新型コロナワクチン2回接種で、感染経験者の抗体量を上回る
長崎大学の柳原克紀教授(臨床検査学)のグループは、新型コロナワクチンを接種した人は、新型コロナに感染した人よりも抗体が多く発生するとの研究結果を発表しました。今回の発表の詳細について、中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
今回の発表の詳細は?
長崎大学の柳原克紀教授(臨床検査学)のグループによる発表の詳細について、詳しく教えてください。
中島先生
長崎大学の柳原克紀教授(臨床検査学)のグループは、新型コロナの感染経験者とワクチンを2回接種した人の抗体量を調べたところ、ワクチンを2回接種した人の方が多くの抗体ができるとする研究結果を発表しました。
研究の対象者は、国内の感染経験者49人と感染した経験がない人113人です。両グループにファイザー社製の新型コロナワクチンの接種を2回受けてもらい、接種前後のIgG抗体量を調べました。
その結果、新型コロナワクチンを2回接種完了した感染経験がない人の抗体量は、感染経験者よりも多いことがわかりました。また、感染経験者が1回接種すると、2回接種を終えた感染経験がない人とほぼ同じ量の抗体が発生しました。
ファイザー社が行った臨床試験でも、ワクチン接種者の抗体量が感染経験者の抗体量と同等、あるいはそれ以上であることがわかっています。柳原教授は「新型コロナワクチンの効果が証明できた一方で、新型コロナに感染したからといって、必ずしも十分な抗体を得られるとは限らないこともわかった。感染を防ぐためには、ワクチン接種の必要がある」と述べました。
そもそも抗体とは?
そもそも抗体とは、新型コロナにどのような関係があるのでしょうか。
中島先生
抗体とは、体内に侵入した異物に存在する抗原と融合することで異物を排除する仕組みを持つタンパク質です。抗体が抗原と融合すると、マクロファージや好中球が活性化し、異物を排除します。
人の身体は、どのような異物が侵入しても、その抗原に融合する抗体を作ることができます。これは、新型コロナウイルスも例外ではありません。
まとめ
今回の長崎大学の臨床結果から、新型コロナワクチンを2回打った人は、感染経験者と同等あるいはそれ以上の量の抗体ができることがわかりました。感染経験者に十分な量の抗体ができるとは限らないことも判明しているため、感染経験の有無に関係なく新型コロナワクチンは2回接種した方がよいと言えるでしょう。新型コロナワクチンの効果や副反応について、続々と新事実が判明しています。今後も、最新情報から目が離せませんね。