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「急性骨髄性白血病で急死(容態が急変)」する症状はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/08/16
「急性骨髄性白血病で急死(容態が急変)」する症状はご存知ですか?【医師監修】

急性骨髄性白血病は、急死(容態が急変)してしまうケースもあることをご存知ですか?

急速に進行する白血病は、速やかに治療しないと命に関わる危険な病気です。

適切な治療を継続すれば治癒も目指せるがんであるため、患者さん自身も正しい知識をもって冷静に行動しましょう。

本記事では、急性骨髄性白血病と診断について知っておくべき以下の内容を解説します。

  • 急性骨髄性白血病で急死(容態急変)に至る症状
  • 急性骨髄性白血病の原因
  • 急性骨髄性白血病の検査・治療

急性骨髄性白血病の早期発見と早期治療のために、参考になれば幸いです。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

急性骨髄性白血病とは

急性骨髄性白血病とは、白血球などの血球をつくる細胞に異常が生じ、未成熟な白血病細胞が増殖してしまう血液のがんです。血球は骨髄の造血幹細胞からつくられますが、白血病になると異常な血球が増加し、正常な血球が減少していきます。
血液中の血球は主に以下の3つがあり、白血病ではこれらの血球減少により機能が低下します。

  • 白血球(免疫力を担い、減少すると感染症にかかりやすくなる)
  • 赤血球(酸素の運搬を担い、減少すると貧血になる)
  • 血小板(血液の凝固を担い、減少すると出血しやすくなる)

急性骨髄性白血病は異常細胞が急激に増加し、症状も急速に進行していきます。このため初期から強い自覚症状が出現し、診断後、速やかに入院しての治療が必要です。
化学療法によって80%程度は寛解するといわれていますが、症状を放置したり、再発したりすると予後不良で急死(容態が急変)してしまうケースも少なくありません。

急性骨髄性白血病で急死(容態が急変)する症状

急性骨髄性白血病は症状が急速に進行するのが特徴で、適切な治療をせずに放置すると数ヵ月で急死(容態が急変)してしまうケースも少なくありません。また、治療によって寛解しても白血病細胞は体内に残っているため、治療を継続しないと再発して予後不良となります。
急性骨髄性白血病によって急死(容態急変)に至る原因は、主に以下の症状によるものです。

  • 出血・大出血
  • 日和見感染
  • けいれん発作・意識消失
  • 多臓器不全

それぞれの原因や症状を順番に解説します。

出血・大出血

急性骨髄性白血病では、異常な白血病細胞の増加によって正常な血球が減少し血小板が減少するため、血が止まりにくくなります。怪我などで出血した際に血が止まらなくなったり、歯茎や皮膚から出血しやすくなるのが白血病でよく見られる症状です。
大怪我による大出血に加えて、脳出血による急死(容態急変)のリスクも高まります。

日和見感染

急性骨髄性白血病では、正常な白血球の減少による免疫力の低下が深刻な問題となります。健康な人であればかからない感染症にかかったり、一般的な風邪であっても重症化したりしてしまい、急死(容態が急変)するケースも少なくありません。
健康な人よりも感染症対策を徹底する必要があり、治療中は生活の制限が増えるでしょう。

けいれん発作・意識消失

急性骨髄性白血病では、赤血球の減少による貧血症状が頻繁に見られます。赤血球は酸素を運ぶ役割があり、赤血球が減少すると酸素不足によって動悸・息切れ・倦怠感などが起こります。
さらに進行するとけいれん発作や意識消失が起こることもあり、転倒や事故を起こし死亡するケースも少なくありません。

多臓器不全

急性骨髄性白血病による貧血症状が進行すると、各臓器への酸素供給が足りなくなり、機能が低下します。また、異常に増殖した白血病細胞が各臓器に浸潤し、臓器を圧迫して多臓器不全を引き起こすことがあります。

急性骨髄性白血病の原因

急性骨髄性白血病の原因は、ほとんどの場合不明です。がんを発症するリスク因子は複数あり、複数の因子が蓄積して白血病などのがんを発症すると考えられています。
急性骨髄性白血病の主な原因と考えられる因子は、以下の4つです。

  • 放射線の被曝
  • 化学物質の曝露
  • 生まれつきの遺伝子異常
  • ウイルス感染

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

放射線の被曝

放射線の被爆は、細胞内の遺伝子を損傷してがん細胞を発生させる大きなリスクの1つです。特に若年者の放射線被爆は、急性骨髄性白血病のリスクを増加させることが報告されています。
CT検査やレントゲン検査などの医療被曝による、急性骨髄性白血病のリスク増加も指摘されています。

