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【医師が解説】漢方薬の服用期間はどれくらい? 症状が緩和した後も飲み続けるべき?

 更新日:2023/03/27
【医師が解説】漢方薬の服用期間はどれくらい? 症状が緩和した後も飲み続けるべき?

「漢方薬に興味はあるけれど、なんとなくとっつきにくくて、飲み方がよくわからない」など、漢方薬に疑問を感じている人も多いと思います。とくに気になるのは「症状がなくなっても、ずっと飲み続けなければいけないのでは?」ということではないでしょうか。一体、漢方薬に「やめどき」はあるのでしょうか。今回は、「すみれが丘そよかぜクリニック」の芹澤先生を取材しました。

芹澤 敬子

監修医師
芹澤 敬子(すみれが丘そよかぜクリニック)

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富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部医学科卒業。その後、国立病院機構静岡医療センター内科、東邦大学医療センター大森病院東洋医学科、神奈川県立がんセンター東洋医学科などで経験を積む。2019年11月、神奈川県横浜市に位置する「すみれが丘そよかぜクリニック」の院長就任。患者一人ひとりの気持ちに寄り添い、希望に沿った診療を心がける。日本東洋医学会漢方専門医。

漢方薬はどんな症状におすすめ? 冷え・むくみなど漢方薬局でよくある悩み

漢方薬はどんな症状におすすめ? 冷え・むくみなど漢方薬局でよくある悩み

編集部編集部

一般に、漢方薬はどんな症状におすすめなのでしょうか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

漢方薬は、風邪や発熱といった日常的な症状から、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、さらにはPMSや更年期障害などの婦人科系疾患など幅広く有効です。そのなかで、漢方薬による治療は、未病の段階で始めるのがおすすめとされています。

編集部編集部

「未病」とはなんですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

例えば、「なんとなく体がだるいのだけど、病院にいっても診断名がつかない」という場合があるでしょう。そのように、「病気ではないけれど、健康ではない」という状態を未病と言います。また、漢方薬は西洋医学では治療法が見つからなかったり、治療法があっても副作用が辛かったりする場合にも漢方薬は適しています。

編集部編集部

実際、どのような人が漢方薬を使うケースが多いのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

よくあるケースは、便秘や下痢などお腹のトラブルです。あとは、むくみや冷え性、生理痛など、女性によく見られる症状の相談も多いですね。また、アレルギーなどの体質改善や減量などのお悩みもあります。

編集部編集部

漢方薬を飲むことで、どのような効果が期待できるのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

一般的に用いられる西洋医学の薬に比べて、漢方薬は効き目が穏やかです。そのため、慢性的な疾患の場合は長く継続していただく必要があります。しかし、西洋医学に比べて副作用が少なく、体にもやさしいのが漢方薬のメリットです。西洋医学の薬と漢方薬のメリットやデメリットを比較しながら、組み合わせて使うことを検討するのがいいと思います。

医師に聞く漢方薬の正しい飲み方 服用期間はいつまで? 症状がなくなっても飲み続けるべき?

医師に聞く漢方薬の正しい飲み方 服用期間はいつまで? 症状がなくなっても飲み続けるべき?

編集部編集部

「漢方薬は長く飲まなければ効果がない」と聞きます。効き目はどれくらいで現れるのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

たしかに、長く飲まなければ効果がない薬もあります。とくに、神経痛や腰痛など、長年患っている症状は、漢方薬を月単位で服用していただく必要があります。そのため、数日飲んでやめてしまうのではなく、まずは2週間試してみるのがおすすめです。一方、風邪や鼻炎など急性の疾患の場合は1日で効き目が現れることもあります。

編集部編集部

漢方薬を服用するにあたって、気をつけることはありますか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

最も大事なのは、自己判断で漢方薬を選ばないことです。例えば、同じ風邪薬でも、その人の体質や体調によって最適な漢方薬は異なります。自分に適さない漢方薬を服用すると、かえって症状が悪化することも考えられます。そのため、漢方薬を服用する時には専門医または漢方薬局で相談するようにしましょう。

