目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 「正しい歩き方」のポイントは「正しい姿勢」から! 正しい歩き方で体の不調を改善【理学療法士監修】

「正しい歩き方」のポイントは「正しい姿勢」から! 正しい歩き方で体の不調を改善【理学療法士監修】

 公開日:2023/07/20
「正しい歩き方」のポイントは「正しい姿勢」から! 正しい歩き方で体の不調を改善【理学療法士監修】

「歩き方がおかしいと言われた」「歩くと体が痛む」こんなお悩みはありませんか? 間違った歩き方を続けていると、体にさまざまな不調を起こしてしまいます。正しい歩き方を続けるだけで、脚痩せ効果や巻き爪の改善など、さまざまな効果が期待できます。今回は正しい歩き方や矯正のポイントなどについて、理学療法士の小原さんに解説していただきました。

小原 綾介

監修理学療法士
小原 綾介(理学療法士)

プロフィールをもっと見る
九州中央リハビリテーション学院卒業後、回復期リハビリテーション病棟に7年間勤務。2022年からWebライターとしても活動開始し、2023年3月にWebライターとしてフリーランスに。医療領域を中心に活動している。

正しい歩き方・間違った歩き方の違いを解説 正しい歩き方のメリットも併せて解説

正しい歩き方・間違った歩き方の違いを解説 正しい歩き方のメリットも併せて解説

編集部編集部

そもそも「間違った歩き方」とは、どのような歩き方なのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

間違った歩き方にもさまざまありますが、以下の項目に当てはまる方は「間違った歩き方」をしている可能性が高いですね。

  • 視線が下を向いている
  • 猫背
  • 反り腰
  • 肩が前に出ている(巻き肩)
  • 膝が曲がっている
  • 腕が振れていない
  • 重心の位置が前方あるいは後方にある
  • 肩が左右に揺れる
  • かかとから地面についていない
  • 足音が大きい

当てはまるものがあった場合、体のどこかに不調をきたしてしまう可能性があるので、“正しい歩き方”へ治す必要があります。

編集部編集部

正しい歩き方とは、どのような歩き方ですか?

小原 綾介さん小原さん

正しい歩き方を知る前に、「正しい立ち姿勢」を理解しておきましょう。簡単にチェックできるので、正しい立ち姿勢になっているかぜひ試してみてくださいね。正しい立ち姿勢のチェックには、壁を使います。壁に背中を向けて寄り掛かり、以下の場所を壁につけてみてください。

  • 後頭部
  • 肩甲骨
  • お尻
  • かかと

4つとも壁についた状態が正しい立ち姿勢です。正しい立ち姿勢をキープしたまま、後ろに引くように腕を振り、足はかかとからつくように歩くと正しい歩き方になります。

編集部編集部

正しい歩き方をすることで、体にとってどのようなメリットがあるのでしょう?

小原 綾介さん小原さん

正しい歩き方をすることで、体にとってメリットがたくさんあります。例えば、以下の6つのようなメリットがあります。

  • 代謝が上がる
  • 免疫力が上がる
  • 血流改善
  • 心肺機能向上
  • 肥満改善
  • 筋肉の柔軟性(こわばり)が改善

正しい歩き方をすると体に良いことばかりですが、悪い歩き方をすると体の不調を誘発してしまいます。そのため、お出かけやウォーキングなどをする際は、正しい歩き方を意識して歩くことをおすすめします。

間違った歩き方を続けているとどのような不調が起こる? 症状と原因を紹介

間違った歩き方を続けているとどのような不調が起こる? 症状と原因を紹介

編集部編集部

間違った歩き方を続けることで、体にどのような不調が現れますか?

間違った歩き方を続けると、さまざまな体の不調が現れます。具体的には以下のような症状があります。

  • 首・肩・腰・膝の痛み
  • 背中のハリ
  • 疲れやすい
  • 筋力が低下する
  • 脚のむくみ
  • 脚太り
  • O脚・X脚
  • 靴ずれ

また、これらの症状が出ることで”運動を避ける”ようになり、さらに症状が進行するという悪循環の原因となってしまいます。

編集部編集部

なぜ間違った歩き方をすると、脚が太くなるのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

脚が太くなるのは「太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の使い方が間違っている」ことが原因です。なぜかというと、必要以上に大腿四頭筋を使うことで筋肉がつき、脚が太くなってしまうからです。本来、“太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)がアクセル”の役割、“大腿四頭筋はブレーキ”の役割として働いています。しかし、膝が曲がった状態で歩いたり、地面につま先からついて歩いたりすると、前に進むために大腿四頭筋を使ってしまいます。このように、間違った歩き方で大腿四頭筋を必要以上に使ってしまうと、筋肉がついて脚が太くなってしまうのです。

