「尾骨骨折」の原因や症状を解説!長時間のデスクワークも骨折の原因に?
公開日:2023/09/11

昨今では食生活や生活習慣の変化によって骨密度が下がり、骨自体が脆くなって骨折しやすい状態の人が多いです。特に高齢者は少し尻もちをつくだけで、骨にひびが入ったり折れたりします。 今回は骨折する部位の中で尾骨にフォーカスを当てて見ていきましょう。 そもそも尾骨はどこにあるのでしょうか。また、何が原因となって骨折してしまうのでしょうか。 この記事では、尾骨骨折の原因・症状・治療方法・後遺症について解説します。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
尾骨骨折の原因や症状
尾骨(尾てい骨)とはどの部分の骨ですか?
尾骨は骨盤の中の一部で、お尻の骨の部分を指します。よく仙骨と混同されがちですが、仙骨の下の出っ張っている部分です。
お尻の割れ目のあたりを強く押すと固く感じる人も多いのではないでしょうか。この固く感じる部分が尾骨です。人間には尻尾がありませんが、尾骨が尻尾の名残だといわれています。
お尻の割れ目のあたりを強く押すと固く感じる人も多いのではないでしょうか。この固く感じる部分が尾骨です。人間には尻尾がありませんが、尾骨が尻尾の名残だといわれています。
尾骨骨折とはどのような状態ですか?
尾骨骨折に限らず骨折は外から強い力が加わることで、骨にひびが入ったり折れたりすることです。ひびを骨折と思っていない人もいますが、骨折に該当します。
また、打撲や捻挫と混同することもありますが同じではありません。打撲は骨ではなく局所に強い力が加わることで、皮下組織が損傷している状態のことです。 稀に骨の内部が傷つく骨挫傷になることがあります。
捻挫は骨や局所に外からの力が加わって起こるわけではありません。関節を捻ったときに、関節を結んでいる靱帯が伸びたり切れていることで起こります。いずれも痛みを伴うことが多いですが、そのうちに収まると自己判断せず整形外科を受診しましょう。
また、打撲や捻挫と混同することもありますが同じではありません。打撲は骨ではなく局所に強い力が加わることで、皮下組織が損傷している状態のことです。 稀に骨の内部が傷つく骨挫傷になることがあります。
捻挫は骨や局所に外からの力が加わって起こるわけではありません。関節を捻ったときに、関節を結んでいる靱帯が伸びたり切れていることで起こります。いずれも痛みを伴うことが多いですが、そのうちに収まると自己判断せず整形外科を受診しましょう。
尾骨骨折の原因は?
交通事故や尻もちなど外部から刺激が加わることが原因です。骨粗鬆症が進行して骨が脆くなっている高齢者に起こることが多く、近年増加傾向にあります。しかし、若いからといって油断してはいけません。スポーツ中のけがによって尾骨骨折が起こることもあります。
他にも長時間のデスクワークによる筋肉の凝りによる痛みを放置していると、尾骨骨折につながることがあるので気を付けましょう。
また、出産時に尾骨周辺の筋肉が凝っていると胎児が出てくるときに十分に伸びることができず、尾骨に負荷がかかって骨折します。これは尾骨痛の中でも18%に該当するので、同じ態勢を続けないなど普段の行動を意識しましょう。
他にも長時間のデスクワークによる筋肉の凝りによる痛みを放置していると、尾骨骨折につながることがあるので気を付けましょう。
また、出産時に尾骨周辺の筋肉が凝っていると胎児が出てくるときに十分に伸びることができず、尾骨に負荷がかかって骨折します。これは尾骨痛の中でも18%に該当するので、同じ態勢を続けないなど普段の行動を意識しましょう。
症状について教えてください。
尾骨骨折している場合、以下のような症状が出ることがあります。全ての症状が出るとは限りませんが、痛みを伴う人がほとんどです。
歩行時よりも座ったり寝転がったりすると痛みを感じやすいでしょう。そのため、起き上がれなかったり動くのがつらかったりと日常生活に支障が出やすいです。特に高齢者だと骨が脆くなっているので、より体動困難に陥りやすくなるでしょう。
骨の骨片が転移し、他の組織にダメージを与えていると腫れや内出血が起こってしまいます。この骨片が転移した場所によっては、排尿障害など臓器の不調が出て合併症を引き起こすことがあるので早めに検査を受けましょう。
