内視鏡検査における鎮静剤の種類や効果とは!同意書についてもご紹介
内視鏡検査にはさまざまな種類の鎮静剤が使われており、内視鏡検査にとって欠かせないものだといえるでしょう。
しかしながら、この鎮静剤は適切に扱わないと偶発症を起こすなど危険を生じるものなので、同意書の記入も求められます。
そこで内視鏡検査を受けるために必要なポイントの数々をご説明します。
この記事の監修ドクター:寒河江 三太郎 医師(厚木胃腸科医院 院長)
目次 -INDEX-
そもそも内視鏡の鎮静剤とは?
内視鏡検査において使用する鎮静剤は、麻酔薬の一種で、眠気を誘って意識を朦朧とさせることによって、検査による苦痛や不快感などを緩和させてくれます。
主に大腸内視鏡検査や、経口の胃内視鏡検査などで使用されている薬剤となります。
麻酔薬の種類と効果について
一般的に麻酔といわれる場合、局所麻酔と全身麻酔があります。
局所麻酔は、スプレーやゼリー、注射などで効かせたい部位だけに効果を発揮します。内視鏡検査では、のどや肛門の挿入部に対して、ほぼ全例で使用されています。
全身麻酔には、主に手術の際に使用する吸入麻酔と、手術や検査で使用される静脈麻酔があり、内視鏡検査でおこなう麻酔はほとんどのケースで静脈麻酔が使われます。
一般に内視鏡検査の際に「麻酔を使いますか?」といわれる場合に使用される麻酔は、静脈麻酔のことで、意識をもうろうとさせる鎮静剤、痛みを抑える鎮痛剤、筋肉の緊張をとる弛緩薬などの静脈麻酔を必要に応じ、使い分けて実施しています。
実際の検査時にどのような鎮静剤が使用されるのか気になる方は、担当医に確認してみてもいいでしょう。
経鼻内視鏡検査では鎮静剤を使用しない
内視鏡検査は観察する部位によってさまざまな種類があり、大腸を主に調べる下部消化管内視鏡検査に加え、膵臓・胆道内視鏡検査や上部消化管内視鏡検査などの検査が消化器内科などの部門で受けることができるようになっています。
その中でも上部消化管内視鏡検査は、上部消化管(胃や食道、十二指腸)を調べる検査で、内視鏡を口または鼻から入れます。
そして、内視鏡を挿入する場所によって検査の名前が異なり、鼻から挿入するものを経鼻内視鏡検査、口から挿入するものを経口内視鏡検査と呼びます。経鼻内視鏡検査の方は一般的に鎮静剤を使用しない検査方法となっています。(ただし、経鼻内視鏡検査であっても鎮静剤を使う医療機関もあります)
経鼻内視鏡検査はなぜ鎮静剤を使用しない?
経鼻内視鏡検査において多くの場合で鎮静剤を使用しないのは、経口内視鏡検査よりも苦痛や不快感が少ないとされるためです。
経口内視鏡検査では内視鏡を口から挿入しますので、嘔吐反射(いわゆる「おぇっ」となるような吐き気を催す状態)が起こりやすいなど、苦痛を感じることが多くなっており、鎮静剤を投与することによって、その苦痛や不安などを和らげようとします。
他方、経鼻内視鏡では嘔吐反射はほとんど起こりませんが、経口より細い径の内視鏡を使用するので、経口に比較すると画質が荒くなってしまいます。これは通常の観察では問題ありませんが、微細な病変の観察においては経口のほうが優れているといえます。
鎮静剤が効かないということも
鎮静剤を使ったからといって、苦痛が全くなくなり安心して内視鏡検査が受けるられるかといえば、残念ながらそうではありません。鎮静剤を投与しても効果には個人差があり、効果が弱い例もあるためです。
同じ施設で再度の内視鏡検査を受けることになり、前回検査で鎮静剤の効果が弱かったと感じたときには、多くの施設では前回の投与量の記録がありますので、鎮静剤の量の増加や種類の変更などの相談を担当の医師に行ってみてはいかがでしょうか。
ただし、この鎮静剤に関して後述していますが、偶発症を防ぐためにも適切に投与しなければならないため、要望に応えられない可能性もあるので注意しておきましょう。
静脈注射などによる鎮静剤の投与
鎮静剤は一般的に静脈内に注射をして投与されます。静脈注射と呼ばれていますが、投与した薬剤の効果が得られるのが早い方法だとされています。早ければ数秒から数十秒で効果が得られます。
鎮静剤と鎮痛剤の違い
麻酔薬は皆さんもご存知のように、簡単にいえば痛みなどの感覚を無くし、患者への負担を軽減させることなどが目的の薬剤ですが、麻酔薬の種類の中に「鎮静剤」や「鎮痛剤」があり、それぞれ効果や使用目的が異なります。
