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「巻き爪」になる原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「巻き爪」になる原因はご存知ですか?医師が監修!

巻き爪とは、爪の端が指の内側に巻き込むような形になることで、ほとんどの場合足の爪に起こります。

痛みだけでなく、歩き方や姿勢が悪くなるため、悪化すると腰や膝の痛みを起こす可能性がある病気です。

そこで本記事では、巻き爪になるのはなぜなのかを解説します。発生の原因・治療方法・注意点などもご紹介するので参考にしてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

巻き爪の特徴

足

巻き爪とはどんな状態を指しますか?

巻き爪とは、爪の形状が丸くなっている状態のことです。爪の先端が内側に食い込むようになっており、ロール状に湾曲しているため周囲の皮膚を巻き込むような形をしています。通常爪には湾曲する性質がありますが、普段の立ち歩きの動作によって地面からの圧力が生じるため、真っすぐな正常の形状を保つことができるのです。
しかし、病気や加齢によって立ち歩く動作が少なくなることで、爪の湾曲する性質を抑え込むことができなくなります。そのため、爪が巻きつくようになるのです。

巻き爪が発生するのはなぜですか?

巻き爪が発生する原因としては、次のようなものが挙げられます。

  • 爪の切り方が間違っている
  • 爪へ過剰な力が働いている
  • 指に力がかからない状態が長く続く

まず爪の切り方を間違っているケースが、大きな原因のひとつとして挙げられます。特に多いのが深爪となる切り方です。通常、立ったり歩いたりしていると、足の指には常に力がかかっています。深爪になっていると、足の指に力がかかった際に、爪先の皮膚が力を受けて盛り上がるような形状となります。その結果、真っすぐに爪が伸びることができず、両側が巻いたり厚みが増したりするようになるのです。足の指の巻き爪が多いのは、このメカニズムが手の爪よりも起きやすいためです。また、爪へ過剰な力が働いている場合にも発症しやすくなります。特に外反母趾の方や、足の形に合わない靴を履き続けている方がなりやすいです。
これは、歩いている際に指に加わる力が影響します。通常の足であれば地面からの力だけで済むのですが、外反母趾の方や足の形に合わない靴を履いている場合、人さし指が親指の上にかかるようになって上から押さえる力が加わり続けます。すると、過剰な力が爪に加わることとなるため、爪が真っすぐに伸びることができません。これによって巻き爪になりやすくなってしまうのです。
最後に、指に力がかからない状態が長く続いている場合も、巻き爪になりやすいです。特に足の指に力を入れずに歩く癖のある方や寝たきりの方は、親指に体重がかからないためこの条件に該当します。本来であれば、歩く際の地面から加わる力が、爪の丸まろうとする力に対して打ち消すように働きます。しかし、力が加わらない状態が続くと、爪の丸まろうとする力だけが働いてしまい巻き爪が進行してしまうのです。他にも、つま先を外側に向けて歩く癖がある方なども、地面から足の指に力が加わっていないため巻き爪になりやすい傾向があります。

巻き爪が進行するとどうなりますか?

巻き爪が進行すると、爪が皮膚を傷つけることがあります。すると、爪の周りの皮膚が炎症を起こすことがあるのです。これを爪周囲炎や陥入爪といいます。
腫れや赤みを伴う炎症を起こすため、強い痛みが生じるケースもあります。また、傷ができるとそこから細菌に感染して化膿する可能性も高いです。このように、巻き爪からさまざまな足のトラブルに発展する可能性があるため、進行を止めるための治療が必要です。

陥入爪との違いを教えてください。

巻き爪と似た病気に、陥入爪と呼ばれるものがあります。この病気は、爪先の側面部分が周囲皮膚に食い込んでしまい、炎症を起こした状態です。巻き爪との違いは、爪が巻いているかどうかと、皮膚に刺さっていて腫れと痛みが生じているかどうかです。先述したように、巻き爪は爪が巻いたような状態となります。
一方で陥入爪は、爪が巻いているかは関係ありません。周囲の皮膚に爪先の側面が食い込んでしまっており、炎症を起こしている場合が陥入爪となるため、巻き爪になったからといってこの病気も併発しているとは限らないのです。しかし、陥入爪の原因のひとつには巻き爪があります。もちろん、巻き爪と陥入爪を同時に発症する場合もあります。この場合は、爪が深く皮膚に食い込んでいる可能性があるため、非常に強い痛みや炎症による腫れがでてくるでしょう。

巻き爪の痛みはどの程度ですか?

巻き爪の痛みの程度は、非常に強い痛みが伴うケースがあります。初期のころは、まだ爪の巻き具合も軽度であるため、我慢できるほどの痛みです。
しかし、放置を続けていると爪の変形が進んでしまいます。場合によっては、先述したような陥入爪を併発する可能性もあるため、非常に強い痛みを伴うこともあります。特に指先は敏感であり、歩くたびに体重がかかってしまうため、強く痛むケースがあるのです。

巻き爪の診断と治療方法

医師

治療を受けるのは何科ですか?

