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「ばら色粃糠疹」は人にうつるの?症状・原因についても解説!【医師監修】

 公開日:2023/08/29
「ばら色粃糠疹」は人にうつるの?症状・原因についても解説!【医師監修】

ばら色粃糠疹という皮膚病をご存じですか?

ばら色粃糠疹は身体にばら色の皮疹が現れる皮膚病で、軽度な痒みを伴うか痒みがなく皮疹のみが見られるかのどちらかが多いようです。患者によっては、微熱・咽頭痛・リンパ節腫脹の前触れがあります。

原因はヒトヘルペスウイルスが関与しているとされていますが、正確なものは明確になっていません。また感染するということが時々見受けられますがそのような研究報告はありません。

治療方法は自然治療・薬物療法・光線療法となっていますが、一般的には自然治癒で跡も残らずに治る病気です。しかしまだまだ解明されていないのも現状です。

今回は現在までで判明していることを解説していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

ばら色粃糠疹(ひこうしん)の特徴や原因

危険マーク

ばら色粃糠疹とはどのような病気ですか?

ばら色粃糠疹は皮膚に発生する病気です。身体にばら色の皮疹が現れ、主に体幹・四肢近位に多く見られます。その後同様に小さい皮疹が皮膚割線に沿って現れます。背部では皮疹がクリスマスツリー状に現れることがあるようです。主な原因はウイルスによって引き起こされるとされています。
正確な原因はまだわからないことがありますが、ヒトヘルペスウイルスが原因に関与していると考えられているようです。一般的に若い人(思春期〜30歳代)にかかる人が全体の70〜80%を占めますが、生後4ヶ月から78歳の方もかかったと報告があります。症状は発疹や皮疹が主なもので、痒みなどはないか、軽度なものが多いです。
人によっては微熱・咽頭痛・リンパ節腫脹の前触れがみられる場合があります。治療方法は主に自然治癒です。他の治療方法として薬物療法や光線療法があります。

ばら色粃糠疹の特徴は?

ばら色粃糠疹の特徴は、ヘラルド・パッチと呼ばれる円形〜楕円形で直径2〜10cmの赤みをともなう皮疹です。ヘラルド・パッチと皮膚との境界は明瞭で、近縁に熱い鱗屑が付着する赤紅色の皮疹が生じます。
皮疹の中心部が黄色調のものが体幹または四肢近位に現れ、ヘラルド・パッチが現れた1〜2週間後に同様で小型1〜2cm程度の皮疹が現れます。7〜10日間にかけて皮疹が皮膚の割線に沿って現れ、背部では皮疹がクリスマスツリー状になるのも特徴です。
ヘラルド・パッチは60〜80%で現れるとされています。春と秋において患者が増える季節性のものでもあると考えられています。

原因を教えてください。

ばら色粃糠疹の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、主要な原因としてはヒトヘルペスウイルスによる感染が関与していると考えられています。具体的にはヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)が関連している可能性があります。また感染しても必ずしもばら色粃糠疹が発症するわけではありません。免疫や個人の状態や他の要因によって引き起こされる場合もあります。

どの年齢層で起こりやすいのですか?

年齢については比較的若い方が全体の70〜80%を占めていますが、生後4ヶ月から78歳の方も発症したとの報告があります。ばら色粃糠疹は年齢による限定的なものではありません。他の年齢層でも発症することがありますが、比較的若い年齢層で頻繁に見られる傾向があります。重要な点として、ばら色粃糠疹は個人によって異なる症状や重症度を示す場合があるので注意が必要です。

女性がかかることのほうが多いのですか?

こちらについてもほぼ同じとされていますが、最大で2倍程度まで女性の方が多いとの指摘があるようです。原因・感染経路についてまだわからないことが多いので、具体的な答えは持ち合わせていません。

ばら色粃糠疹の診断や治療

医師たち

ばら色粃糠疹はどのように診断されますか?

