乳がん検診に3Dマンモグラフィは有効?
著名人の乳がんの告白から、女性の乳がんへの関心が高まっています。がんというと、年老いてからなる病気という意識が強いなか、若い人でも乳がんになることがあるということを目にして、考えさせられた人も多いのではないでしょうか。今回は乳がん検診において最近耳にする機会が増えた3Dマンモグラフィの有効性について、Medical DOC編集部がお届けします。
伊美 建太郎 (メイプルブレストケアクリニック 院長)
目次 -INDEX-
乳がんと乳がん検診の基礎知識
乳がんは乳房にできる悪性腫瘍です。日本の女性が罹患する可能性の一番高いがんとされています。男性は無縁かというとそうでもなく、ときに男性も乳がんにかかることはあります。乳がん検診の重要性や3Dマンモグラフィについて知る前に、乳がんそのものの知識も必要です。
乳がんの原因とは?
乳がんは母乳の通り道である乳管にできる「乳管がん」がほとんどです。そして、母乳を作る乳腺を構成している小葉にできる「小葉がん」に続きます。乳がんの原因についてはエストロゲンという女性ホルモンが関係していると考えられています。エストロゲンの分泌期間が長ければ長いほど乳がんのリスクが高まると考えられているのです。
例えば、初潮が早かった女性、出産を経験していない女性は乳がんのリスクが高くなります。逆に、授乳期間が長かった女性はエストロゲンにさらされた期間が少なくなり、乳がんのリスクも低下します。女性ホルモンの他にも肥満や飲酒やタバコといった生活習慣も乳がんのリスクを高めることで知られています。
乳がんの症状とは?
乳房のしこりに気がつくことで乳がんの発見に至ることがほとんどですが、そのきっかけは、乳がん検診か、またはセルフチェックなどのようです。痛みは生じないことがほとんどですが、腫瘍がリンパ節にまで至っていると、腕がしびれたり、むくんだりすることもあるといいます。
遠隔転移といい、骨や肺、肝臓といった多臓器にまでがんの転移が認められると、症状は多様化します。ただし、乳房のしこりに気がついたからといって、全てが乳がんであるとは限らず、詳しい検査で良性といわれることも少なくありません。
乳がん検診のメリットとデメリット
乳がんは早期に発見をして治療を開始することで治る可能性の高いがんであるといわれています。日本人女性の罹患率1位の乳がんですが、死亡率は5位と比較的に低いことからもわかります。したがって、日本では40歳以上の女性に乳がん検診を受けるようにすすめているのです。
しかしながら、検診が全ての乳がんの発見につながるわけではありません。検査の限界や見落としも考えられます。また逆に、2次検診が必要という結果が出たにも関わらず、結局何もなかったというように、精神的に不安な思いをすることもあり得ます。
乳がん検診の問題点
乳がん検診は40歳以上の女性が対象で、2年おきに検診を受けることが推奨されています。乳がんは早期発見が有効だとされるなか、検診の限界も問題になっています。
一般的な乳がん検診の流れ
市町村によって異なりますが、一般的に「医師による問診」「視触診」「マンモグラフィ」を実施するというところが多いようです。それらによって、異常がなければ、2年後に再検診ということになります。もし、何か疑わしい点がある場合は精密検査をすすめられます。
マンモグラフィの限界
マンモグラフィは小さながん腫瘍も映るので、乳がんの早期発見に有効だとされています。しかし、その一方でマンモグラフィにも限界があるのです。マンモグラフィの画像には腫瘍は白く映し出されるのですが、乳房の乳腺も白く映し出されてしまいます。若くて乳腺が発達している女性になると、腫瘍があってもわかりにくいという問題点があります。
乳腺の密度は、高いものから「高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」と分類されますが、日本人の半数以上は「高濃度」か「不均一高濃度」に含まれるといいます。マンモグラフィでは腫瘍があっても乳腺に隠れて見逃される危険性が高いグループになります。
超音波エコーは有効か?