- 臀部の痛み
- 腫れ
- 体動困難
- 内出血
歩行時よりも座ったり寝転がったりすると痛みを感じやすいでしょう。そのため、起き上がれなかったり動くのがつらかったりと日常生活に支障が出やすいです。特に高齢者だと骨が脆くなっているので、より体動困難に陥りやすくなるでしょう。
骨の骨片が転移し、他の組織にダメージを与えていると腫れや内出血が起こってしまいます。この骨片が転移した場所によっては、排尿障害など臓器の不調が出て合併症を引き起こすことがあるので早めに検査を受けましょう。
尾骨骨折の検査や治療方法
尾骨骨折の検査方法を教えてください。
尾骨骨折はレントゲンやX線、CTによる画像診断を行います。以前のX線だけの検査よりもCTによる検査が加わったことで、より正確性が増しました。CTの中でも3Dだとハッキリとひびや折れている箇所を確認できます。
しかし、脆弱性による骨折だった場合は正確に診断できるとは限りません。また、軽くひびが入っている程度だとレントゲンでは写らないこともあります。出産時に骨折した場合、CTの放射線によって授乳を通して赤ちゃんに影響があるのか心配な人もいるでしょう。
日本医学放射線学会造影剤安全性委員会では、授乳中のCT撮影に対して制限をしないと公表しています。ただ、造影剤を100%吸収しないわけではありません。心配な人はCT撮影をやめるか24時間の授乳制限を行いましょう。
しかし、脆弱性による骨折だった場合は正確に診断できるとは限りません。また、軽くひびが入っている程度だとレントゲンでは写らないこともあります。出産時に骨折した場合、CTの放射線によって授乳を通して赤ちゃんに影響があるのか心配な人もいるでしょう。
日本医学放射線学会造影剤安全性委員会では、授乳中のCT撮影に対して制限をしないと公表しています。ただ、造影剤を100%吸収しないわけではありません。心配な人はCT撮影をやめるか24時間の授乳制限を行いましょう。
治療方法を教えてください。
尾骨骨折の治療方法は自然治癒以外に以下の方法があります。
尾骨骨折で手術になることはほとんどありません。しかし、尾骨骨折の不安定性が痛みになっていると、尾骨を切除する手術を行います。他にも徒手療法で骨の位置を戻し、筋肉の緊張をほぐすことで痛みを和らげる方法があります。
授乳中に薬を服用したくないけど痛みをとりたい人は、この方法が良いでしょう。高圧平流感電刺激療法では、深部組織までの筋肉の緊張をほぐし痛みを軽減します。
- 薬物投与
- 安静臥床
- 尾骨切除
- 徒手療法
- 高圧平流感電刺激療法
尾骨骨折で手術になることはほとんどありません。しかし、尾骨骨折の不安定性が痛みになっていると、尾骨を切除する手術を行います。他にも徒手療法で骨の位置を戻し、筋肉の緊張をほぐすことで痛みを和らげる方法があります。
授乳中に薬を服用したくないけど痛みをとりたい人は、この方法が良いでしょう。高圧平流感電刺激療法では、深部組織までの筋肉の緊張をほぐし痛みを軽減します。
尾骨骨折の注意点や後遺症
座るときの注意点を教えてください。
尾骨骨折は座っているだけでも痛いことが多いので、長時間同じ姿勢で座ることはやめましょう。特にデスクワークの人は意識的に体を動かさないと、血流が悪くなって筋肉が固まってしまいます。
座るときは腰椎が正しい位置にくるよう、椅子に深く座って地面に足を付けて背筋を伸ばしてください。正しい姿勢でないと、臀部の痛みだけでなく、腰痛の原因にもなるので気を付けましょう。
猫背のような背骨が曲がった姿勢は、尾骨に体重がかかってしまいます。体重がかかると改善どころか痛みが増してしまうので、悪化させないためにも姿勢を意識しましょう。
座るときは腰椎が正しい位置にくるよう、椅子に深く座って地面に足を付けて背筋を伸ばしてください。正しい姿勢でないと、臀部の痛みだけでなく、腰痛の原因にもなるので気を付けましょう。
猫背のような背骨が曲がった姿勢は、尾骨に体重がかかってしまいます。体重がかかると改善どころか痛みが増してしまうので、悪化させないためにも姿勢を意識しましょう。
寝るときの姿勢について注意点はありますか?
