目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 自己流の糖質制限は危険!? 糖尿病専門医が理由を解説【漫画付き】

自己流の糖質制限は危険!? 糖尿病専門医が理由を解説【漫画付き】

 更新日:2023/03/27

近年メディアで取り上げられており、実践している人も多い糖質制限ダイエット。「全く炭水化物を食べていない」なんて声も聞きますが、尾山台ゆあさ内科クリニックの湯浅先生によると、「自己流の糖質制限はとても危険」とのこと。糖質制限によって起こる病気や危険性について伺いました。

湯浅 幸子

監修医師
湯浅 幸子(尾山台ゆあさ内科クリニック 院長)

プロフィールをもっと見る

東海大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部腎臓・内分泌・代謝内科助手、東京都立大塚病院内科、 東京都済生会中央病院総合健診センターなどを経て、尾山台ゆあさ内科クリニックを開設。糖尿病外来などで培ってきた経験を生かし、患者さんの生活に寄り添った医療を提供している。医学博士、日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本糖尿病協会療養指導医などの資格を有する。

過度の糖質制限は、バランスを崩し日常に影響が

過度の糖質制限は、バランスを崩し日常に影響が

編集部編集部

糖質制限ダイエットという言葉をよく聞きますが、これって危険なのですか?

湯浅先生湯浅先生

米や麺類などを一切食べない、という糖質制限をしている人がよくいますよね。米や麺類には確かに糖質が多く含まれていますが、まったく食べないというのは、体にとって危険です。

編集部編集部

そもそも糖質とはなんなのでしょうか?

湯浅先生湯浅先生

糖質とは人間の体を動かすエネルギーになる栄養素なのです。基本的には肝臓や筋肉にグリコーゲンという物質に変換され貯蔵されますが、それでも糖質が余った場合に体脂肪として蓄積されるのです。つまり、糖質を全く摂らないということは、生活に必要なエネルギーも摂取できないということになるのです。

編集部編集部

糖質を摂らないとどうなるのでしょう?

湯浅先生湯浅先生

極端な糖質制限を行うと、脂肪を分解してエネルギーに変換します。しかし、これによりケトン体 という物質が増えて、体内の細胞を傷つけてしまいます。重症だと命に関わることもあります。

編集部編集部

なるほど。その他、悪影響がありましたら教えてください。

湯浅先生湯浅先生

糖質を減らして、その分脂質やタンパク質の摂取量が増えると、栄養バランスが崩れ、コレステロール値が増えてしまいます。その結果、血管を痛めたり、腎臓の働きを悪化させたりしてしまいます。

糖質制限が心筋梗塞や脳梗塞の原因に

糖質制限が心筋梗塞や脳梗塞の原因に

編集部編集部

糖質制限のリスクについて伺いましたが、これらはどのような病気に繋がるのでしょう?

湯浅先生湯浅先生

糖質を制限する代わりに脂質が増えてしまうと、動脈硬化につながる可能性があります。コレステロール値の増加は動脈硬化を引き起こし、血管が傷んでしまいます。血管がつまることで、心筋梗塞や脳梗塞が引き起こされます。

編集部編集部

それは怖いですね。ほかにも考えられる病気はありますか?

湯浅先生湯浅先生

糖質を制限することでエネルギー不足に陥ると、タンパク質が不足します。タンパク質を原料とする体の筋肉が衰えて、骨密度が下がり、骨粗しょう症になる可能性もあります。また腸内細菌のバランスが乱れ、便秘や肌荒れの原因になるとも言われています。

編集部編集部

過度の糖質制限は危険なのですね。でも太りすぎも動脈硬化の原因になるし、難しいですね。

湯浅先生湯浅先生

BMIを目安にしてください。標準より上回っていたら、少し主食が多いかもしれません。いつもより主食の量を少なくするといいでしょう。また、ラーメンライスセットのような主食×主食の組み合わせをやめる半ライスにするなど量を調整するようにしましょう。

危険のない糖質制限が大事 白より茶色の食べ物で糖質を減らす

危険のない糖質制限が大事 白より茶色の食べ物で糖質を減らす

編集部編集部

ではどのような食生活をすれば、うまく糖質を摂りながらダイエットをできるのですか?

湯浅先生湯浅先生

お米を食べるときは、カツ丼や天丼のような丼ものはやめましょう。丼ものはどうしても摂取するお米の量が多くなってしまいます。定食などバランスの良い食事を心がけ、1食のお米は90g程度にするとよいと思います。

※お茶碗1杯が大体150g

編集部編集部

麺類を食べたいときはどうしたらいいですか?

湯浅先生湯浅先生

お米にも麺にも共通して言えることなのですが、「白より茶色のものを食べる」と覚えましょう。白米より五穀米や玄米うどんよりも十割そばなど茶色のもののほうが、血糖値が上がりづらく太りづらいのです。またジュースなども糖質が多いため、間食で一気に飲むと血糖値が上昇して危険です。果物も糖質が多いものがあるので、食べ過ぎには注意してください。

編集部編集部

なるほど。選ぶ食べ物でそんなに変わるのですね。

湯浅先生湯浅先生

食べ物だけでなく、血糖値が上がりづらい食べ方も重要ですよ。野菜→おかず→主食の順番にすると、血糖値が上がりづらいのです。また、食べる時間もゆっくり食べるといいですよ。早く食べ過ぎると肥満が助長されます。寝る直前の食事もエネルギーが摂取されず太りやすいので、控えましょう。

編集部まとめ

やっている人も多い糖質制限ダイエットですが、まったく糖質を摂取しないのは大きな病気の原因になって危険とのことでした。適正体重に収まる範囲で、適度に摂取することが重要です。「サプリメントなどは利用して悪いことはないですが、あくまで補助食品。毎日の食事からタンパク質や脂質、糖質をバランスよく摂ることを心がけてくださいね」と湯浅先生が教えてくれました。

医院情報

尾山台ゆあさ内科クリニック

尾山台ゆあさ内科クリニック
所在地 〒158-0082 東京都世田谷区等々力5-5-12 尾山台萬八ビル2階
アクセス 東急大井町線「尾山台駅」より徒歩2分
診療科目 内科・糖尿病内科・循環器内科

この記事の監修医師