目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「糖尿病の検査方法」はご存知ですか?前日・当日の注意点も解説!【医師監修】

「糖尿病の検査方法」はご存知ですか?前日・当日の注意点も解説!【医師監修】

 公開日:2025/10/24
「糖尿病の検査方法」はご存知ですか?前日・当日の注意点も解説!【医師監修】

糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気で、進行すると腎臓・神経・目・血管などに深刻な合併症を引き起こすことがあります。しかし初期の段階では自覚症状が乏しいことが多いため、気付かないうちに病気が進行してしまうことも少なくありません。そのため、定期的な検査によって早期に異常を見つけ、生活習慣の見直しや適切な治療を開始することがとても大切です。 この記事では、糖尿病の検査が行われるタイミングや検査内容、当日の流れと注意点、そして検査によって何がわかるのかについて、患者さんにわかりやすく解説していきます。糖尿病が心配な方や、検査を予定している患者さんにとって、安心して準備できるような情報をまとめています。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

プロフィールをもっと見る
名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

糖尿病が疑われるときに行われる検査とは

糖尿病が疑われるときに行われる検査とは

病院ではどのようなときに糖尿病の検査を行いますか?

糖尿病の検査は、健康診断で血糖値HbA1cの数値に異常が見られた場合にすすめられるほか、次のような症状があるときにも実施されます。

例えば、体重が急に減った、日中強い眠気がある、喉が渇きやすく水分を多くとる、頻繁に尿が出る、慢性的な疲労感があるなどの症状です。また、糖尿病は遺伝的な影響もあるため、家族に糖尿病の方がいる場合は、無症状であっても定期的なチェックが重要です。高血圧や脂質異常症、肥満などの生活習慣病がある方も、血糖異常のリスクが高いため、医師の判断で検査が行われます。

病院で行われる糖尿病検査の内容を教えてください

糖尿病の検査では、主に以下のような項目が行われます。基本となるのが空腹時血糖値HbA1cの測定です。空腹時血糖値は、食事をとっていない状態での血糖レベルを示し、瞬間的な血糖の高さを評価できます。HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均的な血糖コントロールの状態を反映し、長期的な管理の目安となります。加えて、尿検査、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)などが行われることもあります。場合によっては、インスリンの分泌量や腎機能、脂質異常の有無などを調べるための血液検査も一緒に実施されます。

自宅でも糖尿病の検査はできますか?

近年では、市販の血糖測定器を使って自宅で血糖値を測ることも可能になっています。指先から少量の血液を採取し、専用の機器で測定することで、空腹時や食後の血糖の変動をその場で確認できます。特にインスリン治療中の患者さんでは、毎日の血糖自己測定が治療の一環として推奨されており、生活管理や薬の調整に役立てられています。

さらに、近年はリブレ®などの持続血糖測定器の利用も広がっています。リブレは、腕などに小型センサーを装着することで、指先からの採血をせずに血糖の傾向をリアルタイムで確認できる機器です。スマートフォンや専用端末でセンサーを読み取るだけで、24時間の血糖変動をグラフで把握できるため、より細やかな血糖管理が可能になります。

糖尿病検査の流れと注意点

糖尿病検査の流れと注意点

糖尿病の検査当日の流れを教えてください

糖尿病検査を受ける当日は、まず受付後に問診や診察が行われ、医師が症状や生活習慣について詳しく聞き取ります。その後、必要な検査項目に応じて、採血・採尿が実施されます。空腹時血糖の検査を受ける場合は、前日の夜から絶食の指示があるため、朝食をとらずに来院します。経口ブドウ糖負荷試験を行う際は、検査用の甘い飲料を飲んだ後、30分~2時間ごとに複数回の採血を行うため、トータルで数時間かかることがあります。検査終了後は、体調が安定していればすぐに帰宅可能ですが、結果の説明は後日あらためて行われることもあります。

糖尿病の検査が完了するまでにどの程度時間がかかりますか?

一般的な血液検査(空腹時血糖・HbA1cなど)であれば、来院から帰宅までおよそ30分~1時間程度で終わることがほとんどです。ただし、OGTTのように長時間を要する検査では、受付から終了まで2~3時間かかる場合もあるため、時間に余裕をもってスケジュールを立てておきましょう。また、混雑状況や医療機関の体制によっては、検査の待ち時間が長くなることもあるため、当日は飲み物や読み物を準備しておくとよいでしょう。

糖尿病検査を受ける前日と当日の注意点を教えてください

検査前日は、普段どおりの生活を心がけ、暴飲暴食や睡眠不足、過度の運動などは避けるようにします。特に飲酒や甘い飲み物の摂取は血糖値に影響するため控えましょう。検査当日は、指示がある場合には絶食で来院する必要があります。水分補給のための水は通常問題ありませんが、ジュースや砂糖入りの飲料は控えてください。内服治療中の方は、薬の服用タイミングを医師に確認しておくとよいです。検査の正確性を保つためにも、前日・当日の指示をしっかり守ることが大切です。

糖尿病の検査の結果はいつわかりますか?

糖尿病の検査結果がわかる時期は、検査の種類や医療機関の体制によって異なります。血糖値やHbA1cなどの項目は、早く結果が出ることが多く、早ければ当日に医師から説明を受けられることもあります。ただし、すべての医療機関で当日結果が出るとは限らず、検査内容や混雑状況によっては、結果がそろうまで数日から1週間程度かかることもあります。OGTTなど時間を要する検査では、さらに時間がかかる場合もあります。結果は基本的に、次回の診察時に医師から直接口頭で説明を受ける形となります。

糖尿病検査でわかること

糖尿病検査でわかること

糖尿病の検査項目別にわかることを教えてください

空腹時血糖は、食事をしない状態での血糖値を測る検査で、基本的な血糖異常の有無を知ることができます。HbA1cは、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖コントロールの状況を示し、日々の変動を受けにくいため、安定した指標とされています。尿糖検査では、血糖値が高くなることで腎臓が糖を尿に排泄しているかどうかを確認できます。経口ブドウ糖負荷試験では、ブドウ糖を摂取した後の体内での処理能力を評価し、境界型や耐糖能異常の判定にも役立ちます。また、インスリン分泌量を測る検査によって、1型・2型糖尿病の鑑別や治療方針の決定にもつながります。

糖尿病の検査結果はどのように見ればよいですか?

糖尿病の診断には、複数の検査結果を組み合わせて判断する必要があります。一般的には、空腹時血糖が126mg/dL以上、HbA1cが6.5%以上であれば、糖尿病が疑われる状態です。一方、空腹時血糖110~125mg/dL、HbA1c5.7~6.4%の範囲は境界型とされ、将来的に糖尿病へ進展する可能性があるため注意が必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

糖尿病は、早期発見と継続的な管理が合併症予防の鍵を握る病気です。血糖値やHbA1c、尿糖などの検査を通じて、身体のなかでどのような変化が起きているのかを知ることができます。検査は簡単に受けられるものが多く、結果も早くわかるため、気になる症状がある場合は躊躇せずに医療機関を受診することが大切です。検査前日や当日の注意点を守ることで、より正確な結果が得られます。ご自身やご家族の健康を守るためにも、定期的な糖尿病検査を受け、必要に応じて早期の対応を心がけましょう。

この記事の監修医師