編集部編集部

ほかにも注意点はありますか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

漢方薬の飲み方にも注目してほしいですね。漢方薬には煎じて飲むものや粉末状のものなど、様々な種類があります。例えば当院では通常、保険適用のエキス製剤を処方しています。これは複数の生薬を一定の割合で配合し、煎じてから乾燥させたものです。しかし、煎じ薬の方が早く治ることもあり、そのような場合には煎じ薬をおすすめするケースもあります。漢方薬の飲み方については、医師や薬剤師の指示に従うようにしてください。

編集部編集部

症状がなくなっても飲み続けた方がいいのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

病気や症状の程度、また、その人の体調や体質も関係してきますから、一概には言えません。病気によっては、症状がなくなったら飲むのをやめて良いものもあります。その一方、長く飲み続けることで病気の予防になる場合もあります。よく、「漢方薬はやめどきがわからない」という質問を受けることがありますが、服用をやめるタイミングについては人それぞれなので、医師や薬剤師に相談しましょう。

編集部編集部

漢方薬を服用するうえで、気をつけることはありますか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

西洋医学の薬に比べて漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、もともと胃が弱い人は漢方薬を服用することで胃がもたれることもあります。そうした不調が出たら、遠慮なく医師や薬剤師にご相談ください。胃に優しいものに変更することができます。また、漢方薬を服用してむくみがでたら血液検査が必要なこともありますので、何か気になる症状が出た場合は、速やかに受診するようにしましょう。

漢方薬はどこで入手するのがいい? 医師がおすすめする正しい漢方薬処方

漢方薬はどこで入手するのがいい? 医師がおすすめする正しい漢方薬処方

編集部編集部

ドラッグストアなどでも漢方薬を入手することができますが、どこで入手するのがいいのでしょうか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

たしかに最近ではドラッグストアやスーパー、コンビニエンスストアでも漢方薬が売られることが増えてきましたから、入手することは容易になりました。しかし本来、漢方薬を処方するには細かくその人を診察する必要があります。そのため、漢方に詳しい先生が在籍している医療機関や漢方薬局で購入することをおすすめします。

編集部編集部

漢方薬を購入する前には、どのような診察が必要なのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

漢方医による診察では、は「望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん)」 という4つの診察方法でその人を見て、治療方針を決定します。

編集部編集部

具体的に、どのようなことを診察するのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

望診とはその人の顔色や皮膚、爪などを見て診察するもの。聞診とは話し声や声の大きさなどを聞いて判断するもの。問診とは体調や気になる症状についてヒアリングするもの。切診とは脈をとったりお腹に触れたり、直接患者さんに触れて診察するもの。これらの結果を総合的に判断して、その人に合った漢方薬を処方します。

編集部編集部

漢方薬は保険が適用されるのですか?

芹澤 敬子先生芹澤先生

医療機関によっては保険適用になるところもあります。しかし、漢方薬を薬局から直接購入する場合には保険適用になりません。また、医療機関でも薬によっては保険適用外になることもありますから、処方してもらう前に医師に確認するといいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

芹澤 敬子先生芹澤先生

漢方薬は長期間飲み続けるのに適さないものと、飲めば飲むほど元気になる働きがあるものがあります。また、気になる症状がある場合は、できるだけ症状が軽いうちに対処することで、治療をスムーズに進めることができます。まずは相談だけでも大丈夫なので、もし興味があればお気軽に漢方医や漢方薬局へご相談ください。

編集部まとめ

漢方薬に興味はあるけれど、「長く飲み続けなければいけないの?」「保険は効くの?」など、疑問がいっぱいという人も多いと思います。そんなときは、漢方医や漢方薬局へ相談してご自身に合った漢方薬を処方してもらいましょう。一人ひとりの症状や体質に合わせ、最適なアドバイスをしてくれます。ぜひ、漢方薬を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

医院情報

すみれが丘そよかぜクリニック

すみれが丘そよかぜクリニック
所在地 〒224-0013 神奈川県横浜市都筑区すみれが丘13-3
アクセス 横浜市営地下鉄ブルーライン「中川駅」 徒歩12分
横浜市営地下鉄グリーンライン「北山田駅」 徒歩20分
診療科目 内科、漢方内科、形成外科、皮膚科、美容皮膚科、心療内科、婦人科

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