受診した際に問診で患者の症状を確認し、ばら色粃糠疹のような症状があった時に身体検査でヘラルド・パッチなどの皮疹の有無を確認します。発症から受診までの期間が空いている場合は、皮疹が確認できない場合があります。
患者のほとんどは微熱や軽度のかゆみで受診することが多いようです。ばら色粃糠疹に似た病気で急性滴状乾癬・類乾癬・貨幣状感染・梅毒の2期疹があり、鑑別方法としてここの皮疹の性状・発疹部位の違いを見て判別します。時々、梅毒血清反応検査を行うこともあります。

治療方法を教えてください。

基本的には無治療か保湿剤・場合により薬物療法がとられます。薬物療法は、一般的には抗ヒスタミン効果のある薬剤の内服とステロイド外用剤が使われることがあります。
しかし、ばら色粃糠疹はほとんどの場合、3〜6週間で自然治癒するようです。稀に3ヶ月と長期間かかってしまう場合もあるようです。また再発する可能性も低く1〜3%程度のものです。最初に紹介した薬剤による治療方法ですが、ステロイド外用剤は効果の強いもの(very strongクラス)でないと効果があまり期待できません。
他には光線療法が用いられることがあります。紫外線の免疫抑制作用を利用したもので、皮膚の症状を沈静化させる治療法なのですが、1週間以内の治療であれば有効とされているようです。
またヒトヘルペスウイルスが原因とみて、抗ヘルペスウイルス剤による研究がされています。現在までの結果として有効だとされていますが、保険が適応されない・薬の値段が高価などから、新しい治療法としての選択肢に加えるには至ってないようです。

ばら色粃糠疹の感染や注意点

ばら色粃糠疹はうつりますか?

感染性はないとされています。一緒に住んでいる家族の中でさえ感染することはほとんどないと報告があるので、誰かにうつすことは考えなくても良いと思います。しかしまだ不明なことが多い病気ですので、確実に感染しないかというとわからないことが多いのが現状です。

普段の生活での注意点を教えてください。

ばら色粃糠疹はまだまだ解明できていないことが多い病気です。患者からすると何も身の覚えがないのに、微熱が出て派手な皮疹が出るので怖い病気ではあります。ウイルスが原因なのかもはっきりせず、治療方法も自然治癒頼りなので普段の生活で気をつけることもこれといってありません。
一方でばら色粃糠疹の症状がでた際は注意してもらいたいことがあります。症状に軽度な痒みが出ることがあるので、かいたり擦れたりすると痒みが強くなる場合があるので注意が必要です。お風呂のときも力をあまり入れずに、洗うようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ばら色粃糠疹は一般的にはかかっても自然治癒で治る病気です。インターネットの情報ではときどき感染するなどと解説されている場合がありますが、そのような研究報告もなされていないので、ご安心ください。
自然治癒が基本ですが、ご自身が希望すると薬物治療も行っています。医師の判断をもとに、ご自身に合った治療方法を選んでください。またヒトヘルペスウイルスが原因という説が濃厚で、それによって新たに引き起こされる病気もないとされているので基本的には自然治癒で良いかと思われます。

編集部まとめ

背伸びする女性
ばら色粃糠疹について解説しましたが、まだまだ解明されていないことが多い病気です。

原因・感染性・予後などもはっきりとしていませんが、自然に治ることの多い皮膚病です。自然に治るとはいっても、ばら色粃糠疹でないときは他の症状が出ることがあるため皮疹などがご自身の身体に出たら、まず皮膚科を受診をしましょう。

またかかりやすい年齢層や性別なども解説しましたが、これもはっきりしていないのが現状ですので、どなたでもかかる可能性のある病気と覚えておいていただきたいです。

再度ばら色粃糠疹でよく見られる症状として、微熱・咽頭痛、リンパ節腫脹の前触れがあり身体にヘラルド・パッチが現れます。痒みはないか軽度なことが多いです。

突然覚えのない皮疹が出た場合でも、知識があると焦らずに対処できるのでぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修医師