編集部編集部

なぜ間違った歩き方をすると、巻き爪になるのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

巻き爪は“歩く時につま先まで体重が乗っていないこと”が原因です。なぜなら、歩く時に指先にまで力が入ることで爪に負荷がかかり、巻き爪を抑制しているからです。そもそも爪は丸くなる性質を持っており、指や爪にうまく負荷がかからないことで巻き爪となってしまいます。また、サイズや形が合っていない靴を履くことも巻き爪の原因となるので、自分に合った靴を履き、指先まで体重を乗せることで巻き爪を防ぐことができます。

編集部編集部

なにが原因で間違った歩き方になるのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

普段の生活習慣や癖などから間違った歩き方となってしまいます。その理由は、生活習慣や癖によって崩れた姿勢を体が正しい姿勢だと勘違いしてしまうからです。例えば、「座っていることが多く猫背になっている」「前かがみで作業することが多い」「荷物を持つ時は右(左)側ばかり」など日頃の生活習慣や癖が長時間続くことで、体が間違った姿勢を正しい姿勢と認識してしまいます。そのため、姿勢が崩れていることに気づかず、いつのまにか間違った歩き方となってしまいます。

正しい歩き方に矯正するためのポイントを解説 何を意識すると正しい歩き方になるのか

正しい歩き方に矯正するためのポイントを解説 何を意識すると正しい歩き方になるのか

編集部編集部

正しい歩き方に矯正するためのポイントはありますか?

小原 綾介さん小原さん

正しい歩き方に矯正するポイントとしては、まずは「正しい立ち姿勢」を覚えることです。理由は1つ、正しい立ち姿勢ができなければ正しい歩き方にはならないからです。まずは、壁を使って正しい立ち姿勢を作りましょう。

  • 肩甲骨
  • お尻

上記4つすべてが壁についた状態が正しい立ち姿勢です。その状態で、以下を意識して歩いてみましょう。

  • 顎を引いて視線は20~30m先を見る
  • 胸を張って腹筋に軽く力を入れる
  • 腕は後ろに引くことを意識して振る
  • 足はつま先を上げてかかとからつく

最初はこの姿勢で歩くとキツいと思います。しかし、続けて行うことで“体が正しい姿勢”だと認識するので、徐々に楽になっていきますよ。

編集部編集部

歩く時はどこに力を入れるといいのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

お尻から太ももの裏までを意識しておくといいでしょう。力を入れるタイミングは足が後ろに来た時です。もう少しわかりやすく言うと、右足を前に出す時は左足のお尻と太ももの裏に力を入れます。太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)はアクセルの役割をする筋肉なので、意識して力を入れてみてください。

編集部編集部

足の裏はどのように意識すればいいのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

正しい歩き方をすると、足の裏に体重がかかる順番は「かかと→小趾球→母趾球→母趾」となります。この順番で体重がかかっていない人は、巻き爪などの原因になります。足の裏に体重がかかる順番を守るだけでも、正しい歩き方に近づけることができますよ。

編集部編集部

ウォーキングはどのくらいの頻度が適切なのでしょうか?

小原 綾介さん小原さん

厚生労働省は64歳未満の男性は9200歩、女性は8300歩。65歳以上の男性は6700歩、女性は5900歩を目標にしています。しかし、まずは無理のない範囲から始めることが大切です。1日20~30分ほどのウォーキングを週に3~5回。徐々に運動習慣がつき、体力的にも余裕が出たら目標値を目指して毎日ウォーキングすることが望ましいかと思います。また、ウォーキングをする際は、ウォーキングシューズなどの運動靴を使うことがおすすめです。

※参照:厚生労働省「身体活動・運動」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小原 綾介さん小原さん

間違った姿勢で歩いてしまうと体の不調に繋がってしまいます。正しい姿勢・歩き方を理解して意識的に矯正することで、少しずつ改善していきます。壁を使うことで正しい姿勢がすぐにチェックできるので、思い出した時に1日数回チェックしてみるといいでしょう。正しい歩き方ができるようになったら、厚生労働省が掲げている歩数の目標値を目指すことでより体にとっていい効果が期待できますよ。

編集部まとめ

正しい歩き方について解説していただきました。ウォーキングなどの運動習慣があっても、悪い姿勢・歩き方が続くと体に不調が現れ、運動をしなくなり、さらに体調が悪くなるという悪循環となってしまいます。そうなれば、生活習慣病や変形性膝関節症などの病気に繋がってしまうので、まずは正しい姿勢を理解し、正しい歩き方に繋げていきましょう。

この記事の監修理学療法士