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「喉頭腫瘍」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/05/17
「喉頭腫瘍」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

喉頭腫瘍とはのど仏の位置にできる腫瘍で、ほとんどの場合が癌です。のど仏は声を発する声帯があるため、腫瘍の進行度によっては切除しなければなりません。

のど仏を切除すると声帯が失われるため、最悪の場合、声が出せなくなる恐ろしい病です。その場合、代替的な発声法などのリハビリが必要になります。

ただし喉頭腫瘍には声がれ(声が枯れること)などのわかりやすい症状があり、早期発見されやすいのも特徴の1つです。

この記事では喉頭腫瘍の症状・原因・なりやすい方・初期症状・予防方法などについて解説します。

ぜひ最後まで読んでいただき、少しでも気になる症状がある方は早期に医療機関を受診しましょう。

矢富 正徳

監修医師
矢富 正徳(医師)

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東京医科大学病院
保有免許・資格
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会認定指導医
日本睡眠学会認定睡眠専門医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医

喉頭腫瘍の症状と原因

病気を見つける女性医師 ウイルス発見

喉頭腫瘍はどのような病気ですか?

喉頭腫瘍はのど仏の位置にできる腫瘍で、ほとんどの場合は悪性です。悪性の腫瘍は一般的に癌として知られています。癌が声帯にあるうちは放射線治療のみで90%の確率で治療できます。しかし声帯を超えて癌が進行した場合、放射線治療のみでは対処できません。
最悪の場合、喉の全摘出が必要となり、発声機能は失われます。発声機能を失った場合、代替的な発声方法を会得するためにリハビリが行われます。代替的な発生法とは、食道発声法や電気喉頭などです。

喉頭腫瘍の症状を教えてください。

喉頭腫瘍の症状は非常に特徴的です。その特徴は声がガラガラしたり、かすれたりする「声がれ」の症状として現れます。そのため喉頭腫瘍の発症者全体の実に半数程度が、発症から3ヶ月以内に発見されているというデータもあります。
一方で、声がれという症状そのものは、多くの方にとって受診する理由になりにくいのが難点です。なぜなら、カラオケなどで歌いすぎた場合や高齢者の喉の調子が悪いときなど、声がれになることはごく一般的だからです。
また、発症するのは5万人に1人程度と非常に少ないため、声がれ程度の症状は耳鼻咽喉科医師でも見落としてしまう可能性もあります。

喉頭腫瘍とポリープはどのように違うのでしょうか?

喉頭腫瘍とポリープの違いは、その危険性にあります。一般的にポリープは炎症によって生じるという特徴があります。そのため、放置しても特段危険ではありません。ただし喉頭腫瘍と同様に声がれなどの症状や違和感があることがあります。
これらの改善には手術による摘出が必要です。なお、ポリープによる違和感があるまま喉を使いすぎたり無理な発声を行うと声帯全体に炎症が広がる可能性があります。危険性が少ないとはいえ、最悪の場合、大切な声帯を失うほど悪化する可能性もあるので注意が必要です。

発症の原因を教えてください。

喉頭腫瘍を発症する原因は主に喫煙です。先述したとおり、喉頭はのど仏の位置にあり、気道であると同時に発声機能を担っています。そのため多くの有害物質が気道を通り抜けていく喫煙は喉頭腫瘍の発症に大きく関係しています。
タバコにはニコチン・タールなどに代表される有毒物質・発癌物質が250種類以上も含まれているのです。さらに、飲酒も喉頭腫瘍の発症の原因になるとされています。
アルコール自体もそうなのですが、アルコールが代謝されたあとに生じるアセトアルデヒドという物質に発癌作用があるのです。特に日本人はアルコールの分解が遅い傾向にあるため、過度な飲酒は要注意です。なお、飲酒と喫煙は相乗効果の関係にあるといわれています。

どのような方が喉頭腫瘍になりやすいのでしょうか?

先述したとおり、喫煙者・飲酒者は喉頭腫瘍になりやすいといえます。喉頭腫瘍の発症者は約96%が喫煙者であるとのデータがあります。そのなかでも男性:女性の発症比率は10:1です。こちらも、女性よりは男性の方が喫煙者が多いという傾向に大きく影響を受けています。
そのほか、飲酒も喉頭腫瘍の発症に大きく関わっています。週1回以上の飲酒をする方は、全く飲酒をしない方に比べて喉頭腫瘍を発症するリスクが1.8倍になるとのデータがあるのです。
さらに、喫煙・飲酒の両方をする方は、どちらもしない方に比べて発症リスクが約4倍になることも知られているのです。これらのことから、喫煙や飲酒はほどほどに控えるのが賢明だといえます。

喉頭腫瘍の診断

診察をする女性の医師イメージ01

受診を検討するべき初期症状はありますか?

