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【薬剤師が解説】サプリメントの過剰摂取は体に悪影響? リスクや薬との飲み合わせの注意点

 更新日:2023/10/12
サプリメントの過剰摂取は体に悪影響! 考えられるリスクと薬との飲み合わせの注意点を薬剤師が解説

ドラッグストアや通販、そして最近ではコンビニなどでも手軽に購入できるサプリメント。体調が悪い時や疲れが取れない時などいつもと違うと感じたら少し多めに飲んでいませんか? サプリメントは薬ではありませんが、飲み過ぎると体に悪影響が出る可能性があるので注意が必要です。そこで今回は、サプリメントの過剰摂取によるリスクや薬との飲み合わせについて薬剤師の岡村さんに聞きました。

岡村 奈津子

監修薬剤師
岡村 奈津子(薬剤師)

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薬学部卒業後、大学病院薬剤部での研修を経て、病院薬剤師、ドラッグストア、調剤薬局と様々な職種を経験。現在は地域医療や在宅ケアに力を入れている。適切な情報をより多くの方へ届けるため、執筆活動中。

サプリメントの過剰摂取はなぜ危険? どのような健康被害が考えられるのか

サプリメントの過剰摂取はなぜ危険? どのような健康被害が考えられるのか

編集部編集部

まず、サプリメントのメリット・デメリットは何でしょうか?

岡村 奈津子さん岡村さん

サプリメントは食事だけで補うことのできない栄養素を手軽に補充することができます。メリットは、簡単に効率よく必要な栄養素を自身で選んで摂取できることでしょう。しかし、適切に服用しなければ副作用が生じる可能性があり、複数のサプリメントを併用する場合は成分の重複にも注意が必要です。サプリメントはメリット・デメリットをよく理解して服用するようにしましょう。

編集部編集部

サプリメントの過剰摂取によるリスクはありますか?

岡村 奈津子さん岡村さん

サプリメントの過剰摂取にはさまざまな健康被害のリスクがあります。例えば、鉄分の過剰摂取による吐き気や便秘、カルシウムの過剰摂取による高カルシウム血症などが挙げられます。そのほかには、カフェインの過剰摂取ではめまい、心拍数の増加、ふるえ、興奮、下痢、嘔吐などのリスクがあります。カフェインは健康な成人でも1日400mg(コーヒーカップ3杯分)程度にすることを推奨されています。サプリでカフェインをとって、コーヒーやエナジードリンクを追加すると、あっという間に過剰摂取になってしまいます。そのため、薬だけでなくサプリメントも適切な量を服用することが大切です。

参照:参照:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」

編集部編集部

ビタミン剤は摂りすぎるとどんなリスクがありますか?

岡村 奈津子さん岡村さん

ビタミンには、「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」の2種類があります。水溶性ビタミンは、ビタミンB郡(葉酸、ナイアシン、ビオチンも含む)とビタミンC、脂溶性ビタミンはビタミンA、E、D、Kです。このうち、脂溶性ビタミンは肝臓などに蓄積されて排出されにくい性質を持つので、過剰症の注意が必要です。一方、水溶性ビタミンは尿中へ排泄されるため、過剰症が起きる可能性はほとんどありません。

サプリメントと薬は一緒に飲んでも大丈夫? 副作用について

サプリメントと薬は一緒に飲んでも大丈夫? 副作用について

編集部編集部

サプリメントで注意すべき副作用はありますか?

岡村 奈津子さん岡村さん

サプリメントを摂取することで喉がイガイガする、発疹が出るなどのアレルギーが生じたという副作用の報告があります。例えば、グルコサミンはエビやカニなどの甲殻類の殻に含まれるキチンという成分から抽出されるものなので、甲殻類アレルギーの人は避けるべきです。過去には、サプリメントの服用による重篤な副作用、健康被害が起こった事例もあります。この事例は、サプリメント自体に過剰に成分が配合されていた、不純物が含まれていたなどの可能性があることが原因だといわれています。サプリメントは食品に分類され、製造販売に医薬品ほどの厳しい基準がありません。だからこそ、信頼できるメーカーの商品を選ぶようにしましょう。

編集部編集部

サプリメントと病院で処方された薬との飲み合わせや疾患への影響はありますか?