鎮静剤は過敏性や興奮性など中枢神経の働きを抑えることで意識を朦朧とさせる効果が、鎮痛剤は中枢神経の痛みの感覚をブロックすることで痛みを麻痺させる効果があります。
この鎮痛剤も、内視鏡検査にて使用されています。
鎮静剤に関する同意書へのサイン
内視鏡検査において鎮静剤の投与を行う場合には、病院側から同意書への記入が求められることが多くなっています。
なぜなら鎮静剤という薬剤は適切に使用しないと偶発症が起きてしまう可能性があるなど、注意が必要だからです。
鎮静剤による偶発症の危険性と同意書の内容について
鎮静剤による偶発症には、不整脈や呼吸抑制、ふらつき、アレルギー、アナフィラキシーショックなどがあります。適切に使用しても偶発症の発生を完全に防ぐことは出来ないため、医療機関の方針によっては鎮静剤を使用した検査を受けることができないこともあります。ただし、鎮静剤の対応に長けた医師の下での内視鏡検査であれば、比較的安全に検査を施行できますので、不安であれば、担当医に相談をお勧めします。
内視鏡検査に関する同意書にはさまざまな注意事項が書かれています。例えば、検査後には一定時間の休息が必要ということ。
なぜかというと、鎮静剤の効果として眠気が残った状態がしばらく続くため、そのまま帰ってしまうと危険なので、少しの間は帰宅することができません。
その休息に必要な時間はかける麻酔の量によって異なりますが、おおよそ1時間や2時間などの病院が多いようです。また多くの医療機関では検査後の運転などは強く禁止されています。
なお、医療機関によって上記の同意書の内容も異なっています。最初から最後までしっかりと目を通してからサインをするようにしてください。
授乳中は鎮静剤の使用が禁止されていることも
妊娠中、授乳中の女性に関しては、胎児や母乳への薬剤移行の可能性があり、鎮静剤の使用を避けるべきだとされています。(授乳中の方はおおよそ24時間は授乳が出来なくなります)
男性とは異なる注意点の一つです。ただし、局所麻酔に関しては使用が認められていますので、内視鏡検査自体は受けることも可能です。
鎮静剤を安心安全に使用するためのガイドライン
2013年に日本消化器内視鏡学会により「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン」が作成されました。
このガイドラインの内容としては、決して内視鏡の検査において鎮静剤の使用を推奨しているというものではありません。
もともと内視鏡の検査を担当する医師の判断によって鎮静剤の種類などが決められ、患者に投与されていました。
しかしながら、これまで以上に鎮静剤を安全で適切に使用するため、鎮静剤使用に対する基準を設けようとしたのが「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン」となります。
内視鏡検査において鎮静剤を適切に使用していないと、偶発症が起こってしまう可能性も十分考えられますので、その偶発症や患者への負担を減らすためにもこのガイドラインは非常に意味のあるものだといえるでしょう。
信頼できる医師を探して偶発症の回避を
偶発症を起こさないためにも、内視鏡検査における鎮静剤の使用は十分注意しておかなければいけないということです。
もちろんのことですが、実際に鎮静剤を投与するのは医師の方なので、内視鏡検査を受けるときには鎮静剤の扱いに長けた信頼できる医師に相談、または探すということが大切だといえるのではないでしょうか。
また、少しでも内視鏡検査に対する不安などを取り除く意味でも、基本的な内視鏡検査や鎮静剤に関する知識を知っておくのがおすすめです。
静脈内鎮静法を使った内視鏡検査でおすすめの医院 関東編
厚木胃腸科医院
出典:http://www.atsugi-ichouka-dc.com/
本厚木駅北口1番乗り場から約7分「木売場(きうりば)」下車すぐ
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対応検査項目 | ・大腸内視鏡検査 ・胃内視鏡検査 ・経鼻内視鏡検査 ・麻酔を用いた(静脈内鎮静法)内視鏡検査 |
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