化学物質の曝露

国際がん研究機関の報告では、喫煙が急性骨髄性白血病のリスクであるとされています。たばこに含まれるベンゼンなどの化学物質は、細胞に暴露すると遺伝子を損傷する発がん性物質です。
日本の国立がん研究センターの報告では、長期間喫煙している男性は喫煙していない男性に比べて、急性骨髄性白血病のリスクが2倍になります。

生まれつきの遺伝子異常

先天的な遺伝子の異常が、小児の急性骨髄性白血病の原因となる場合もあります。ダウン症など染色体の先天性異常がある人は急性骨髄性白血病のリスクが高まり、4歳までに発症するケースが大半です。
ダウン症と合併した急性骨髄性白血病は、非ダウン症の急性骨髄性白血病とは独立した疾患として扱われることもあります。

ウイルス感染

急性骨髄性白血病の原因となるウイルスは、現在までに発見されていません。しかし、ヒトT細胞白血病ウイルスなどリンパ性白血病の原因となるウイルスは存在しており、骨髄性白血病も未発見のウイルスによって引き起こされる可能性はあります。
ウイルス感染は体内に慢性的な炎症を起こすため、炎症による発がんの間接的な原因ともいえるでしょう。

急性骨髄性白血病の治療方針を決める診断・検査

急性骨髄性白血病は血液のがんであるため、ほかのがんのように大きな腫瘍ができるわけではありません。血液中の白血病細胞を確認し、病気の診断や治療方法の選択のために、主に以下のような検査が行われます。

  • 血液検査
  • 骨髄検査
  • 画像診断

それぞれの内容を詳しく解説します。

血液検査

急性骨髄性白血病の検査では、末梢血管から血液を採取し、血球数などの検査を行います。白血病の患者さんでは、白血球の数値が異常な高値となることがほとんどですが、逆に低値となることもあります。
末梢血検査は骨髄検査よりも患者さんの負担は少なく済みますが、血液検査だけで急性骨髄性白血病の診断はできません。

骨髄検査

急性骨髄性白血病を診断するには、骨髄で白血病細胞が増加していることを確認するため、骨髄検査が必要です。局所麻酔を行い腸骨に穿刺を刺し、骨髄を採取して生検を行います。異常な白血病細胞の数や形を調べる検査で、診断だけでなく治療方針の決定にも不可欠な検査です。
また、中枢神経への浸潤の有無を確かめるために、腰椎から脳脊髄液を採取する検査が行われることもあります。

画像診断

急性骨髄性白血病では、増殖した白血病細胞が浸潤して局所に溜まることがあります。血液や骨髄以外にも白血病細胞の塊がないか、レントゲンやCTで画像診断を行います。

急性骨髄性白血病の急死(容態の急変)についてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病の原因・検査などを紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病の急死(容態の急変)」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性骨髄性白血病の余命はどのくらいですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

国立がん研究センターが運営するがん情報サービスによると、急性骨髄性白血病を含めた白血病全体の5年相対生存率は44.0 %です。白血病細胞の性質によって予後は異なり、適切な治療の選択が重要です。20~30%の患者さんは、化学療法だけで治癒するといわれています。

急性骨髄性白血病の治療にはどのようなものがありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

急性骨髄性白血病の治療は抗がん剤を用いた化学療法が基本となります。初期の治療は寛解導入療法と呼ばれ、完全寛解を目指す治療です。80%程の患者さんは寛解しますが、体内に白血病細胞が残っていると再発するリスクが高くなります。このため、寛解期でも再発を防ぐために治療を継続しなければいけません。再発した場合や、化学療法で効果が得られない場合は、造血幹細胞移植を行うこともあります。

編集部まとめ

急性骨髄性白血病で急死(容態が急変)してしまう症状や原因を解説してきました。

急性骨髄性白血病は症状が急速に進行し、速やかに治療を開始しないと命に関わる病気です。

しかし、適切な治療を継続すれば治癒するケースも少なくないため、希望をもって治療に臨みましょう。

早期発見と早期治療のためにも、気になる症状があれば早めに病院でご相談ください。

急性骨髄性白血病と関連する病気

「急性骨髄性白血病」と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は急性骨髄性白血病と同じく、骨髄の血球をつくる細胞に異常が生じるがんですが、症状の進行が遅いのが特徴です。初期段階では自覚症状がでにくいため、気付かないうちに進行しているケースが少なくありません。進行すると急性期に移行し、治療が難しくなり予後不良となります。

急性骨髄性白血病と関連する症状

「急性骨髄性白血病」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 感染症
  • 出血しやすい
  • 腹部の膨満感

急性骨髄性白血病では、正常な血球の減少による症状が急速に進行します。感染症にかかりやすく、出血しやすくなるため、日常的に注意が重要です。歯茎からの出血は歯周病の可能性もありますが、白血病になると免疫機能の低下により歯周病も悪化しやすくなります。そのため、早めに詳しい検査を受けることが重要です。

この記事の監修医師

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