「糖尿病」を発症したら「避けた方がいい食べ物や飲み物」はご存知ですか?【医師監修】

2型糖尿病と診断されると、毎日の食事内容が気になってきませんか。「甘いものはすべて控えるべき?」「ごはんも減らさなければいけない?」などといった疑問を抱くのではないでしょうか。
本記事では、糖尿病の患者さんが避けた方がよい食品の例や、食事療法の基本的な考え方、糖質との適切な向き合い方を解説します。

監修医師:
上田 莉子(医師)
糖尿病で食事療法が重要な理由

糖尿病の治療において食事療法が必要な理由を教えてください
また、食事療法は血糖推移を良好にし、体重上昇を抑えます。血糖推移が良好であれば、足壊疽や視力低下、人口透析、感染症リスクなどの糖尿病合併症を予防し、進行を抑えることにつながります。さらに高血圧、脂質異常症などほかの病気の予防にもつながるという利点があります。
薬を飲んでいても食事に気を付ける必要はありますか?
薬を飲んでいても、偏った食事や食べ過ぎが続けば、血糖値は高くなり、治療がうまく進まない原因となります。
一方で、食事量が極端に少ない場合や、食事の時間が不規則な場合は、薬の種類によっては低血糖を起こすリスクもあるため気を付けましょう。
適切な食事療法を続けることで、インスリンの働きが改善され、薬の量を減らせるケースもあります。また、血糖管理だけでなく、肥満や高血圧、脂質異常の改善にもつながり、合併症の予防効果も期待できます。
糖尿病の患者さんが控えた方がよい食べ物、飲み物と食習慣

糖尿病と診断された人が食べない方がよい食べ物を教えてください
糖質の多い食べ物には注意しましょう。菓子類や砂糖を多く使った食べ物は、血糖値を急激に上げる原因になります。白米やパン、麺類などの炭水化物も、一度に多く食べすぎないように控えましょう。
脂質の摂取にも配慮が必要です。脂身の多い肉や揚げ物、バターを使った菓子、菓子パンなどは、脂肪分が多く脂質の過剰摂取につながります。また、炭水化物を重ねたメニューの組み合わせは控え
避けた方がよい飲み物はありますか?
このほかにも、ビール、チューハイ、カクテルなど、糖質を多く含むアルコール飲料の摂取には注意が必要です。糖質を含まない蒸留酒であっても、アルコールそのものに食欲を増進させる作用があるため、過食や体重管理の難しさにつながる可能性があります。
糖尿病になったら避けた方がよい食習慣を教えてください
- 1日の栄養素の摂取量バランス
- 炭水化物:摂取エネルギーの40~60%
- たんぱく質:摂取エネルギーの20%まで
- 脂質:残りのエネルギーを脂質で摂る
これらの三大栄養素のほかにも、ミネラルや、ビタミンなども摂取することが大切です。
加えて、食物繊維の摂取不足も血糖値の急上昇要因の一つとなります。食物繊維は糖や脂質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果があるため、積極的に摂取することが推奨されています。
また、不規則な食事パターンにも注意が必要です。朝食を抜く、夕食が夜遅くなる、就寝前の間食が習慣になっているなどの食習慣は、血糖値の乱高下や体重増加につながりやすくなります。
糖尿病の患者さんが糖質を多く含む食べ物・飲み物を摂りたくなったときの対処法

糖尿病と診断されたら甘いものは食べられないのですか?
甘いものは、空腹時に食べると血糖値が急上昇しやすいため、摂るなら食後に少量をゆっくり味わうなど、タイミングや量に工夫をしましょう。また、日常的に習慣化しないことも意識するとよいでしょう。
甘いものを完全に我慢しすぎると、かえってストレスがたまり、過食や血糖コントロールの乱れにつながることもあります。だからこそ、心と身体のバランスを保つためにも、上手に甘いものと付き合うことが大切です。
甘いものが食べたくなったときの対処法を教えてください
どのようなお酒なら飲んでも問題ありませんか?
なかでもビールやチューハイ、カクテルなどは糖質を多く含むため、血糖値を急激に上げてしまうおそれがあります。一方で、ウィスキーや焼酎、といった蒸留酒は糖質をほとんど含みませんが、アルコールそのものにカロリーが含まれていることから、飲み過ぎは体重増加の原因となります。
糖尿病の方がお酒を飲む場合は、お酒の種類や量に配慮し、適度な飲酒を心がけることが大切です。
どうしても我慢できずに甘いものを摂取してしまったときの対処法を教えてください
日頃から血糖値や体重、食事内容を記録することで、自分の身体の反応を知り、次回以降の判断に役立ちます。
完璧を求めすぎず、ときにはご褒美として少量の甘いものを楽しむことも、無理のない糖質との付き合い方になります。
編集部まとめ

糖尿病の患者さんの食事との付き合い方は、単なる食事制限ではなく、バランスの取れた健康的な食習慣を築くことが本質です。特定の食品を完全に避ける必要はありませんが、糖質や脂質、食塩の摂りすぎ、エネルギーの過剰摂取には注意が必要です。
日々の食事が“制限”ではなく、工夫と選択であることを意識して、何を食べるか、だけでなく、どのように食べるかも健康維持の鍵となります。