受診を検討するべき初期症状として、冒頭から述べている「声がれ」が挙げられます。ただし一口に声がれといっても、雑音混じりの声・カサカサした声・ガラガラ声など、症状の現れ方はさまざまです。また、喉頭の上部と下部などの位置によっても特徴が違います。上部に現れる症状は主にイガイガ感・飲み込むときの痛みなどです。
一方で下部に腫瘍ができた場合はある程度進行しなければ症状が出てこないので要注意です。進行すれば声がれに加えて息苦しさも出てくるので、違和感があればすぐに受診することをおすすめします。

どのような検査で喉頭腫瘍と診断されますか?

喉頭腫瘍を見つけるための検査には多くの種類があります。一般的なのは喉頭鏡検査・内視鏡検査・生検・CT検査・MRI検査などです。基本的には喉頭鏡検査のように、小さな鏡を喉に通し、腫瘍の有無を確かめます。
内視鏡は鼻から通すタイプですが、喉頭鏡と同じく喉の奥を観察することで腫瘍を見つけ出す方法です。生検は実際に腫瘍の一部を取り出し、顕微鏡などで詳しく調べる方法です。喉に接触するため、局所麻酔を施します。CT検査やMRI検査はX線・磁石・電波などを使用して喉周囲の断面を立体的に映像化する検査法です。
他の病状の究明などにも使用されますが、周囲の状況を詳しく調べられるため、転移の有無を含めて調べるのに有効です。

喉頭腫瘍の治療方法を教えてください。

喉頭腫瘍の症状がそこまで進行していない場合、放射線治療で腫瘍を除去します。先述したとおり、喉頭腫瘍は早期発見される場合が多く、基本的には放射線治療で対処可能です。放射線治療は、放射線を喉頭腫瘍の中の癌細胞に当てて消滅させることが目的です。
近年では放射線治療と並行して薬物療法を取り入れることで、放射線治療の効果をより高める化学放射線療法も登場しています。しかし中には喉頭腫瘍の症状が、放射線治療では間に合わないほど進行しているケースもあります。その場合は手術により摘出しなければなりません。
喉頭腫瘍が声帯の表面部分のみに発達している場合、喉頭温存術という方法である程度声帯を残しながら腫瘍を摘出します。しかし喉頭腫瘍が声帯の深部まで発達してしまっている場合、喉頭全摘出術の方法により喉頭を全て摘出しなければなりません。この場合は声が出せなくなるほか、気管をつなげるための穴を首に開けなければなりません。

手術した場合の入院期間を教えてください。

喉頭腫瘍の摘出手術を行う場合の入院期間は、手術の種類によって異なります。喉頭温存術による手術では2週間程度で傷口が塞がるため、入院期間は3週間程度が目安です。ただし発声のリハビリテーションなどの有無によっても入院期間は前後します。
また、喉頭全摘出術の場合、入院期間は1ヶ月以上となるのが一般的です。なお、化学放射線療法の場合、複数回に分けた治療を行うため入院期間は2ヶ月程度になります。

喉頭腫瘍の予防方法

笑顔の看護師

喉頭腫瘍は治る病気でしょうか?

喉頭腫瘍は早期発見により適切な治療を施すことで、治る病気といえます。しかし先述したとおり、症状の進行度によっては声帯を含めて摘出する必要があるため、後遺症として発声のしづらさや声そのものを失うこともあり得る病気です。喉頭腫瘍ができないように注意して日常生活を送りましょう。

喉頭腫瘍を予防する方法があれば教えてください。

先述したとおり、喉頭腫瘍の原因は喫煙・飲酒などの生活習慣です。そのため基本的には禁煙・節酒が不可欠です。また、他の癌予防にもいえることですが、バランスのとれた食事・適度な運動・適正体重の維持など、生活習慣全般も癌予防と密接に関わっています。
さらに、感染も癌の原因となり得ます。B型/C型肝炎ウイルス・ヒトパピローマウイルスなどは、主要な癌の発生原因とされているのです。これらは定期的な検診で発見することが可能ですので、機会があれば定期健診を受けましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

喉頭腫瘍は喉にできる腫瘍であり、声がれなどの明確な症状が現れやすいことから、比較的早期発見がしやすい腫瘍です。しかし、少し喉の調子がおかしいだけと侮って放置してしまうと、最悪の場合は声帯を摘出しなければならなくなる恐ろしい病です。
少しでも声がれとは違った違和感や、症状が長引くような場合には早期に医療機関を受診することをおすすめします。また、喉頭腫瘍は喫煙・飲酒などの習慣によって引き起こされる病気です。日頃の生活習慣を見直し、適切な癌予防に取り組みましょう。

編集部まとめ

ガッツポーズをする看護師
この記事では、喉頭腫瘍の症状・発症原因・診断方法・予防方法などについて解説しました。

喉にできる腫瘍はほとんどの場合が悪性であり、「癌」です。症状としては声がれ・息切れという形で現れます。

症状が気になる方は耳鼻咽喉科へ相談の上、喉頭鏡検査・内視鏡検査などの検査方法で発見することが可能です。

主に喫煙・飲酒を好む方がなりやすく、生活習慣の摂生が一番の予防策になります。日頃の生活習慣を見直し、健康増進に取り組みましょう。

この記事の監修医師