「アデノウイルス」を発症すると現れる症状・原因・潜伏期間はご存知ですか?
小さいお子様をお持ちの親御さんなら「アデノウイルス」を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
保育園や幼稚園に通うお子様がいらっしゃると、時期によっては流行する感染症の1つでしょう。
この記事では、アデノウイルスについて症状から検査・治療・予防方法まで詳しく解説いたします。
「アデノウイルス」とよく聞くけど、どのようなものなの?と疑問をお持ちの方、お子様の症状などが気になる方はぜひ参考にしてください。
監修医師:
白井 沙良子(医師)
目次 -INDEX-
アデノウイルスの症状
アデノウイルスはどのような病気でしょうか?
感染しやすい年齢層は5歳以下の乳幼児が多いといわれています。
症状を教えてください。
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 呼吸器感染症
- 流行性角結膜炎
- 胃腸炎
- 出血性膀胱炎
主に血清型3型に感染すると起こる症状が咽頭結膜熱です。プールの水から結膜に直接侵入したり、唾液からの飛沫感染、手指での接触感染で感染が流行することからプール熱とも呼ばれます。
発熱・頭痛・のどの痛み・目の充血・目やに・涙が出るといった症状がみられます。
主に3型および7型に感染すると起こる症状が呼吸器感染症です。主な症状として、鼻炎・のどの痛み・咳があります。
また、特に重篤な症状として肺炎・気管支炎を発症することがあります。特に注意が必要なのは7型です。
乳幼児がかかることが多く、感染するとまれに重症な肺炎を発症する可能性もあります。また髄膜炎・脳炎・心筋炎などを併発することもあるため注意が必要です。
血清型8型・19型・37型および53型、54型、56型等の新型アデノウイルスに感染すると起こる症状が流行性角結膜炎です。主な症状として、目の充血・目やに・涙などがみられます。
流行性角結膜炎は感染力が非常に高いことが特徴的です。学校保健安全法上の学校感染症にも指定されており、感染した場合は伝染の恐れがなくなるまで登校禁止となります。
主に血清型31型・40型・41型に感染すると起こる症状が胃腸炎です。症状として、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐などがあります。
特に乳幼児が発症することが多いです。
血清型11型に感染すると起こる症状が出血性膀胱炎です。主な症状として、頻尿・真っ赤な血尿・排尿時の痛みなどがみられます。
症状は3日ほどで改善されますが、検査での尿潜血は10日ほど続く場合もあります。
感染の原因を教えてください。
感染者の咳やつば、便などの飛沫に含まれるウイルスを鼻や口から吸いこんだり、感染者がウイルスを含む飛沫で触れた場所を他の人が触れることによってウイルスが伝播していきます。
大人もアデノウイルスに感染するのでしょうか?
アデノウイルスは「かぜ症候群」を引き起こす主要な病原ウイルスの1つとされています。
大人の場合、乳幼児ほど症状が目立たないことも多いことから「かぜ」として対応することがほとんどですが、発症した場合はいつも以上に、オムツ替えのあとの手洗いを念入りにすることや、子どもとタオルや食器を共用しないなどの感染対策を心がけましょう。
アデノウイルスの潜伏期間と検査
アデノウイルスの潜伏期間はどのくらいでしょうか?
どのような検査を行いますか?
特異度が高く検査方法として有効だとされていますが、偽陰性の可能性を考慮する必要はあります。いずれの場合も症状を伝え、医師の指示に従いましょう。
特効薬がないと聞いたのですが、どのような治療を行いますか?
薬としては、発熱には解熱剤、嘔吐・下痢には吐き気どめや整腸剤を使います。結膜炎の場合には、点眼薬を使用することもあります。
治療が1週間以上続くことも多いため、いずれの場合も医師に相談し、適切な処置を受けることをおすすめします。
アデノウイルスの予防方法
アデノウイルスは何日くらいで治りますか?
熱が長く続くことが多いため、こまめに水分補給を行い、必要に応じて薬を服用して安静に過ごしましょう。
アデノウイルスの予防方法を教えてください。
外から帰宅した時はもちろん、おむつ替えの後や食事の前など、こまめに手洗い・うがいをすることで手などに付着したウイルスを減らし、予防が期待できるでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
また症状がおさまった場合も、登園許可証が必要な場合もあります。かかりつけの医師のほかにも、幼稚園や保育園の先生にも確認してください。
編集部まとめ
子どもが生まれると、今まであまり耳にしたことのない感染症について触れる機会が増えるのではないでしょうか。
通う保育園や幼稚園などで流行中だと聞くウイルスの1つが「アデノウイルス」でしょう。
子どもの発熱・咳・嘔吐・下痢・目やになど心配になる症状が多くありますが、対症療法によって1~2週間で症状が改善することが多いです。
周りでアデノウイルスが流行している、またアデノウイルスが疑われる症状が見られる、といった場合は、まずは受診し、必要な検査や治療を相談しましょう。