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「糖尿病」を発症したら「避けた方がいい食べ物や飲み物」はご存知ですか?【医師監修】

 更新日:2025/12/09
「糖尿病」を発症したら「避けた方がいい食べ物や飲み物」はご存知ですか?【医師監修】

2型糖尿病と診断されると、毎日の食事内容が気になってきませんか。「甘いものはすべて控えるべき?」「ごはんも減らさなければいけない?」などといった疑問を抱くのではないでしょうか。
本記事では、糖尿病の患者さんが避けた方がよい食品の例や、食事療法の基本的な考え方、糖質との適切な向き合い方を解説します。

上田 莉子

監修医師
上田 莉子(医師)

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関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

糖尿病で食事療法が重要な理由

糖尿病の治療において食事療法が必要な理由を教えてください

糖尿病治療の基本は、食事療法運動療法です。糖尿病では、食事療法がすべての患者さんにとって治療の中心となります。適切なエネルギー摂取と体重管理をすることで、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンの働きが改善され、血糖値の安定につながります。

また、食事療法は血糖推移を良好にし、体重上昇を抑えます。血糖推移が良好であれば、足壊疽や視力低下、人口透析、感染症リスクなどの糖尿病合併症を予防し、進行を抑えることにつながります。さらに高血圧、脂質異常症などほかの病気の予防にもつながるという利点があります。

薬を飲んでいても食事に気を付ける必要はありますか?

はい、薬を服用していても食事に気をつけることは重要です。2型糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法です。薬はあくまで血糖値を管理するための補助的な手段であり、食生活の見直しなくしては、治療効果を十分に引き出すことはできません。
薬を飲んでいても、偏った食事や食べ過ぎが続けば、血糖値は高くなり、治療がうまく進まない原因となります。

一方で、食事量が極端に少ない場合や、食事の時間が不規則な場合は、薬の種類によっては低血糖を起こすリスクもあるため気を付けましょう。
適切な食事療法を続けることで、インスリンの働きが改善され、薬の量を減らせるケースもあります。また、血糖管理だけでなく、肥満や高血圧、脂質異常の改善にもつながり、合併症の予防効果も期待できます。

糖尿病の患者さんが控えた方がよい食べ物、飲み物と食習慣

糖尿病と診断された人が食べない方がよい食べ物を教えてください

糖尿病だからといって絶対に食べてはいけない食べ物があるわけではありません。ただし、血糖コントロールのために、摂取する食品を意識することは必要です。

糖質の多い食べ物には注意しましょう。菓子類や砂糖を多く使った食べ物は、血糖値を急激に上げる原因になります。白米やパン、麺類などの炭水化物も、一度に多く食べすぎないように控えましょう。

脂質の摂取にも配慮が必要です。脂身の多い肉や揚げ物、バターを使った菓子、菓子パンなどは、脂肪分が多く脂質の過剰摂取につながります。また、炭水化物を重ねたメニューの組み合わせは控え

避けた方がよい飲み物はありますか?

糖尿病の患者さんは、飲み物の選び方に配慮が必要です。コーラやサイダー、果汁100%ジュース、スポーツドリンク、砂糖の入った缶コーヒーなどは血糖値を急激に上げる原因になりやすく、摂り過ぎれば身体への負担が大きくなります。また、野菜ジュースにも、果汁を加えて甘くされているものには糖質が多く含まれている傾向があります。野菜そのものと同じような栄養価があるわけではない点に留意しましょう。
このほかにも、ビール、チューハイ、カクテルなど、糖質を多く含むアルコール飲料の摂取には注意が必要です。糖質を含まない蒸留酒であっても、アルコールそのものに食欲を増進させる作用があるため、過食や体重管理の難しさにつながる可能性があります。

糖尿病になったら避けた方がよい食習慣を教えてください

糖尿病の発症や進行を防ぐうえでは、食事の内容だけでなく、食習慣の見直しも欠かせません。糖質を多く含む食品の摂りすぎや、高脂質・高エネルギーの食事は、血糖コントロールを不安定にさせる大きな要因となるため、以下に示す1日の摂取量を意識することが重要です。

