「ばら色粃糠疹」は人にうつるの?症状・原因についても解説!【医師監修】
ばら色粃糠疹という皮膚病をご存じですか?
ばら色粃糠疹は身体にばら色の皮疹が現れる皮膚病で、軽度な痒みを伴うか痒みがなく皮疹のみが見られるかのどちらかが多いようです。患者によっては、微熱・咽頭痛・リンパ節腫脹の前触れがあります。
原因はヒトヘルペスウイルスが関与しているとされていますが、正確なものは明確になっていません。また感染するということが時々見受けられますがそのような研究報告はありません。
治療方法は自然治療・薬物療法・光線療法となっていますが、一般的には自然治癒で跡も残らずに治る病気です。しかしまだまだ解明されていないのも現状です。
今回は現在までで判明していることを解説していきます。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
ばら色粃糠疹(ひこうしん)の特徴や原因
ばら色粃糠疹とはどのような病気ですか?
正確な原因はまだわからないことがありますが、ヒトヘルペスウイルスが原因に関与していると考えられているようです。一般的に若い人(思春期〜30歳代)にかかる人が全体の70〜80%を占めますが、生後4ヶ月から78歳の方もかかったと報告があります。症状は発疹や皮疹が主なもので、痒みなどはないか、軽度なものが多いです。
人によっては微熱・咽頭痛・リンパ節腫脹の前触れがみられる場合があります。治療方法は主に自然治癒です。他の治療方法として薬物療法や光線療法があります。
ばら色粃糠疹の特徴は?
皮疹の中心部が黄色調のものが体幹または四肢近位に現れ、ヘラルド・パッチが現れた1〜2週間後に同様で小型1〜2cm程度の皮疹が現れます。7〜10日間にかけて皮疹が皮膚の割線に沿って現れ、背部では皮疹がクリスマスツリー状になるのも特徴です。
ヘラルド・パッチは60〜80%で現れるとされています。春と秋において患者が増える季節性のものでもあると考えられています。
原因を教えてください。
どの年齢層で起こりやすいのですか?
女性がかかることのほうが多いのですか?
ばら色粃糠疹の診断や治療
ばら色粃糠疹はどのように診断されますか?
患者のほとんどは微熱や軽度のかゆみで受診することが多いようです。ばら色粃糠疹に似た病気で急性滴状乾癬・類乾癬・貨幣状感染・梅毒の2期疹があり、鑑別方法としてここの皮疹の性状・発疹部位の違いを見て判別します。時々、梅毒血清反応検査を行うこともあります。
治療方法を教えてください。
しかし、ばら色粃糠疹はほとんどの場合、3〜6週間で自然治癒するようです。稀に3ヶ月と長期間かかってしまう場合もあるようです。また再発する可能性も低く1〜3%程度のものです。最初に紹介した薬剤による治療方法ですが、ステロイド外用剤は効果の強いもの(very strongクラス)でないと効果があまり期待できません。
他には光線療法が用いられることがあります。紫外線の免疫抑制作用を利用したもので、皮膚の症状を沈静化させる治療法なのですが、1週間以内の治療であれば有効とされているようです。
またヒトヘルペスウイルスが原因とみて、抗ヘルペスウイルス剤による研究がされています。現在までの結果として有効だとされていますが、保険が適応されない・薬の値段が高価などから、新しい治療法としての選択肢に加えるには至ってないようです。
ばら色粃糠疹の感染や注意点
ばら色粃糠疹はうつりますか?
普段の生活での注意点を教えてください。
一方でばら色粃糠疹の症状がでた際は注意してもらいたいことがあります。症状に軽度な痒みが出ることがあるので、かいたり擦れたりすると痒みが強くなる場合があるので注意が必要です。お風呂のときも力をあまり入れずに、洗うようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
自然治癒が基本ですが、ご自身が希望すると薬物治療も行っています。医師の判断をもとに、ご自身に合った治療方法を選んでください。またヒトヘルペスウイルスが原因という説が濃厚で、それによって新たに引き起こされる病気もないとされているので基本的には自然治癒で良いかと思われます。
編集部まとめ
ばら色粃糠疹について解説しましたが、まだまだ解明されていないことが多い病気です。
原因・感染性・予後などもはっきりとしていませんが、自然に治ることの多い皮膚病です。自然に治るとはいっても、ばら色粃糠疹でないときは他の症状が出ることがあるため皮疹などがご自身の身体に出たら、まず皮膚科を受診をしましょう。
またかかりやすい年齢層や性別なども解説しましたが、これもはっきりしていないのが現状ですので、どなたでもかかる可能性のある病気と覚えておいていただきたいです。
再度ばら色粃糠疹でよく見られる症状として、微熱・咽頭痛、リンパ節腫脹の前触れがあり身体にヘラルド・パッチが現れます。痒みはないか軽度なことが多いです。
突然覚えのない皮疹が出た場合でも、知識があると焦らずに対処できるのでぜひ参考にしてみてください。
参考文献