寝るときの姿勢には特に注意点はありません。ただ、寝るときのマットレスには注意が必要です。マットレスは硬すぎず柔らかすぎないものを使用してください。硬いと骨を圧迫してしまい、尾骨の痛みが増します。
一方柔らかすぎると、寝返りの量が増えてしまうので身体によくありません。寝返りは血流が滞らないようにするための行動ではありますが、回数が増えれば快眠から遠のきます。寝ているときに体に負担をかけないためには、腰のS字カーブの隙間が2〜3cmになるマットレスを使用しましょう。
一方柔らかすぎると、寝返りの量が増えてしまうので身体によくありません。寝返りは血流が滞らないようにするための行動ではありますが、回数が増えれば快眠から遠のきます。寝ているときに体に負担をかけないためには、腰のS字カーブの隙間が2〜3cmになるマットレスを使用しましょう。
後遺症が残ることもあるのですか?
尾骨骨折はあまり後遺症になることはありませんが、骨片の転移次第では後遺症が残る可能性があります。
また、この神経が傷つくと自律神経の乱れも引き起こします。膀胱や性機能を正常に動かすためには、この自律神経が乱れてはなりません。尿が出にくい・失禁してしまうといった状態のときは、泌尿器科を受診しましょう。後遺症の度合いによってはカテーテルなどの手術が必要になる可能性があります。
- 瘢痕狭窄
- 陰萎
- 尿失禁
- 瘻孔形成
- 神経因性膀胱
また、この神経が傷つくと自律神経の乱れも引き起こします。膀胱や性機能を正常に動かすためには、この自律神経が乱れてはなりません。尿が出にくい・失禁してしまうといった状態のときは、泌尿器科を受診しましょう。後遺症の度合いによってはカテーテルなどの手術が必要になる可能性があります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
尾骨骨折は骨粗鬆症の人や高齢者だけでなく、外から強い衝撃を受けた若い人にも起こることがある骨折です。運動不足によって血行不良が起こると筋肉が固まってしまい、伸びが悪くなることで尾骨の痛みが発生します。
少し痛いかなと放置していると排尿障害が現れたり寝たきりになってしまうことがあるので、痛みを感じたら整形外科を受診しましょう。日常生活では長時間同じ姿勢にならないことや、ストレッチで筋肉をほぐすことが大切です。
また、骨粗鬆症予防のためにカルシウムを摂取したりウォーキングをして骨密度を高めましょう。座ったり起き上がることが難しくならないためにも、日常生活に取り入れられる予防策が大切です。
少し痛いかなと放置していると排尿障害が現れたり寝たきりになってしまうことがあるので、痛みを感じたら整形外科を受診しましょう。日常生活では長時間同じ姿勢にならないことや、ストレッチで筋肉をほぐすことが大切です。
また、骨粗鬆症予防のためにカルシウムを摂取したりウォーキングをして骨密度を高めましょう。座ったり起き上がることが難しくならないためにも、日常生活に取り入れられる予防策が大切です。
編集部まとめ
尾骨骨折は交通事故や打ち所が悪いと起こりやすい骨折です。骨が脆くなっている高齢者に多いですが、骨密度が下がっている若い人でも起こってしまいます。
痛みや違和感があるのに放置していると、排尿障害など別の病気が起こることがあるので早めに整形外科を受診しましょう。検査時に骨折以外の症状が確認されることもあります。
日頃から血行不良にならないように軽く運動をしたり、カルシウムを積極的に摂取して予防しましょう。




