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「ワインは健康にいい」と聞くけど実際どうなの? どのような健康効果があるか管理栄養士が解説

 公開日:2023/08/07
「ワインは健康にいい」と聞くけど実際どうなの? どのような健康効果があるか管理栄養士が解説

アルコールを飲むならワインが健康に良いと耳にすることはありませんか? アルコールはあまり健康に良いイメージはありませんが、なぜワインは健康に良いと言われているのでしょうか。健康に良いのならたくさん飲んでも良いのかも気になるところです。そこで今回は、ワインと健康の関係について、管理栄養士の森さんにお話を伺いました。

森 浩子

監修管理栄養士
森 浩子(管理栄養士)

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栄養士・管理栄養士歴25年、特別養護老人ホーム、保育所給食、行政栄養士など幅広く経験。実際に調理現場にも長く立ち多職種の方々と一緒に働いた経験をいかして活動中。

ワインに含まれる栄養成分はなに? どのような健康効果がある?

ワインに含まれる栄養成分はなに? どのような健康効果がある?

編集部編集部

そもそもワインとはどのようなものなのでしょうか?

森 浩子さん森さん

ワインは「果実を原料とする醸造酒」のことを言います。紀元前2000年ごろにはすでにワインを作っていたと言われており、古い遺跡からワイン製造の跡が発見されるなど、ワインは人類が親しんできた最古のお酒であると言えるでしょう。ビールや日本酒は穀物を原料としているため、多くの水を必要としますが、ワインの場合は原料となるブドウに多くの水分を含んでいるため、「良いワインは良いブドウから」と言われるくらい、ブドウの品質がワインの美味しさに直結すると言われています。ワインというと、「ブドウで作ったお酒」と思われがちですが、サクランボやモモを使ったものもワインの仲間になります。

編集部編集部

アルコール類の中でもワインは身体に良いと聞きますが、それはどうしてでしょうか?

森 浩子さん森さん

ワインには、私たちの健康にとって重要な栄養成分のひとつであるアントシアニンやカテキンといった「ポリフェノール」が豊富に含まれています。このポリフェノールは体の隅々にまで効果を発揮することから、ヨーロッパでは「ワインがあれば医者いらず」と言われています。日本でいうところの「酒は百薬の長」と同じフレーズですね。

編集部編集部

そのポリフェノールには、どのような健康効果があるのでしょうか?

森 浩子さん森さん

ワインに含まれるポリフェノールは抗酸化作用、抗炎症作用、血管拡張、美肌効果、ダイエット効果など、幅広く作用すると言われています。また、体全体の血行がよくなることから、冷えの症状を治め代謝がアップすることでむくみの解消にも繋がります。このように、ポリフェノールを摂取することは健康面だけでなく美容の面でも様々なメリットを得ることができるのです。

ワインを飲むことでどんな病気を防ぐことができる?

ワインを飲むことでどんな病気を防ぐことができる?

編集部編集部

それでは、ワインを飲むことでどのような病気を予防することができるのでしょうか?

森 浩子さん森さん

ポリフェノールの働きによってHDL(善玉)コレステロールの数を増やすことからLDL(悪玉)コレステロールの活性化をおさえ、動脈硬化のリスクを軽減します。また、コレステロール値が下がることによって、高血圧を防ぎ、心臓発作といった心臓病のリスクも軽減させることができます。加えて、抗酸化作用があることから、がん予防、脳卒中のリスク低下にも効果があると言われています。この抗酸化作用には、老化を防止する働きもあります、誰しも老いには勝てないものですが、このような有効成分を体に取り入れることによって、老化現象を遅らせることも可能になってきます。

編集部編集部

ワインには赤ワイン・白ワインとありますが、効果は同じですか?

森 浩子さん森さん

赤ワインのほうがポリフェノールの含有量が多いため、健康には赤ワインというイメージが強いのですが、白ワインに含まれているポリフェノールは分子が小さく体に吸収されやすいという利点があります。また、赤ワインに比べると強い殺菌力があることから、サルモネラ菌や大腸菌など食中毒を引き起こす菌に有効に働きます。赤ワイン・白ワインと効果はそれぞれですので、違いを知り目的に合わせたものを飲み分けて楽しむと良いのではないでしょうか。

編集部編集部

認知症や気分が滅入った時などにも良いと聞きますが、どうなのでしょうか?