  • 1日の栄養素の摂取量バランス
  • 炭水化物:摂取エネルギーの40~60%
  • たんぱく質:摂取エネルギーの20%まで
  • 脂質:残りのエネルギーを脂質で摂る

これらの三大栄養素のほかにも、ミネラルや、ビタミンなども摂取することが大切です。
加えて、食物繊維の摂取不足も血糖値の急上昇要因の一つとなります。食物繊維は糖や脂質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果があるため、積極的に摂取することが推奨されています。
また、不規則な食事パターンにも注意が必要です。朝食を抜く、夕食が夜遅くなる、就寝前の間食が習慣になっているなどの食習慣は、血糖値の乱高下や体重増加につながりやすくなります。

糖尿病の患者さんが糖質を多く含む食べ物・飲み物を摂りたくなったときの対処法

糖尿病と診断されたら甘いものは食べられないのですか?

糖尿病と診断されても、甘いものを一切食べてはいけないというわけではありません。糖尿病の食事療法は、厳しい制限を目的とするものではなく、血糖値を安定させ、合併症を予防することが基本です。大切なのは、無理なく続けられる“健康的な食習慣”を築くことです。
甘いものは、空腹時に食べると血糖値が急上昇しやすいため、摂るなら食後に少量をゆっくり味わうなど、タイミングや量に工夫をしましょう。また、日常的に習慣化しないことも意識するとよいでしょう。
甘いものを完全に我慢しすぎると、かえってストレスがたまり、過食や血糖コントロールの乱れにつながることもあります。だからこそ、心と身体のバランスを保つためにも、上手に甘いものと付き合うことが大切です。

甘いものが食べたくなったときの対処法を教えてください

甘いものを食べたいという気持ちは自然なことです。無理に我慢しすぎるとストレスになり、かえって過食や血糖コントロールの乱れを招くことがあります。そんなときは、まず血糖値に配慮した間食に置き換えてみましょう。ナッツ類や無糖ヨーグルトなどは、満足感がありながら血糖値の急上昇を防ぎます。また、甘いものを摂る場合は、空腹時を避け、食後に少量をゆっくり味わうようにするとよいでしょう。甘味を好む習慣を見直すために、無糖のお茶や炭酸水などを飲むようにしましょう。

どのようなお酒なら飲んでも問題ありませんか?

糖尿病と診断されても、すべてのお酒が飲めなくなるわけではありません。ただし、糖尿病の方がお酒を楽しむ際には、種類や量に注意を払うことが大切です。お酒には糖質やカロリーが含まれており、これらが血糖値や体重に影響を与えます。
なかでもビールやチューハイ、カクテルなどは糖質を多く含むため、血糖値を急激に上げてしまうおそれがあります。一方で、ウィスキーや焼酎、といった蒸留酒は糖質をほとんど含みませんが、アルコールそのものにカロリーが含まれていることから、飲み過ぎは体重増加の原因となります。
糖尿病の方がお酒を飲む場合は、お酒の種類や量に配慮し、適度な飲酒を心がけることが大切です。

どうしても我慢できずに甘いものを摂取してしまったときの対処法を教えてください

甘いものを食べてしまっても、必要以上に自分を責める必要はありません。大切なのは、その後の対応です。まずはその次の食事でご飯やパンなどの炭水化物や脂質の量を控え、全体のカロリーを調整しましょう。さらに、軽いウォーキングやストレッチ、筋トレなどを行うと、血糖値の急上昇を抑えるのに効果的です。
日頃から血糖値や体重、食事内容を記録することで、自分の身体の反応を知り、次回以降の判断に役立ちます。
完璧を求めすぎず、ときにはご褒美として少量の甘いものを楽しむことも、無理のない糖質との付き合い方になります。

編集部まとめ

糖尿病の患者さんの食事との付き合い方は、単なる食事制限ではなく、バランスの取れた健康的な食習慣を築くことが本質です。特定の食品を完全に避ける必要はありませんが、糖質や脂質、食塩の摂りすぎ、エネルギーの過剰摂取には注意が必要です。
日々の食事が“制限”ではなく、工夫と選択であることを意識して、何を食べるか、だけでなく、どのように食べるかも健康維持の鍵となります。

この記事の監修医師