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「アトピーの原因」はご存知ですか?なりやすい体質も解説!【医師監修】

 公開日:2025/02/07
「アトピーの原因」はご存知ですか?なりやすい体質も解説!【医師監修】

アトピー性皮膚炎は、子どもから大人まで幅広い年齢層に影響を与える皮膚の病気です。その原因や症状は、成長や環境の変化によって異なるため、個々に合った対応が求められます。

本記事ではアトピー性皮膚炎の原因について以下の点を中心にご紹介します。

・アトピーになりやすい体質
・大人と子どものアトピーの原因
・アトピーの症状

アトピー性皮膚炎の原因について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

アトピーの仕組み

アトピーの仕組み

アトピーとはどのような疾患ですか?

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が現れ、増悪(悪化)と寛解(改善)を繰り返す慢性的な疾患です。

患者さんはアトピー素因を持つとされており、気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの既往歴、またはアレルギー反応を起こす体質が関与しています。また、乳幼児期に発症することが多く、80%程度が5歳までに症状が現れます。

発疹は顔や首、肘の内側や膝の裏側に出やすく、重症化すると全身に広がることもあります。かゆみにより皮膚を引っ掻くことで、皮膚が厚く硬くなる”苔癬化”や盛り上がった”痒疹”が生じることも特徴です。

肌のバリア機能が低下することなどで増悪し、治療には時間がかかりますが、適切なケアと治療で症状のコントロールができます。

アトピーの症状について教えてください

アトピー性皮膚炎の主な症状は、かゆみと湿疹です。かゆみにより患部を掻きむしると皮膚が厚くゴワゴワした状態になり、かさぶたや痛みが生じることがあります。

湿疹には赤み、盛り上がり、ジクジクしたもの、乾燥したものなどさまざまなタイプがあり、左右対称に現れることが特徴です。

乳児期には顔や頭部、小児期には肘や膝の内側、成人期には首や上半身に出やすく、年齢によって症状が現れる部位が異なります。

また、かゆみと湿疹による掻き壊しが皮膚バリアをさらに損ない、症状を悪化させる悪循環が起こりやすい疾患です。

乳幼児期に改善することもありますが、成人型は治りにくく長期的な治療が必要になる場合があります。

アトピーと食物アレルギーは関係ありますか?

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、どちらも乳児期に発症しやすいアレルギー疾患で、高頻度に合併します。ただし、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎を引き起こすわけではなく、両者は別々に治療する必要があります。

例えば、乳児期にアトピー性皮膚炎を発症した場合、適切な治療で肌のバリア機能を整えることで、離乳食開始後の食物アレルギーの発症リスクを減らすことが期待できます。

また、バリア機能の低下した皮膚を通じて食物成分が入り込むことで食物アレルギーが誘発される場合があるため、肌の保湿やスキンケアが重要です。

アトピーの原因

アトピーの原因

アトピーになりやすい体質はありますか?

アトピー性皮膚炎になりやすい体質はアトピー素因と呼ばれますが、主なアトピー素因は、以下のとおりです。

・患者さん本人または家族にアトピー性皮膚炎、ぜん息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー疾患がある場合
・アレルギーに関与する免疫物質”IgE抗体”を作りやすい体質を持っている場合

が該当します。これらの素因を持つ方は、アレルギーを起こしやすい体質といえます。

ただし、アトピー素因があるすべての方がアトピー性皮膚炎を発症するわけではありませんが、家族歴や体質に心配がある場合は、早めに医師に相談することが大切です。

アトピーの原因は何ですか?

アトピー性皮膚炎の原因には、体質的な要因と環境的な要因が挙げられます。

体質的な要因には、アトピー素因や皮膚のバリア機能の低下により、皮膚が乾燥しやすく、外部からの刺激やアレルゲンが侵入しやすい状態になります。

一方、環境的な要因には、ダニ、ほこり、花粉、動物の毛、汗、乾燥、摩擦、ストレスなどが含まれます。

これらの要因が重なり合うことで炎症が引き起こされます。また、皮膚のかゆみによる掻きむしりがバリア機能をさらに低下させ、悪循環に陥りやすいことも特徴です。

アトピー性皮膚炎の原因や症状は人それぞれで、多因子性の病気であるため、適切なケアが必要です。

大人と子どもでアトピーの原因は異なりますか?

