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長年培った技術で、母体も胎児も安全な自然分娩【千葉県木更津市 重城産婦人科小児科】

 更新日:2023/03/27

長年培った技術で、母体も胎児も安全な自然分娩
長年培った技術で、母体も胎児も安全な自然分娩

近年、帝王切開による出産が増えているという。とはいえ帝王切開は赤ちゃんや母体に大きな負担がかかるのでは?」と、不安を感じる女性も多くいる。特に逆子など、帝王切開を余儀なくされる可能性のある人にとって、そうした懸念はぬぐえないだろう。そこで、「胎児と同じくお母さんの体も大切に」をモットーに、長年自然分娩を推奨している重城産婦人科小児科の重城利國先生に話をうかがった。自然分娩を推奨される理由、そして今、帝王切開が増加する真相は何なのだろうか?

Doctor’s Profile
重城 利國(じゅうじょう としくに)
重城産婦人科小児科 院長

1971年群馬大学医学部卒業、同大学医学部附属病院 医員になり内分泌を研究。72年より、群馬中央合病院 産婦人科で医員に。73年には榛名女子学院 医務課長に就任、74年より群馬大学医学部助手に。4年後の78年、同大学医学博士を授与、同年、伊勢崎市民病院 医長に就任。79年、群馬大学医学部講師を経て、80年に婦人科内視鏡研修にて西ドイツ キール大学産婦人科へ留学。同年、高崎総合医療センター 医長に就任。87年、群馬県済生会前橋病院 産婦人科部長(内視鏡、体外受精)になった後、重城産婦人科小児科を開業。

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可能な限り、大切なお母さんの体を切らない、傷つけない自然分娩を

なぜ今帝王切開での出産が増えているのでしょうか?

私が大学を卒業した昭和47年頃は、緊急性のあるケース以外、「経腟分娩が当たり前で帝王切開は行わない。」というのが基本の考え方でした。いわば自然分娩が当たり前だったのです。
ところが今は、“赤ちゃん中心”の考え方が主流になり、病院には新生児科という科も生まれ、そこの医師の意見も出産に取り入れられるようになりました。すると、「胎児を無理やり分娩して具合が悪くなることがあるのなら、帝王切開してほしい」という意見が優先されるケースが多くなってしまったというわけです。

可能な限り、大切なお母さんの体を切らない、傷つけない自然分娩を

逆子の場合などは、特に帝王切開になるケースが多いと聞きます

確かに「逆子=帝王切開」の時代になっています。それはなぜかというと、アメリカなどでの統計で、逆子を経腟分娩で出産した場合と帝王切開した場合を比べると、経腟分娩の方が赤ちゃんへのリスクが高いというデータがあるからなのです。
また、私が産婦人科医になった時代には、逆子を骨盤位娩出術、鉗子分娩で安全に出産する技術が当たり前に使われていました。逆子以外のケースでも、吸引や鉗子を使ったサポートで、経腟分娩が行われていたのです。
しかし、その技術は若い医師に驚くほど継承されていません。それも、帝王切開が増えた要因だと思います。

帝王切開で出産することで、将来も含めて母体や赤ちゃんにリスクはないのでしょうか?

胎児へのリスクはほぼありませんが、帝王切開ではなく鉗子分娩を選べば、胎児が助かったケースはあると思います。
通常分娩に時間がかかり、心音が悪くなったから帝王切開に変更しようというような場合、改めて麻酔科医を呼んで手術室を準備しなければなりません。すると、どうしても20分くらいの時間が必要になってしまいます。その時間が胎児にとって大きなリスクにつながることがあるのです。
母体についていえば、帝王切開をすると次も帝王切開しかできなくなります。産める赤ちゃんの数が限られてしまうことや、術後の癒着のリスクはありますが、胎児に対するようなリスクの面はあまりないと思います。

可能な限り、大切なお母さんの体を切らない、傷つけない自然分娩を

貴院では帝王切開率が低いと聞いています。先生が自然分娩を推奨されるのはなぜでしょうか?

お腹を切らない方が母体への負担はずっと少ないからです。赤ちゃんを育てるお母さんの大切な体を無駄に傷つけたくありませんし、また「できれば帝王切開はしないで済ませたい」と絶えず思っています。
四苦八苦してやっと自然分娩で生まれて、赤ちゃんの具合が悪いと訴えられてしまうこともあるそうですが、私は母体と胎児の命と“障がいが残るか否か”までをきちんと見極めて、長年の経験で培った吸引や鉗子の技術でしっかりサポートしていきたいと考えています。
今は医師がこういった訴訟を恐れた結果として、必要のなかったかもしれない帝王切開がとても増えているような印象があります。それを非常に残念に思います。

必要のない帝王切開を回避できる、吸引分娩、鉗子分娩の技術

必要のない帝王切開を回避できる、吸引分娩、鉗子分娩の技術

そのようにうかがうと、吸引分娩や鉗子分娩の技術は非常に重要ですね

はい。もちろんどちらもリスクがゼロとは言えません。ですが、帝王切開を回避できる重要な手段だと思います。
胎児の頭が下がるのが途中で止まってしまったときや、逆子の際に、続きをサポートできるのはやはり吸引分娩、鉗子分娩の技術なのです。ですから、もっと技術を教育していけばいいと思うのですが……。
ただし、この技術は経験がないと難しく、症例数も多くないので、トレーニングをする機会も少ない。そこに、「そこまでやらなくても帝王切開をすればいいじゃないか」という医師の意識の問題もあるので、なかなか後進が育ちません。

