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「肺がん」になっても長生きできる治療法が研究で明らかに 主な症状・原因も医師が解説

 公開日:2025/04/15

韓国の忠北大学病院の研究チームらは、進行または再発の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、ニボルマブを含む併用療法の有効性と安全性を検証しました。その結果、従来の治療と比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存率(OS)が有意に延び、3年間効果が持続しました。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

研究グループが発表した肺がんに関する研究内容とは?

忠北大学病院の研究チームらが発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

今回紹介するのは、韓国の忠北大学病院などが参加した第III相試験「TASUKI-52試験」の3年間の追跡調査の結果です。この調査では、進行または再発の非扁平上皮非小細胞肺がんに対して、ニボルマブとカルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブの併用療法が従来治療と比べて無増悪生存期間と全生存率の両面で有意な延長をもたらすことが確認されました。 550人の患者を対象としたこの試験で、ニボルマブ群の無増悪生存期間の中央値は10.6カ月、全生存率の中央値は31.6カ月であり、いずれもプラセボ群の8.2カ月および24.7カ月を上回りました。また、3年時点の無増悪生存期間率は20.2%、全生存率は44.2%と高く、PD-L1発現や脳転移の有無にかかわらず有効性が認められました。さらに、治療関連の重篤な有害事象の発現率は高かったものの、これまでにない新たな安全性の懸念はみられませんでした。一方でプラセボ群の患者の多くが、その後に免疫チェックポイント阻害薬を受けていたことが、全生存率の差を縮めた可能性がある点には注意が必要です。

研究テーマになった肺がんとは?

今回の研究テーマに関連する肺がんについて教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

肺がんとは、肺の気管や気管支、肺胞の一部の細胞ががん化し、周囲の組織に広がったり転移したりする病気です。主な転移先には、リンパ節や骨、脳などが含まれます。肺がんの原因は全て明らかになっているわけではありませんが、喫煙が最大の危険因子とされており、タバコに含まれる有害物質が関与していると考えられています。ほかにも、ラドンガスやアスベスト、PM2.5なども発症に関係している可能性があります。 肺がんの症状としては、咳や痰、血痰、発熱、息苦しさ、動悸、胸の痛みなどが挙げられますが、これらの症状はほかの病気でもみられるため、症状だけで肺がんかどうかは判断できません。そのため、正確な診断には検査が必要です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

肺がんに関する研究内容への受け止めは?

韓国の忠北大学病院の研究チームらが発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

今回の試験で、進行または再発の非扁平上皮非小細胞肺がんに対し、ニボルマブを含む併用療法の有効性と安全性が報告されました。治療の選択肢の少ない進行または再発がんを対象としたアジア人における試験における今回の成績は、非常に喜ばしいものだと言えるでしょう。進行または再発がんの根治は、現代の医療においても未だ難しい問題ですが、無増悪生存期間を延長させることで「大切な家族と過ごす時間を長くする」「やりたいと思っていたことを成し遂げる」など、人生の選択肢を増やすことが期待されます。

まとめ

肺がんは日本においても死亡数の多いがんの1つであり、特に進行または再発した場合は治療の選択肢が限られてきます。今回の研究では、ニボルマブを含む併用療法が、従来の治療と比較して無増悪生存期間および全生存率の延長をもたらし、長期的な効果を示した点が注目されています。 肺がんは早期発見が重要であり、定期的な健康診断や画像検査の受診が推奨されます。症状が軽微であっても放置せず、医療機関で相談することが望まれます。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

※提供元:「日本がん対策図鑑」【肺がん:一次治療(OS)】「オプジーボ+アバスチン+化学療法」vs「アバスチン+化学療法」 https://gantaisaku.net/tasuki-52_os/

この記事の監修医師