アトピー性皮膚炎の原因は、大人と子どもで異なる特徴を持っています。

子どもでは、皮膚のバリア機能が未熟であることが主な原因となり、アトピー素因(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、家族歴など)が発症のリスクを高めます。また、幼少期には成長に伴い症状が自然に改善する傾向が見られます。

一方、大人では、ホルモンバランスの乱れ、妊娠・出産、生活習慣の乱れ、ストレスなどが主な発症要因と考えられます。なかでも、社会的なストレスや通院の困難さから、症状が寛解と増悪を繰り返し、長期化しやすいことが特徴です。

このように、子どもと大人では、発症の背景や悪化要因に違いがあるため、年齢や状況に応じた適切な対処が必要です。

アトピーの治療法

アトピーの治療法

アトピーはどのように治療するのですか?

アトピー性皮膚炎の治療は、スキンケアと薬物療法を基本として行います。
主な治療法として、悪化時に外用薬を使うリアクティブ療法と、予防的に外用薬を使用してよい状態を維持するプロアクティブ療法があります。

症状に応じてエキシマ光線療法なども併用し、ステロイドの使用量を減らす治療も可能とされています。また、かゆみを抑えることを治療の目標とし、適量の薬を適切な方法で使用することで効果が期待できます。

症状が改善してもすぐに治療を中断せず、良好な状態を維持することが大切です。

アトピーは再発しますか?

アトピー性皮膚炎は、一度治まった後でも再発することがあります。なかでも、子どもの頃に症状が改善した場合でも、思春期や成人を迎える頃に再発するケースが目立ちます。再発した場合、治療が長引き、治りにくくなることも少なくありません。また、成人してから初めて発症するケースや、高齢者で発症するケースも増加傾向にあります。

再発や新規発症の要因として、生活習慣の乱れやストレス、ホルモンバランスの変化などが挙げられます。また、年齢によって症状の出やすい部位も異なり、乳児期は顔や頭部、思春期以降は顔や胸、背中などに症状が現れやすくなります。

アトピー性皮膚炎は再発しやすい病気であり、根気強い治療と予防が大切です。

アトピーの対処法を教えてください

アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐには、日常的なスキンケアが欠かせません。肌を清潔に保つため、汗や汚れをやさしく洗い流し、入浴後や手洗い後には保湿剤でしっかりと潤いを補いましょう。

また、アレルゲンや刺激物を避けることも重要です。肌に合わない化粧品や紫外線、摩擦を避け、やわらかい衣類を選ぶといいでしょう。さらに、ダニやハウスダスト、花粉など特定のアレルゲンに注意し、必要に応じて環境対策を行いましょう。

さらに、生活習慣の改善も大切です。栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠は、肌の健康を保つ助けになります。また、ストレスが悪化の原因となるため、リラックス方法を取り入れて心身の健康を意識しましょう。

最後に、自己判断で治療を中断せず、医師の指示を守り薬を使用することが大切です。適切なケアと治療を継続することで、症状の安定を目指しましょう。

自宅で行えるアトピーのケアはありますか?

アトピー性皮膚炎のケアには、毎日のスキンケアと生活習慣の見直しが重要です。

まず、入浴時は石鹸をよく泡立て、指の腹で優しく洗いましょう。特に髪の生え際や関節部分など汚れが溜まりやすい箇所を重点的に洗い、石鹸成分をしっかりとすすぎ落とします。入浴後は皮膚が乾燥しやすいため、5分以内に保湿剤を塗り、潤いを保持しましょう。

また、かゆみを抑えるために皮膚を保湿し、冷却することも効果が期待できます。適切な衣類選びやダニ・ホコリの除去、部屋の清潔維持も症状悪化を防ぐポイントです。さらに、汗をかいた際は、早めにシャワーで流すか、優しく拭き取るようにしましょう。

日々のケアの積み重ねが、皮膚のバリア機能を高め、症状のコントロールにつながります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

アトピー性皮膚炎は個人差が大きい病気ですが、適切な治療とスキンケアで症状をコントロールし、悪化要因を避けつつ医師と連携して治療を進めましょう。自己判断を避け、根気強くケアを続けることで快適な生活を目指せます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでアトピー性皮膚炎の原因についてお伝えしてきました。アトピー性皮膚炎の原因について、要点をまとめると以下のとおりです。

・アトピー性皮膚炎になりやすい方は、家族歴にアトピー性皮膚炎やぜん息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患がある場合や、IgE抗体を作りやすい体質の方が該当する
・子どもは皮膚の未熟さやアトピー素因、大人はストレスや生活習慣の乱れが主な原因とされ、年齢や状況に応じた適切な対処が必要である
・アトピー性皮膚炎の主な症状はかゆみと湿疹で、年齢により症状の出る部位が異なり、掻き壊しが悪循環を引き起こすとされている

アトピー性皮膚炎は、子どもから大人まで幅広い年齢層に影響を与える疾患ですが、適切な治療と日常のケアで症状を和らげられます。自身の体質や生活環境を見直し、医師と連携しながら対策を続けることが重要です。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師