森 浩子さん森さん

ブドウの果肉に含まれるペプチドには、脳神経ホルモンの働きを助ける効果があるので、脳神経を保護・改善することから、認知症やアルツハイマー病の発症リスクを軽減すると言われています。また、適量のワインを飲むとメンタルヘルスの向上に繋がるという研究結果も報告されています。

ワインを飲む際の注意点を管理栄養士に聞く 1日の摂取目安量・カロリーは?

ワインを飲む際の注意点を管理栄養士に聞く 1日の摂取目安量・カロリーは?

編集部編集部

それでは、ワインを楽しむ際に気を付けることは何でしょうか? まずは、カロリーについて教えてください。

森 浩子さん森さん

ワイン100mlあたりのカロリーはおよそ75kcalと言われています。アルコール度数や糖分が高くなるほど高カロリーになります。「ワインは太らない!」と思い込んで糖分の多い銘柄を楽しみすぎると、当然ながら肥満の原因となってしまいますので、注意が必要です。ちなみに、糖質は100mlあたり赤ワインが1.5g、白ワインが2.5g含まれています。白ワインには甘口のものもあるので、糖質ダイエットには甘口タイプがほとんどない赤ワインを選ぶといいでしょう。嗜む程度に飲むならば、ワインは低カロリー・低糖質で太りにくいお酒と言えます。しかし、こってりした高カロリーのおつまみを食べてしまっては意味がありません。意識してヘルシーなおつまみをあわせるようにしてみましょう。

編集部編集部

ほかのアルコール類のカロリーはどれくらいですか?

森 浩子さん森さん

同じく100mlあたりで比べると、ビールは40kcal、日本酒は100kcal、焼酎だと170kcalとなります。ワインのカロリーが特別高いわけではないことが分かりますね。「ビールのカロリーが低いな」と思われた方もいると思いますが、ビールの場合、カロリー低いのですが糖質が多く含まれることから太りやすいお酒の代表となります。こちらにも、気を付けなくてはなりませんね。

編集部編集部

ワインに健康効果があるということは分かりましたが、1日の摂取目安量はどの程度でしょうか?

森 浩子さん森さん

いくら健康効果があるからといっても、当然ながら飲みすぎてはいけません。1日の適正な飲酒量は純アルコールで20gです。ここから計算すると健康に働くワインの1日の摂取量は150mlから200ml程度が良いとされています。もちろん個人差もありますので、あくまでも目安ですね。女性はアルコールの分解速度が遅く、影響を受けやすいため10gにすることが推奨されています。健康に良いからといって飲みすぎてしまうと二日酔いや肥満を招きかねませんので、注意が必要です。ほかのアルコールで適量といわれているのは以下のとおりです

ビール:500ml(中ビン1本)
日本酒:180ml(1合)
焼酎:100ml
ウィスキー:60ml

アルコール度数が高いものほど目安の量が少ないことが分かりますね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

森 浩子さん森さん

お話してきたように、ワインは適量摂取することで、健康にも美容にも良い効果が見られます。また、ワインの種類によって効果も色々なので、自分に合ったものを探し体質改善を図ってみるのも楽しいかもしれませんね。好みや予算によっても選ぶワインは変わってくるかもしれませんが、健康や美容効果を期待することができるアイテムになります。ただ、何度もお伝えしたとおり飲みすぎには注意して適量を心がけることが大切です。ワインが好き、という人はもちろんのこと、それ以外の方も日常生活の中でこういった知識を活かしていただければ、と思います。

編集部まとめ

ワインがなぜ健康に良いとされているのか、その答えはポリフェノールにあるとのことでした。動脈硬化や高血圧のリスクを下げられるだけでなく、血行促進や美肌効果もあるとは驚きです。しかし、何事も適量が大切。健康に良いといって飲み過ぎてしまっては逆効果になってしまいます。適量を意識し、ワインを楽しみながら健康管理に努めましょう。

この記事の監修管理栄養士