【抗がん剤】新型コロナの抗体量、がん患者は健康な人の半分

公開日:2021/06/16

国立がん研究センターは、がん患者が新型コロナウイルス感染症に罹患した際、体内に発生する抗体の量が健康な人よりも少なかったとする研究結果を発表しました。今回は、がん患者と健康な人との抗体の量の違いについて、中島先生に詳しくお伺いします。

中島 由美 医師

監修医師
中島 由美 医師

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金沢医科大学医学部卒業後、同大学病院にて小児科・内科として研修を積む。その後は複数の病院で内科医や皮膚科医として勤務。2018年より福岡市中央区に「国を超えた新しい形の医療を提供」をコンセプトに、クリスタル医科歯科クリニックを歯科医師である夫と開院。

今回の発表の詳細は?

今回の発表について、詳しく教えください。

中島 由美 医師中島先生

国立がん研究センターは、同センター中央病院に通院するがん患者500人(16歳以上)、職員1190人を対象に、新型コロナウイルス感染症に罹患した際に体内で発生する抗体の量の差を調べました。

抗体の保有率はがん患者が0.4%、健康な人は0.42%と、気づかないうちに感染した割合に有意な差はありませんでした。また、がん患者の抗体の量は、健康な人の半分程度という結果がでています。

抗体の量が異なる理由は?

がん患者と健康な人で、なぜここまで抗体の量に差があるのでしょうか。

中島 由美 医師中島先生

同センターは、がん治療と抗体の量の関係も調査しています。その結果、「抗がん剤」を使用した患者は抗体の量が優位に少ない一方で、免疫のがんに対する攻撃力を高める「免疫チェックポイント阻害剤」を使用した患者の抗体量は多いことがわかりました。

このように、がんの薬物療法が抗体の量に影響を与える可能性があることが示唆されました。ただし、がん患者が新型コロナワクチンを2回接種すると、9割の人に抗体ができたとの海外の研究もあります。

がん治療中はワクチンを避けるべき?

抗体の量も含め、がん治療中は新型コロナワクチンの接種を避けるべきなのでしょうか。

中島 由美 医師中島先生

がん治療中に新型コロナワクチンを接種したことで、何らかの問題が生じる可能性については詳しくはわかっていません。ただし、新型コロナワクチンの接種を理由に、がん治療を遅らせることはしないでください。

がん治療によって強い免疫抑制がかかっている時期を避けるなど、最適なワクチンの接種時期について担当の医師に相談してみてはいかがでしょうか。しかし、がんの進行によって全身状態が悪い、発熱が続いているといった場合は、無理に新型コロナワクチンを打つ必要はないでしょう。いずれにしても、主治医とよく話し合って接種時期を決めることが大切です。

まとめ

がん患者は健康な人の半分程度しか抗体の量がないことがわかりました。また、がん治療の種類によって、抗体の量に変化が起きることも判明しています。がん治療中に新型コロナワクチンを接種したい場合は、主治医に相談することが大切です。メディカルドキュメントでは、今後もがんとワクチンの接種について最新情報をお届けします。

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