん対策図鑑」【肺がん:一次治療】「ペムブロリズマブ(皮下注)+化学療法」vs「キイトルーダ+化学療法」
https://gantaisaku.net/3475a-d77/

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