乳がん検診に含まれていませんが、超音波による乳房の腫瘍の確認も可能です。超音波による画像では腫瘍が黒、乳腺が白く映し出されます。乳腺によってマンモグラフィでは明瞭にわからないという人には、両者を併用することで乳がんの発見率が高まるという声があがっています。
しかし、超音波によってマンモグラフィで見落としたしこりの発見に至ることはあっても、乳がんによる死亡率を減らす明らかな証拠が整っていないことから、現時点では乳がんの定期検診には含まれていません。今後の課題の一つといえるでしょう。
3Dマンモグラフィの有効性
超音波とマンモグラフィを併用する声があるなか、3Dマンモグラフィについても注目が集まっています。
3Dマンモグラフィの特徴
撮影方法はこれまでのマンモグラフィとほとんど変わりません。ただし、通常のマンモグラフィでは1方向からの撮影であったのに対して、3Dマンモグラフィでは多方向からの撮影が可能で、3次元の画像を作り出すことができるようになっています。したがって、腫瘍が乳腺と重なって見逃しがちにあったものも判明しやすくなっているのです。
さらに腫瘍の辺縁の画像がより鮮明にわかることから、腫瘍が悪性か良性かの判断が行いやすく、再検査になることが少ないというメリットもあるようです。従来のマンモグラフィでは「乳がんの疑いといわれて、再検査をしたけれども、結局は乳がんではなかった…」というケースが比較的に多いのですが、3Dマンモグラフィではそのような負担を減らすことが可能です。
3Dマンモグラフィが有効な人とは?
通常のマンモグラフィでなく、3Dマンモグラフィが有効な人とはどのような人でしょう。
若く乳腺が厚い女性
乳がんは40代や50代の女性に一番多いとされていますが、35歳以下の女性がなる若年性乳がんもあります。数としては多くはないのですが、若い女性は乳がん検診の対象でないこともあり、比較的に腫瘍が大きくなってから発見されることが少なくありません。
若年性の乳がんは通常の乳がんと違って、遺伝とのかかわりが強いといわれています。米国女優のアンジェリーナジョリーさんが母親や祖母が乳がんを患ったことから、遺伝子の試験を受けています。結果、陽性ということで、高い確率で乳がんになることが判明したために、予防的に乳房の切除術を受けて世間を騒がせたことがあります。
予防的処置が適切かどうかは別として、このような遺伝子をもっている人は、比較的に高い確率で乳がんや卵巣がんになることがわかっています。家族に乳がんを患った人がいるという人は一度医師に相談してみることをおすすめします。
マンモグラフィ検査で乳腺の密度が高いことがわっている人
日本人は比較的に乳腺の密度が高い人が多いといわれています。マンモグラフィでは乳腺も腫瘍も白く映し出されるので、乳腺の密度が高いと、腫瘍があっても分かりにくいとされているのです。通常のマンモグラフィでは腫瘍があっても見逃されてしまう可能性があります。3Dマンモグラフィで撮影をすることで、3次元での画像が可能となり、腫瘍を見逃すことが少ないです。
フォローアップをしたい人
乳がんによる温存手術を受けた後の局所的な再発を心配している人にも3Dマンモグラフィの有効性が認められています。
3Dマンモグラフィのデメリット
3Dマンモグラフィはまだ新しく開発されたばかりの検査でどこの医療機関でも受けられるというものではありません。また、治療費も自費になることが多いのが現状です。
乳腺密度が高い人は3Dマンモグラフィによる乳がん検診が有効
日本人女性で罹患率が高い乳がんは早期発見、早期治療によって治すことが可能といわれています。そのために乳がん検診がすすめられています。マンモグラフィによる画像診断によって、小さな乳がんの発見が可能とされています。一方で、乳腺密度が高い女性の場合は腫瘍がわかりにくいという問題点もあります。
3Dマンモグラフィによる3次元の画像では、乳腺密度の高い人でも腫瘍が鮮明に映し出されることがわかっています。しかし、導入している医療機関には限りがあり、自費による検査になることがほとんどです。乳がんの家族歴のある若い女性や乳腺密度が高いことが分かっている女性は医師に相談してみてはいかがでしょうか。
監修ドクター:伊美 建太郎 医師 メイプルブレストケアクリニック
乳がん健診,3Dマンモグラフィでおすすめの婦人科・クリニック 関東編
メイプルブレストケアクリニック
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