岡村 奈津子さん岡村さん

はい、影響が出る可能性があるので注意が必要です。例えば、処方せん薬のワーファリンはイチョウ葉エキス、ビタミンK、青汁、クロレラにより薬の効果に影響が出るので、これらを含むサプリメントや健康食品は摂取してはいけません。ほかにも、リウマチの治療に使用されるメトトレキサートは葉酸で作用が減弱するので、サプリメントの摂取は控えるべきです。疲れている人、ストレスが多い人に向いているハーブのサプリメントにセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)というものがあります。こちらはさまざまな医薬品との相互作用が多いことで知られており、治療に影響が出る可能性があります。持病・疾患をお持ちの人や医療用医薬品を服用中の人は、サプリメントを飲む前に医師・薬剤師に相談しましょう。

編集部編集部

サプリメントでビタミンCを飲まれる方は多いですが、副作用はあるのでしょうか?

岡村 奈津子さん岡村さん

ビタミンCは水溶性ビタミンで、水に溶けやすい性質をもつビタミンです。水溶性ビタミンは過剰に摂取した分は尿中へ排出されるので、安全性は高いといわれています。しかし、過剰摂取すると下痢や腹痛などが出る可能性があります。推奨された量を守って服用しましょう。

編集部編集部

サプリメントは薬と同じく肝臓への負担はありますか?

岡村 奈津子さん岡村さん

私たちが摂取した食事や薬は肝臓を通過して代謝、解毒されていきますが、サプリメントも同様です。したがって、適切な量を摂取しないと肝臓に負担がかかる可能性があります。ごくまれに適切な量を服用していても、サプリメントや健康食品の影響と考えられる肝障害の報告があります。サプリメントを服用中は、体調変化がないか十分注意しましょう。

複数のサプリメントを飲む際のポイントを解説 医師や薬剤師に相談した方がいい?

複数のサプリメントを飲む際のポイントを解説 医師や薬剤師に相談した方がいい?

編集部編集部

複数の種類のサプリメントを飲むことは可能ですか?

岡村 奈津子さん岡村さん

現在販売されているサプリメントは、複数の成分が配合されているものが非常に多いです。「詳しい成分を確認せずにいたら重複していた」「気づかないうちに過剰摂取していた」ということがないように必ず確認しましょう。ご自身に必要なものを厳選して服用することが大切ですね。

編集部編集部

複数の種類のサプリメントを飲む時は、同じタイミングでも問題ないですか?

岡村 奈津子さん岡村さん

サプリメントは食品に分類されるので、決められた飲み方はありません。推奨される飲み方の記載がある場合は、そちらに従い服用するのがよいでしょう。

編集部編集部

サプリメントを購入したいときは、医師または薬剤師に相談すべきでしょうか?

岡村 奈津子さん岡村さん

持病がある人、併用薬がある人、妊娠・授乳中の人、高齢者や小児、アレルギーをお持ちの方、副作用歴がある人は注意が必要です。かかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

岡村 奈津子さん岡村さん

自身の体調管理や健康のためにサプリメントを摂取する方がほとんどだと思います。せっかく摂取するのであれば、適切に服用して健やかに過ごしたいものですよね。基本はバランスの良い食事、健康的な生活を心がけ、サプリメントはあくまでも補助的に飲むものという意識を忘れないようにして、活用してください。

編集部まとめ

薬よりも手に入れやすく、日常的にサプリメントを活用しているという人は多いのではないでしょうか。薬ではないとはいえ、サプリメントも飲み合わせや過剰摂取に気を付ける必要があります。自分の体調変化を意識しながら活用し、なにか異変があればすぐにかかりつけのお医者さんや薬剤師に聞くようにしましょう。

この記事の監修薬剤師