巻き爪は、爪の形状の問題ではありますが、不自然な力が加わっているなどのさまざまな原因によって発症する病気です。そのため、巻き爪の治療や矯正を扱っているところを受診するようにしましょう。代表的な診療科目としては、皮膚科・形成外科・整形外科などです。

巻き爪の治療内容を教えてください。

巻き爪の治療には、次のような方法があります。

  • アクリル人工爪
  • テーピング法
  • ワイヤー法
  • ガター法

症状が軽度の場合であれば、アクリル人工爪テーピング法により治療が可能です。アクリル人工爪とは、陥入した爪の角をアクリル樹脂でカバーする方法です。テーピング法は、伸縮性のある絆創膏を使って、指先を引っ張りながら固定する方法となります。これらの方法は、爪の食い込みを軽減できるため、痛みが楽になるだけでなく爪を十分に延ばすことができます。
しかし、重度の場合になるとこれらの治療内容では対応できないことがあり、その際に用いるのがワイヤー法です。ワイヤー法は湾曲した爪にワイヤーを固定して、爪の形状を平らにする方法です。ガター法とは、爪と皮膚の間にチューブを差し込んで、チューブで爪先を保護することで食い込みを防ぎます。正常に爪を延ばすことができ、爪の先端が皮膚より先に伸びれば食い込みません。

手術が必要になることもあるのですか?

巻き爪の治療は、先述したような方法で進めますが、重症化している場合には手術が必要となります。特にワイヤー法などで治療をしても、改善が見られない場合は手術が必要です。手術の方法としては、フェノール法や爪が生えてこないようにする方法などがあります。フェノール法は、腐食性のあるフェノールと呼ばれる薬品を使用して、爪母という組織を部分的に破壊する治療法です。
爪母は、爪をつくる大切な組織ですが、薬品を使用することで生えてくる爪をコントロールして治療します。その他の手術方法としては、爪が生えてこないように爪母を取り除く方法があります。この場合は、次に爪が生えてこないようにするため、再発のリスクが非常に少ないです。

巻き爪に対処する時のポイント

爪切り

巻き爪を爪切りで切るときの注意点を教えてください。

爪を切るときの注意点としては、丸く切らずにスクエアオフカットにすることです。スクエアオフカットの切り方は、まず、爪先端の白い部分を1mm程残すようにして一直線に切ります。そして、ヤスリを使用して尖っている部分を少し丸く調整します。丸くしすぎると巻き爪となり、爪が皮膚に食い込む可能性があるため注意して切りましょう。

巻き爪が起きないようにするにはどうすればよいですか?

巻き爪が起きないようにするには、爪の切り方だけでなく次のような方法を実践することも大切です。

  • 足に合った靴を選ぶ
  • 歩き方に注意する
  • まずは足に合った靴を選びましょう。つま先に余裕がないタイプやヒールが高い靴は、足への影響が大きく巻き爪になりやすいです。つま先が狭いと、指同士が干渉して常に指や爪に力が入っているい状態となります。また、ヒールが高いと足の重心がつま先寄りとなり、指先に過度な力がかかり続けてしまいます。このような状態が長く続くと、巻き爪を発症しやすくなってしまうのです。
    足に合った靴選びは、個人によって異なりますが、発症リスクを高めない作りの靴を選びましょう。次に歩き方にも注意しましょう。歩き方が崩れていると、指先にかかる力のバランスが悪くなります。その結果、足に負荷がかかり過ぎてしまい発症リスクを高めてしまいます。体のバランスを崩す原因にもなり兼ねないため、心配な方は一度歩く姿勢を専門医に見てもらうことも視野に入れましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

巻き爪は、爪が皮膚を巻き込むような形で変形してしまう病気です。誰しも発症する可能性のある病気であり、悪化すれば歩行にも支障が出る可能性があります。巻き爪の痛みがひどい場合は、痛みを軽くしようと姿勢が悪くなるため、足や腰の痛みを引き起こすこともあります。
そのため、巻き爪にならないための爪の切り方や歩き方、靴の選び方などを把握して実践することは非常に大切です。また、万が一巻き爪の異変を感じた場合には、すぐに受診しましょう。早期治療が可能であれば、比較的負担を少なく改善することができるでしょう。

編集部まとめ

足の爪
巻き爪は、悪化すれば強い痛みを伴う病気です。症状が軽い際には、軽視してしまって放置してしまう方も少なくありません。

しかし、悪化してしまうと歩行も苦になり、治療も手術が必要となるケースがあります。ある程度の期間もかかってしまうため、大変な治療となるでしょう。

そのようなことにならないためにも、普段からできる巻き爪の予防を実践し、異変を感じた場合には専門の医療機関をすぐに受診することが大切です。

この記事の監修医師