「眼瞼炎(がんけんえん)」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!
「目の周りが腫れて痒い」「目の中に異物感を感じる」そのような症状でお困りになったこともあるでしょう。まぶたの腫脹や目の異物感などは日常的に誰にでも起こる症状です。
しかし、その症状は眼瞼炎(がんけんえん)が原因となっている可能性があります。
聞きなれない病名ですが、放置して炎症が続くと、とまぶたの発赤腫脹がひどくなりまぶたが変形してしまったり、目の充血がひどくなったり、まつ毛が抜け落ちてしまうこともあるのです。
この記事では眼瞼炎の症状について詳しくご説明します。原因や受診目安なども併せてみていきましょう。
監修医師:
川北 哲也(医師)
目次 -INDEX-
眼瞼炎の特徴
眼瞼炎はどのような病気ですか?
そのほか、まつ毛の生え際よりやや内側にある油分を分泌する皮脂腺をマイボーム腺といい、この皮脂腺の炎症も眼瞼炎に含まれます。ちなみに、マイボーム腺に感染がおこると、いわゆる“ものもらい”ができます。
マイボーム腺が閉塞すると、開口部に白色や黄色の固形物が詰まってみえること(タピオカのように見えることもある)が特徴です。
眼瞼の炎症はどの年齢の方にも起こる病状です。病状が出る原因としては感染症やアレルギーなどがあります。花粉の飛散が多い春などに発症する方も少なくありません。
代表的な症状を教えてください。
- まぶたの腫脹
- まぶたのただれ・あかむけ
- 目とまぶたの痒み、痛み
- 目の異物感
- 目の充血
上記の症状に加えて涙が減少したり増えたりもします。ひどい眼瞼炎ではまつ毛が抜け落ちてしまうケースもあるのです。
また、眼瞼にあるマイボーム腺が閉塞すると油分の分泌が減少し、涙が目の表面から蒸発しやすくなり、安定して潤すことができなくなるためドライアイが起こるのです。
ドライアイになることもあるのですね・・・。
眼瞼炎の原因が知りたいです。
感染性のものでは、ブドウ球菌、といった細菌やヘルペスウィルスなどがまぶたのふちにある皮脂線や汗線に感染して発症します。毛嚢虫(ダニ)がまつげやマイボーム腺の根元で感染、増殖し、眼瞼炎をおこすこともあります。化学物質や金属、化粧品、などの様々なアレルギーが原因で非感染性の炎症を発症することもあるのです。さらにアトピー性皮膚炎や点眼薬の副作用でもまぶたのふちが腫れ、症状がでることがあります。
眼瞼炎はストレスと関係ありますか?
普段からバランスの良い食事を心がけ十分な睡眠・休息をとり体調管理につとめましょう。
眼瞼炎の診断と治療方法
眼瞼炎の疑いがある場合の受診目安を教えてください。
目の周辺にただれや膿が出ているなどの症状が出ているときは、放置すると重篤化することが考えられます。早急に眼科を受診しましょう。
耳鼻科と眼科のどちらを受診すれば良いのでしょうか?
適切な治療を行うためには発症の要因を確かめることが重要です。目に原因があるかどうか明らかにするため、目の検査する機器を備えている眼科の受診をおすすめします。
眼瞼炎の診断方法が知りたいです。
まず問診視診によって病状の表れ方、現状を確認し、感染症が疑われる場合は培養検査を実施することもあります。アレルギーが要因として疑われる場合は採血検査やパッチテストを行いアレルゲンを特定することもあります。
治療方法を教えてください。
アレルギーが発症の要因とされた際は抗ヒスタミン剤などを内服したり、ステロイドの入った眼軟膏で治療します。アレルゲンとの接触を避けるようにしましょう。
また、治療では目の周辺の清潔も保つことも重要です。目の周辺を清潔に保つために目にしみないシャンプーや清浄綿など使用することをおすすめします。
眼瞼炎の注意点
症状が現れたときに気をつけることを教えてください。
かゆみがひどくこすりたい場合、は保冷剤をタオルなどでくるみまぶたにあてて冷やすと効果があります。こすり事を繰り返すと炎症は悪化します。また、目の中に異物感を感じたり、まぶたのふちが赤くなったりするなどの症状が出ている場合は自己判断せずにすぐに眼科を受診しましょう。
眼瞼炎は再発するのでしょうか?
しかし、アレルギーが要因となっている場合や不衛生な手で目を触るくせがあるなど生活習慣が要因の場合は再発しやすくなるのです。アレルゲンを特定し、要因との接触を避けることが再発防止となります。
また、目やまぶたは触ることの多い部位でもあります。 洗浄していない手で触ることで感染や炎症を起こしやすくなるのです。目の周辺に触れる際は手をしっかり洗いましょう。まぶたを擦るくせのある方は特に注意しましょう。
家族や周囲はどのようにサポートすれば良いですか?
しかし、免疫力がとても低い家族に二次感染を起こす可能性はありますので、注意は必要です。まず、症状が現れたときは早期に受診して適切な治療を受けましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
コンタクトレンズの表面は汚れが付着しやすく、レンズの洗浄が不十分だったり、アレルギーの炎症がでやすい方は、まぶたに痒みがでる場合があります。
コンタクトレンズは専用の洗浄液を用いるなどして正しく使用し、使い捨てタイプのコンタクトレンズを使用する際は交換期間を必ず守りましょう。また病状が出ている間は衛生的な状態を保つために、アイメイクは避けるのがおすすめです。アイシャドウやマスカラは患部への刺激になります。目は非常に繊細な器官です。目やまぶたに異常が出た場合は、自己判断せずに病院を受診することをおすすめします。
編集部まとめ
眼瞼の炎症は、再発を繰り返しやすく症例によっては治療が長期にわたる可能性のある病気でもあります。
原因は感染性のもの・アレルギー由来のものがあります。
また、アトピー性の皮膚炎が原因となることもあるのです。症状を感じたらすぐに受診し、原因を調べましょう。眼瞼炎は放置により重症化するリスクも考えられます。
再発する原因の1つに汚れた手で無意識に目をこすってしまうことがあげられます。目の周りの皮膚は人体のなかでもとても薄く繊細な部位です。
清潔な手で触るよう心がけ、まぶたの衛生を保ちましょう。
参考文献