分娩方法はほかにもさまざまなものがありますが、それぞれのメリット・デメリットを教えてください

お産の進みをよくするために、しゃがんでいきむ「座位分娩」はメリットがあると思います。私もいきみやすいのが一番だと思いますので、当院ではあまり姿勢にはこだわらず、患者さんから要望があればその姿勢に対応しています。
「和通分娩」は、助産師さんや看護師さんが子宮口が全開になるまで付き添って、腰をさすったりアドバイスしたり、色々気を紛らわせるものです。今はコロナ禍で家族の付き添いが難しいので、これも大切なのではないでしょうか。

帝王切開のほかにも、先生があまり推奨されない分娩方法はありますか?

無痛分娩」に関しては医学的な適応がある場合以外は、いろいろトラブルが多いので、あまりおすすめしません。無痛にしたために分娩が長くなってしまって、結局硬膜外麻酔をしているので、そのまま帝王切開になってしまうこともよくあります。
また、無痛分娩にしたからといって、完全に無痛のまま分娩ができるかというと、10人中3~5人くらいしか成功しないという問題もあります。「誘発分娩」は、当院では予定日を10日過ぎたりご家族の希望があれば行っていますが、思い通りに進まない事があります。その挙句に帝王切開になってしまうことは避けたいです。

必要のない帝王切開を回避できる、吸引分娩、鉗子分娩の技術

24時間365日のフォローと、一人ひとりに向き合う姿勢を心がけて

24時間365日のフォローと、一人ひとりに向き合う姿勢を心がけて

出産への考え方は多様化していると思います。安産のために妊婦さんが行うべきことは何かありますか?

当たり前のことですが、「食事をバランスよく食べる」「糖分や塩分は摂りすぎない」「ストレスを溜めない」「適度な運動をする」などです。特に、太りすぎは産道が狭くなったり、いきみにくくなったり、妊娠高血圧を引き起こす危険性もあるので注意が必要です。
すぐに効果が出てくるかどうかはわかりませんが、当院では無料で月1回、マタニティヨガも行なっているのでぜひ利用して欲しいですね。ただ、実は最近お母さんが体重制限を積極的にやりすぎるために出生体重が減っていて、少し体重制限が緩和されています。

妊娠中に起こりがちな症状やトラブルで、注意すべきことはどんなものでしょうか?

「切迫早産」です。ですからお腹の張りには十分注意して欲しいですね。当院では24時間365日、「気になることがあれば電話してね」とお伝えして対応しています。
切迫早産は、“どういう生活をしていたから悪くなった”という原因究明が非常に難しく、詳しいところはまだよくわかっていないのです。そういったトラブルを早期発見するためにも、妊婦検診には毎回必ず来ていただきたい。また、気になることがあったときにもすぐに受診していただくことが大切です。

24時間365日のフォローと、一人ひとりに向き合う姿勢を心がけて

24時間365日のフォロー体制はすごいですね! 産後のサポートにも力を注がれているとか

産後に患者さんのお宅に電話をかけて「具合はどうですか?」とお聞きしています。産後も産前も、体のケアもそうですが、やはり心のケアが大切だと思うので、じっくりお話を聞くようにしています。
妊娠中の定期健診や、また当クリニックでは体外受精も含めた不妊外来も行なっていますので、そういったときにもしっかりお話をするように心がけています。なかでも不妊治療は平均で3割、よくても5割くらいの成功率しかない、かなりナイーブな治療になりますので、一人ひとりの患者さんにきちんと向き合う必要があると感じています。

貴重なお話をありがとうございました。先生が今後目指される医療についてお教えください

出産という分野で、医師はある意味熟練工になるということです。実は私の場合、外科系の科に進もうと考えていまして、たまたま高校の先輩が国立病院の産婦人科の院長をやっていて、その先輩に誘われて産婦人科の医師になりました。
でも、産婦人科医になってから出産についてのリスクや重要性がわかってきて、知識や技術もどんどん積み重なり、今大切にしている「なるべく自然分娩を推奨する」という考えに辿りついたというわけです。これからもその考えをより多くの方に伝え、出産の熟練工として、一人でも多くのお母さんと赤ちゃんの命を守る、安全な出産のサポートを続けていきたいと考えています。

編集部まとめ

千葉県木更津市、JR内房線巖根駅より徒歩5分。長年にわたって地域の母子の健康を支えてきた重城婦人科小児科。院長の重城先生からのお話からは、お母さんと赤ちゃんに対する深い愛情と、長年積み重ねてこられた高い技術が感じられました。妊娠中の方はもちろん、逆子で不安を持たれている方、不妊治療を考えておられる方も、ぜひ一度ご相談に行かれてみてはいかがでしょうか。

医療法人社団重城産婦人科小児科

医院名

医療法人社団重城産婦人科小児科

診療内容

産科 婦人科 小児科

所在地

千葉県木更津市万石358

アクセス

JR内房線「巖根」駅より徒歩5分

この記事の監修医師